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生きやすくするために、荷を軽くする

 仕事用に持っていた、大判のレザーのトートバッグを処分した。
 経年劣化もあったけれど、いちばんの理由は、重いから。A4の書類や雑誌が余裕で入るサイズだったので、革製だとバッグ自体の重さがけっこうあった。
 若いときは重くても耐えられたし、それよりレザーの「きちんと感」を優先したくて頑張って使っていたけれど、50代になって「布製や軽量のかごバッグでもいいんじゃない?」と思えるようになった。
 バッグ自体が軽いと、持ち歩くのがやっぱり楽。

 靴も同じで、レザーのスニーカーが重く感じられるようになってきた。機会があったら布製のスニーカーに買い替えたいなあと思っている。

 人生を歩みやすくするためには、自分自身の荷を軽くしてあげること。その大切さを、つくづく感じている。

 最近読んだ、オグ・マンディーノの『人生は素晴らしいものだ』にも、荷を軽くすることの意義を説くくだりがあった。

 物語の舞台は聖書の時代。福音書に登場するザアカイが主人公だ。
 孤児で身体に障害があり、逆境から人生をスタートさせたザアカイは、ネバー・ギブ・アップの精神で仕事に取組み、エリコの町で成功を手にする。裕福になっても貧しい者への援助を惜しまず、町の人びとからも慕われていた。しかしあるとき、ポンテオ・ピラトから取税人になることを命じられ、イエスと出会い――。

 物語の後半で、ザアカイがエリコの町の人びとから乞われ、自身が守ってきた成功のための智恵を伝授する。
 その中の、第八の智恵として登場するのが、こちら。

成功のための第八の智恵

荷を軽くしなさい。
目的地に到着できるように。

 幼かった頃のあなたと今のあなたはなんと違っていることだろう。あなたは何も持たずにこの世に生まれてきた。だが年を重ねるにつれ、安全のためと言いながらあまりにも重い手荷物でがんじがらめになっている。そのため、あなたの人生の旅は楽しみというよりも罰のようなものとなった。
 荷を軽くしなさい。今日のこの日からすぐ。
(略)

オグ・マンディーノ『人生は素晴らしいものだ』

 ザアカイが伝える智恵は、どれも作者であるオグ・マンディーノ自身の人生哲学でもあるのだろう。
 全体に、神への崇敬の心が感じられる物語で、とても良かった。
 ちなみに語り手は、ザアカイの親友ヨセフ。そのまなざしも、あたたかくていい。
 日本では2002年に出た本だけれど、内容には全然古さを感じない。そもそも舞台はおよそ2000年前だし…。
 クリスマスを待つこの季節に、特におすすめの一冊です。


◇見出しのイラストは、みんなのフォトギャラリーから
_kei_さんの作品を使わせていただきました。
ありがとうございます。

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