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健忘録

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私に起きた本当の出来事です。人生の変わり目に起きた事です。読んで頂きたいというよりは、書き残しておきたい想いで書いています。
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虫の知らせと祖母

虫の知らせと祖母

3週に一度の通院は、いつも前日に祖母から「待ち合わせ、よろしくね」と電話が入るのに、この日は来なかった。

明らかにおかしい。

間違えて早く電話してくる日もあるくらい必ず電話がくるのに…私は、どうしても祖母の家に行かなくてはいけない気がして、病院に行く前に最寄り駅でなく家に行く事にした。

着いてみると床に、大人用オムツとご飯の入ったお茶碗が落ちていた。そして祖母はほぼ裸で横たわっていた。

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祖母と最期のお花見

祖母と最期のお花見

コロナ禍で、トイレットペーパーが不足していた頃のお話しです。

当時のパートナーに「おばあちゃんにトイレットペーパーを買ってあげて持って行きなよ。大きな荷物だからきっと大変だよ。」と言われて、少し面倒くさいような気持ちでしたが私は、それもそうだなと父方の祖母の家に行きました。

祖母の家は、私の家からバスで行ける距離で、スーパーやコンビニが少なく助けてあげようという事になったのです。

祖母は、元

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点滴と私のリーディング

点滴と私のリーディング

通院はまずは3週に一度点滴を打つ事に決まった。栄養剤のようなものを打つだけだったが、すぐに血液内科に回され、祖母は輸血を受けるようになった。骨髄の癌だった。

付き添いの私は何時間も待っていても平気だった。祖母はグッタリして点滴していた。好きそうな女性誌を渡しても、ほとんど読まなくなった。喜ぶかな?と思うことは何でもやった。足のマッサージを一番喜んでいたのをよく覚えている。

それでも、終わるまで

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祖母の死とSNSの乗っ取り

祖母の死とSNSの乗っ取り

「誤嚥性肺炎も落ち着いてきたのでしばらくは大丈夫でしょう。」

入院した後の祖母は良くなったり悪くなったりして、3回心臓が止まっては動いて、私はそのたびにタクシーを飛ばして駆けつけたが、主治医からいよいよ、こう言われて、少しホッとしていた。

京都から駆けつけてしばらく滞在していた父もホッとして新幹線で京都へ帰っていった。祖母は笑顔で私の手を握っていた。私の手以外は払いのけるのだが、みんな笑顔で納

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声が出なくなる

声が出なくなる

その日は突然やってきた。
当時、大手アパレル企業の店長として働いていて13連勤もしていた頃の話である。20歳の頃。

帰り道、ボーッとしてると急に目の前が斜めに見えた。
私は不思議に思いながらも、家の最寄り駅からバス停に並び最終に近いバスに乗った。ボーッとボーッとしていた。

思い出すのは、閉店後に、販売スタッフが集まらない事や、指示出しが出来ない事、売り上げが取れない事をガミガミ電話で言われワン

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私と本

私と本

私は読書家でした。今は10冊弱ほどしか貯めてませんので読書家とまで言えませんが…子ども時は30冊貯めて読んでいました。

丁度、東京都の区の分かれ目に住んでいたので、3つの区の図書館から本を10冊ずつ借りて読んでいたのです。あとは、学校の図書室も大好きでした。

我が家は、決してお金持ちでは無かったのですが母の教育方針で「本にはお金をかけてもいいよ。」と言われていました。(母は忘れているかもしれま

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祈りと乳癌

祈りと乳癌

私は、乳癌で4回手術している。左乳癌全摘出。なんとなく触っていたら痛くないコリコリしたシコリがあり、内科に行ったらそのまま大きな病院へ転院した。
1回目はあまり怖くなかった。「取ればいいんだ!」とよく調べもせず、家族の付き添いもなく、独り手術の説明をぼんやり聞いていた。ステージ3なのに、まるで他人事で聞いていた。誰も一緒に来ていない事に病院側が驚いていた。「普通、家族が来るんだ!」大きな病気をした

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