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胸郭の運動療法【4パターン】


胸郭の可動性が重要なわけですが…

胸郭の動きも1パターンではなく、多様な動きがあり、ただ動かせばいいわけではなく、目的に合わせて可動性を出していく必要があります。


何となく回旋させて…


何となく伸展させて…


それだけでも胸郭の運動療法にはなりますが、胸郭の構成要素としては、「胸椎・胸骨・肋骨」で構成されてます。

胸郭の周囲には「肩甲骨」「鎖骨」「頚椎」「腰椎」も位置しているわけなので、胸郭の運動療法を行う上では無視できないです。


何となくエクササイズをするなら誰でも形だけ真似することは可能ですが、どういった動きを引き出したいのかの目的を明確にしておくことは大切です。


今回は、肩関節の動きに対して胸郭から考えた運動療法を行う方法を紹介していきます。


セラピストはもちろんですが、インストラクター、トレーナーの方にも参考になる内容にしているので実践してみて下さい。


胸郭と肩関節の関係性

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胸郭と肩関節の関連性ですが…

肩関節の動きにおいても、胸郭上に肩甲骨と鎖骨が位置しているため、胸郭の可動性によって、肩甲骨や鎖骨が可動するかどうかも決まります。


肩関節の可動域制限の多くが、「屈曲」「外転」の可動域制限になりますが、その多くが肩甲骨と鎖骨の動きにエラーが生じているケースが多く、肩甲骨や鎖骨の可動性には胸郭の可動性がセットで必要になります。


胸郭の運動療法を行うだけでも、アプローチの前後で肩関節の動かしやすさの違いを実感してもらいやすく、クライアントさんへ信頼にも繋がるので是非知っておいて欲しい内容です。


シンプルなことを先にいうと…

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胸郭の側面をしっかり拡張できる状態を作って、上肢を挙上する時には、肩甲骨や鎖骨が動く方向にしっかり胸郭が回旋&拡張することを意識して運動療法を行っていくこと。


肩関節屈曲メカニズム

【屈曲時の肩甲骨メカニズム】
90度以下:肩甲骨外転&上方回旋
90度以上:肩甲骨上方回旋&挙上
屈曲最終域:肩甲骨下制&内転

【屈曲時の鎖骨メカニズム】
屈曲初期:鎖骨前方移動
屈曲中期:鎖骨上方傾斜
屈曲後期:鎖骨後退移動


屈曲時の肩甲骨&鎖骨のメカニズムです。

この鎖骨と肩甲骨の可動の仕方を知っておくことが、胸郭の運動療法を組み立てる上では重要になってきます。


肩関節外転メカニズム

【外転時の肩甲骨メカニズム】
90度以下:肩甲骨内転
90度以上:肩甲骨挙上&上方回旋
外転最終域:肩甲骨下制&内転

【外転時の鎖骨メカニズム】
外転初期:鎖骨後退&上方傾斜
外転中期:鎖骨後退&上方傾斜
外転後期:肩鎖関節での上方回旋


外転時の肩甲骨&鎖骨のメカニズムです。

この鎖骨と肩甲骨の可動の仕方を知っておくことが、胸郭の運動療法を組み立てる上では重要になってきます。



胸郭の前方回旋&後方回旋


胸郭回旋を出す方法は、姿勢によっては違いがありますが、特別なことをする必要はなく、みなさんが知っている方法でエクササイズを行ってもらうといいと思います。


大事なのは、どういった動きを出したいかの目的を明確にして、1つ1つのエクササイズで得られる効果を分かった上で行うことが大切。


胸郭は左右非対称の動きをするため…

片側が前方回旋したら、反対側は後方回旋しますし、左右ともに同じ方向に回旋するということはまずないので、理解しておきましょう。


【胸郭回旋①】

この動画のエクササイズですが…

動画自体は一般向けの動画なので詳しくは解説してないですが…


胸郭自体を回旋させるというよりかは、骨盤の回旋を使って、相対的に胸郭を回旋させるエクササイズです。


例えば…

左下肢で右手を触るような回旋を入れるとすると、骨盤は左回旋する動きになるので、胸郭を安定させていたとしても、左胸郭は前方回旋。右胸郭は後方回旋の動きが生じる状態になります。


【胸郭回旋②】

この動画のエクササイズとしては…

胸郭の後方回旋を促せるエクササイズ。


片側が後方回旋するということは…

もう片方が前方回旋するわけですが、メインとしては後方回旋を回旋筋群を使ってエクササイズすることが大切です。


特に胸郭回旋において重要なのが…

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胸郭回旋のエクササイズに関しては、骨盤と胸郭の動きを真逆に行う様なエクササイズを行うことでより胸郭の回旋を生み出すエクササイズを行うことが出来るのも1つのコツになります。


胸郭前方回旋によって…

・鎖骨前方移動
・肩甲骨外転


胸郭後方回旋によって…

・鎖骨後退
・肩甲骨内転


この様な動きの獲得が期待できます。


臨床上多いのが…

肩甲骨内転制限によって生まれる問題になるので、胸郭の後方回旋の動きは肩関節の屈曲&外転の動きを変えていく上でも非常に重要になってきます。


胸郭側面の可動性

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胸郭側面の拡張が行えることで…

・肩甲骨挙上
・鎖骨上方傾斜


肩関節屈曲&外転ともに、肩関節を挙上する際には、肩甲帯が挙上と鎖骨の上方傾斜をしながら可動する状態になります。


この肩甲骨挙上と鎖骨上方傾斜の動きを引き出す胸郭の運動療法として有効なのが、画像のような状態で胸郭側面を引き上げた状態で呼吸を入れること。


吸気を入れることで、より胸郭側面が伸張される状態になるため、肩関節の屈曲時も外転時も可動しやすい状態になります。


自分自身も肩関節疾患の方を診る際には、肩関節のピラティスや運動療法で取り入れることが多いエクササイズになります。


胸郭前面の可動性


【①胸郭前面の拡張】

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【②胸郭前面の拡張】

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胸郭前面の可動性が改善することで…

・肩甲骨内転の可動域向上
・鎖骨の後退の可動域向上


胸郭前面が拡張しない人も非常に多く、鎖骨後退や肩甲骨内転の動きが入らないので、肩関節屈曲&外転ともに制限になります。


また、肩甲骨や鎖骨だけに限らず、胸椎の動きの制限も肩関節の可動域にはダイレクトに影響します。



ということことで…

胸郭の可動性に対してアプローチすることで、肩関節や姿勢改善をする際にクライアントにも実感してもらいやすいため、得られる効果を押さえておくことは大切です。


ライタープロフィール

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薬師寺 偲

理学療法士
PHIピラティスインストラクター


【薬師寺の運営マガジン】


【薬師寺のTwitter】

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