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社会不適合と思い込んでいるあなたへ

半世紀以上生きていると、それこそ沢山の人と出会います。
で、結構多くの方が「自分は駄目だ」と言わんばかりに自己否定していたりします。

かくいう私もこれまでの人生3分の2くらいは、そんな感じだったと思います。そこで今回は「社会不適合」という実に嫌な言葉をテーマにしてみようと思います。

①社会不適合者とは

早速ネットで調べてみるとこんなことが書かれていました。

❝社会不適合者とは、一般的に周りや社会とうまくなじめていないと感じる人をいいます。 具体的には会社で同僚や上司などとうまく接することができない、協調して行動することができない人などを指します。❞

ドキっ!!!私のことじゃん・・・。
 
でも待てよ、周りと社会とうまく馴染めないってどういうことだ?
でもって「具体的には会社で同僚や上司などとうまく接することができない、協調して行動することができない人」と言うけれど、こんな場合はどうなんだ?

例えば、とんでもないパワハラ上司がいたとする。
こいつとうまく接することが社会に適合するってことか???

更にこんなのはどうだ?
まるで人のことなんか気にしないで自分のことばかり主張する奴っていますよね。こいつに合わせることが社会適合なのか???

② 一般的に周りの社会とは何だ?

そもそも一般的な社会って何だ?
先ずは「一般的」とは何だ?

❝一般的とは、広く全体に及ぶ様子。 多くの人に関わる様子。 例外にならない様子。 普通のものである様子。❞
 
ということは、一般的な社会というのは「多くの人が関わり、例外にならない普通の社会」ってことになる。
 
かれこれ半世紀以上生きてきたけれど、生活していて、多くの人が関わるというのは分かりますが、例外にならないなんてことはあり得ない。
 
そもそも人間すべて違う脳を持っているわけだから、同じになるわけはない。
 
かと言って、人間それぞれが好き勝手に思うがままに動いていたら、それこそ混乱してしまいます。
 
だから、ある程度の基準を設けてそれに合わせる必要が出てくるわけです。それが法律であったり、ルールだったりします。

③  人が集まれば必ずルールが出来る

法律という言葉を今使いましたが、人が3人も集まれば、そこにはそこのオリジナルのルールが生まれてくるものです。
 
家族だってそうですよね。
友人同士だってそうです。
 
もう10人も集まればある意味ルールが無ければ無秩序状態になってしまう。
だから、無意識的にその中でリーダー的な存在が出てきて、暗黙のルールが自然発生するわけです。
 
会社だって、パート仲間だって、アルバイトだって、そこには必ず自然発生的なルールが発生します。

④合わないルールに従うべきか?

わたしが昔いた会社には沢山のパートさんがいました。
それこそ、毎日旦那の悪口や仲間同士の悪口で大盛り上がりです。
 
これもここに自然発生したパートと言う集団の中で、ある意味暗黙のルールが出来ていてそれに従わないものは、不適合者になるわけです。
 
更に、このパート仲間の中では悪口をいうことが「一般的な環境」わけです。そして、その環境に合わせられる人が、このパート仲間の適合者になるわけです。
 
しかし、中には、そんな悪口の飛び交う「一般的な環境」に馴染めない人間も出てきます。すると、合わせられない人は結構つらいことになります。ひどい時には、悪口の対象となり完全孤立してしまうこともあります。
 
更に言えば、その孤立したパート以外にも、何人かの割合でそんな環境に馴染めない側の人が必ず存在します。そういう人は、完全孤立してしまう人と比べると、「一般的な環境」に合わせることが少し上手です。とは言え、積極的に合わせているわけではないので、それはそれで精神的につらかったりします。
 
でも、そもそも職場で働くことの目的は、自分の生計を立てる事であるのに、どうでもいい悪く口に付き合っていくことに意味があるのでしょうか?
 
ここで思い出してもらいたいのですが、このような環境に合わせられない人は、このパートというコミュニティにおいては、社会不適合者になってしまうということです。
 
しかし、そんな合わせたくもない環境のルールに従うべきなのか?ということです。

⑤  自分の居場所とは

ここまでお読みになって分かると思いますが、人間は多種多様で、一人として同じ考えを持った人間はいないわけです。つまり、根本的には合うわけがないのです。
 
例えば、目の前にリンゴがあったとしましょう。極論ですが、1,000人いれば1,000人このリンゴを独自の見方で見ています。

「これ甘いかな?」「酸っぱいかな?」「どこのリンゴかな?」「どうやって食べようか?」「青森を思い出すなあ」「ジュースの方がいいなあ」「アップルと言えばビートルズ」・・・こんな風に厳密にいえば1,000人それぞれの見方をしています。誰一人同じ見方をしていないということです。
 
中には自分と近い見方をしている人もいるでしょう。でも、厳密にいえば全員違う見方をしています。
 
さて、当時私は、学校や職場で「自分は不適合者」だと思い込んでいました。
 
どう考えても、自分だけは他の人たちと違う。どうして違うのだろう?
それに、自分を殺してまでも、この環境に合わせることは幸せなのだろうか?
 
本当に小学校くらいからそんな感じだったと思います。
どれだけ長い間そんな感じだったか思い起こしてみると、どれだけ不適合だったんだと逆に自分に感心してしまいます。
 
でも、ある時を境にこう思い始めました。
 
人に合わせんの、めんどくせえな・・・。
自分的に気が楽で心地よければそれでいいじゃん。
そこから独りの時間を楽しむようになりました。
飲み会なんか100%断りました。
 
すると不思議なことが起こり始めました。
会社での生活を完全に割り切り始めると、外の世界を意識するようになっていたのです。いつの間にか、視野が広がり始めたのです。
 
これまでのように、家に帰っても「その日の不適合さを反芻し悔やむ」ようなことが無くなり自分の趣味や夢みたいなことを考えるようになっていたんです。
 
そしてこう思うようになりました。
自分の居場所はどこなんだろう?って。

⑥不適合が適合になる時

職場という自分に不適合な場所から精神的に離れることが当たり前になり、自然と視野が広がり、色々な物が見えてきました。
 
ほんの少し前まで職場の中では自分が落伍者と思っていました。しかし、いざ精神的に離れ客観的に見れるようになった途端、職場の人たちの方がおかしいというような感覚を持ち始めました。
 
何でこの人達はこんなところで楽しそうに悪口を言いあったり、どうでもいいことを話題にして盛り上がっているんだろう?もっと楽しい事が外には沢山あるのに。
 
勿論、自分をさて置いてですよ。でも、自分は不適合者だなんて思い込んで負のループに陥っていた頃に比べれば雲泥の差です。
 
そうやって、私は徹底的に視点を外に合わせていきました。
 
独りが好きなので、本を読んだり、映画を観たり、音楽を聴いたり・・・。
そこうしているうちに、外の世界の人たちと関わってみたいと思う様になりました。
 
それから、色々なセミナーに参加したり、講演会や、読書会などに参加するようになりました。参加当時は、もうドキドキでしたが、人間慣れていくものです。いつの間にか、自分から人に話しかけたりするようになっていました。勿論、徐々にです。
 
そして、こう思うようになりました。
へえ、独りの時も楽しいけど、色々な人を話すのも楽しいな・・・と。

⑦思い込みを外せ

「社会に適合出来ない」という言葉には、どれだけ多くの意味が含まれているのでしょう?
まず、社会ってどこ?社会って何?ネットで調べるとこう書いてありました。

❝社会(しゃかい、英: Society)は、ある共通項によってくくられ、他から区別される人々の集まり。 また、仲間意識をもって、みずからを他と区別する人々の集まり。 社会の範囲は非常に幅広く、単一の組織や結社などの部分社会から国民を包括する全体社会まで様々である。❞

だから、社会と一言言っても、その言葉には、小さな人間関係から、様々な組織、様々な団体、様々な集まり、様々な集団・・・もう切りがないくらいの「社会」がこの「社会」という一言に含まれているわけです。
 
で、「私は社会不適合者」であるという表現。
これは細かく分析するとどうなるか?
 
そうですね、正にいま目の前のあなたが属している集団、コミュニティ、人間関係があなたの脳が認識している「社会」です。
 
でもですよ。先程書いたように「社会」と言う言葉にはもう無限に存在する極小の社会からそこそこ大きな集団としての社会まで含んでいるわけです。
 
そう考えた時あなたの脳が認識している「社会」は極々その一部だということです。もし職場で自分が「社会不適合者」と感じているなら本当はこう表現すべきです。わたしは「この○○会社の○○部門の○○課という小さな社会において不適合者です」と。

⑧  俯瞰せよ

では「この○○会社の○○部門の○○課という小さな社会において不適合者」であるあなたは、星の数ほどある社会すべてにおいて不適合なのか?ということです。
 
あるいはこうです。「○○学校〇年〇組という集団の中で不適合者」であるあなたは、星の数ほどある社会すべてにおいて不適合なのか?ということです。
 
そんなわけありませんよね。
だって星の数ほど人間がいてそのすべての人と全く合わないわけがないわけです。1000人いれば一人や二人滅茶苦茶気が合う人間は必ずいます。1000個のコミュニティの中にも1つくらいあなたに合ったコミュニティは必ずあります。
 
もし、いまあなたが自分は「社会不適合者」だなんて思い込んでいたら、自分の今いる場所から離れて世の中を見渡してみて下さい。必ず、あなたが適合する社会があるはずです。
 
逆に言えば、今「社会不適合者」だと思い込んいるあなたは、まだあなたの居場所が見つかっていないということです。
 
気長に前向きに、世の中を俯瞰しながら眺めてみて下さい。
焦らず、気楽に外を眺めてみましょう。あなたの居場所がつかれば、あなたの能力は自然と発揮されて来るものです。

⑨  今日の名言

❝誰もが自分自身の視野の限界を、世界の限界だと思い込んでいる❞
~アルトゥル・ショーペンハウアー


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