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七味春五郎の作品ストック

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【朗読時代小説】日本婦道記 尾花川  山本周五郎作

山本周五郎の描く幕末!
 維新をになう志士たちの支援をしていた太宰は、最近妻幸代のちょっとした変化が気になっていた。幕末天皇家の台所事情も出てきます!

■この動画の目次
00:00 タイトルコール
00:07 一
06:34 二
14:08 三
21:24 四
29:07 五
-------------------------
山本周五郎は、明治36年生まれ。亡くなったのが1967年のことで、最
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ねじまげ物語の冒険 第二巻!

ねじまげ物語の冒険 第二巻!

はじめに――その少年について 以前――
 ずいぶん昔の話になるが。
 牧村洋一少年に関するお話は、つらつら述べたことと思う。そのお話は、ちょいと奇怪で、少しく奇抜で、だから終わりまでお付き合いしていただけたか、心許なく思っている。
 いや、やっかい至極。
 そのお話が、そんなふうに奇妙であったのは、洋一少年のおかれた状況によるものだが、少年たちに関するお話は、あれで終わったわけではない。なるほどエ

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ニュートンの林檎

ニュートンの林檎

万有引力の発見

ニュートンの偉業がリンゴから生まれたことは有名です

そのリンゴの木は今も残っていて、東京大学に枝わけされたものが、日本全国に広まっています

ところが、このリンゴ

おいしくないのです

ニュートンの時代は、リンゴを食べる習慣がなく、品種改良もされていなかったためです

ねじまげ物語の冒険と、三銃士

ねじまげ物語の冒険と、三銃士

ねじまげ物語の冒険には、銃士が登場しますが

銃士といえば、三銃士!

彼らと主人公ダルタニヤンは、剣の使い手

それはいいのですが、胸躍る剣戟にくらべて、マスケット銃で打ち合おうとしない

これは当時の銃が一対一の戦いに不向きだったため

連射はできず、命中精度も悪い

なので西洋を問わず、戦国の日本でも、接近戦となると槍や刀が主体

洋一やちびのジョンが、火縄銃に撃

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講釈西遊記

講釈西遊記

一九九五年頃の作品

 それは、世界がはじまって間もないころであった。
 大海の直中には、須弥山という山があり、そのまわりには東勝神州・西牛賀州・南膽部州・北倶蘆州と呼ばれる、四つの大陸が存在した。
 東方四大陸と呼ばれる、仏法世界である。
 物語は南膽部州、大唐国よりはじまる。
 花は美しく、河はゆるりと流れている。土地は肥え人心もなごやかな、天下第一等の地であった。
 世は太宗皇帝の御世。年号

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ナーシェルと不思議な仲間たち

ナーシェルと不思議な仲間たち

◇  はじめに……

 銀河をずっと下ったところに、とてもきれいな星がある。
 その星はとても平和で、戦争なんてない。一年中がずっと春で、木も草も生き物も、とても仲のいい星なのだ。
 地上はずっと地平線まで花でおおわれていて、そこには一番きれいな水がながれている。
 常春の星には病気なんてない。食物はあちこちになっているから、泥棒もいない。だから、みんなのんびりしてしまって、ひとに襲いかかるような

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講釈西遊記

講釈西遊記

一九九五年頃の作品

 それは、世界がはじまって間もないころであった。
 大海の直中には、須弥山という山があり、そのまわりには東勝神州・西牛賀州・南膽部州・北倶蘆州と呼ばれる、四つの大陸が存在した。
 東方四大陸と呼ばれる、仏法世界である。
 物語は南膽部州、大唐国よりはじまる。
 花は美しく、河はゆるりと流れている。土地は肥え人心もなごやかな、天下第一等の地であった。
 世は太宗皇帝の御世。年号

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ファイヤーボーイズ

ファイヤーボーイズ

○   1

「文吾お。なんだこの申し送り書は!」
 長谷野辺出張時の所長、高橋は、書類を大きく振って、文吾をどやしつけた。
「なんだよ、おやっさん。ちゃんと書いてるだろ」
「書きゃいいってもんじゃないんだよ。書きゃいいってもんじゃ。こんな汚い字で書き殴りやがって。おまけに何だこの文章は? むずかしいことを書けなんて、一言も言ってねえだろう」
 文吾は、字の汚さまで攻められて口ごもった。
 高橋の

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奥州二代目彦六一家

おーい、彦六

奥州遊侠藩の御城下、高田小牧通りに彦六一家の屋敷はあった。
一家の長、彦六が死んだのは、今年の一月の初めのことである。
『葬式不要、戒名不要』
 一代の粋人、黒田彦六の残した、唯一の遺言がこれだった。
 さて、彦六には十九になる息子がいた。
 黒田親子でこの世に唯一居残った、黒田半兵太である。
 当然、二代目は半兵太と決まったが、ここで意外なところからしぶる者が現われた。
 彦

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人斬り仁右衛門

人斬り仁右衛門

「おとう」
 そう呼ばれたとき、甚右衛門はさぞ戸惑ったにちがいない。
 童がいる。奇妙な童だった。年は六つか七つ。いやに大人びた表情をしている。服は粗末で、一見百姓の子のように見える。見たこともない童だった。
 甚右衛門は、妙におもった。甚右衛門に子はいない。逢瀬を共にした女はいるが、子ができたという風聞はきかない。だいいち年が大きすぎる。
行き過ぎようとした。
「おとう、まてっ」
 童は慌てたよ

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