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予測不能の時代のシナリオプランニング #予測不能の時代 まとめ6

本記事は、DX関連の個人的な学びのアウトプットです。

ある大手食品メーカーの経営企画の方から、今年の今の所の一番、と教えてもらった「予測不能の時代」を読み始めました。日立でずっとウェアラブルデバイスを用いたピープルアナリティクスをやられている矢野和男さんの著作。2020年7月についに、事業を分社化しハピネスプラネット社として「企業経営にハピネス・マネジメントを」届けることに取り組まれています。

これまでの本書のまとめ

予測不能の時代に企業の進化を阻む4大ルーティンとは #予測不能の時代 まとめ1

幸せな組織の4条件FINEとリーダーシップ理論とチームマネジメントの工夫 #予測不能の時代 まとめ2

対話におけるうなずきって大切なんだなぁ #予測不能の時代 まとめ3

幸せのスキルと新事業開発って似てるんだな #予測不能の時代 まとめ4

心の資本を高める簡単習慣3good #予測不能の時代 まとめ5

第6章 変化にデータで向き合う

本章では、ここまでの幸せな組織に関しての話題から少し変わって、タイトルでもある予測不能の時代における、ガバナンスモードとデータ活用について矢野さんの考え方が示されています。

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この3段階目が矢野さんの提唱する予測不能の時代に対処していくガバナンスの考え方で、PPPサイクルと名前を付けています。これは以下の図のようにまとめられています。

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曖昧さには以下の4つのレベル

意思決定には常に曖昧さがつきまといます。曖昧さの状態を把握することが大事です。曖昧さには以下の4つのレベルがあります。これはメリーランド大学のヒュー・コートニー氏が1997にハーバード・ビジネス・レビューで発表したものだそうです(「世界標準の経営理論」より、下表は同書p.196を引用)。

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予測不能の時代」で対象とするのは、レベル3,4にあたると思います。なかでも、PPPサイクルの考え方は、過去の予測をもとに、「きざし」から優先度をつけて活動を行うアプローチです。これは、シナリオプランニングそのものです。

「PPPサイクル」とシナリオプランニング

シナリオプランニングは、未来に対して、自分たちがどう対応していくのかを自分たちにとって重要なトピックについて、特に重要なトレンド・動向を整理して行きます。

そういった中で、トレンドを「不確実性の高さ」と自分たちが「意思決定したいことに対しての「インパクトの大きさ」の2つの観点で整理をしていきます。

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そして、インパクトが大きくて、不確実性が低い要素は確定要素として想定する未来に組み入れます。例えば、人口動態なんかはその代表ですね。一般にメガトレンドといわれるようなものです。ここまでが「予測不能の時代」のPPPサイクルでいうところの、Predictのフェーズですね。

その上で、自分たちが考えるべき未来のシナリオにインパクトが大きいが現状どうなるかわからない要素とメガトレンドとの関係を明らかにします。これがトレンドの構造化です。

インパクトが大きく、不確実性が高い、というのは例えば、お医者さんは「人が残る・AIにとってかわる」とか、「自動運転はどの程度普及するか」とか。そういったものになります。

これらの自分たちが考えるべきシナリオに大きな影響を与え、かつ、変化の分岐点となる要素をドライビング・フォースと呼びます。これが、PPPサイクルでいうところの「きざし」の特定であり、Perceiveのフェーズだと思います。

これらの確定のトレンドと、ドライビングフォースを構造化を通して、中でも特に重要なドライビングフォースを特定し、どのドライビングフォースの分岐の程度を想定していきます。仮説を置くといってもいいと思います。例えば、自動運転はxx年にxx%になる、などです。

シナリオプランニングでは一般に、このドライビングフォースを2つに絞りこみます。その2つのドライビングフォースを組み合わせて、以下のような2軸のマトリックスを作ります。

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こうすると4つの自分たちにとって重要なシナリオが生まれます。これらを構造化したトレンドをもとに、ストーリーとして描きます。

そうやって、特定した複数の結末の、どれに近づいていっているのかをウォッチするために、ニュースからどういう指標をチェックすればいいのかを決めます。アーリー・ウォーニング・サイン(EWS)と呼びます。それを信号機といった表現もしますが、シナリオ1が黄色信号になったぞ!と。そうなった際に、いざとなればどうするかを決めておく、という形で主体的に意思決定を先延ばしすることで不確実性に対応します。

これが、PPPサイクルにおける最終段階、Prioritizeのフェーズでしょう。チェックすべき「きざし」をもとに、どうなったらどうする、という行動の優先度付けをしておくのです。

私自身、このシナリオプランニングの手法を、新事業開発にも応用したことがあり、意思決定の先延ばしだけでなく、主体的に未来を開拓・創造していくアプローチとしても有効だと感じていいます。

参考)センスメイキング

また、これは、経営理論的に行くと、センスメイキング理論に集約されるのかな、と思いました。センスメイキング理論については、以下の記事にちょっと書きました。また、時間を見つけて書きたいな、と思います。

シナリオプランニングのおすすめ本

シナリオプランニングのメソッドは、これまでに何度かやったことがあります。定番の横長のシナリオプランニングという本もあるのですが、あちらは少々抽象的なのと事例もかなりマクロな大規模プロジェクトが多く、多くのビジネスパーソンにとっては、事業戦略策定に実際使ってみようと思うと、「シナリオシンキング/西村行成」の方が、細かくステップの説明がされていて、実践的でおすすめです。

おわりに

今回はの「第6章 変化にデータで向き合う」から予測不能の時代におけるガバナンスモード(意思決定アプローチ)について、矢野さんのPPPサイクルとシナリオプランニングについて考察してまとめてみました。

DXについての記事や私のマネージャーとしての学びをまとめた記事は以下の「DXのマガジン」と「新任マネージャーの心得のマガジン」にストックしてますので、併せて覗いてみてください。フォローや「スキ」を押してもらえると励みになります。

ということで「形のあるアウトプットを出す、を習慣化する」を目標に更新していきます。よろしくお願いします。

しのジャッキーでした。

Twitter: shinojackie






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