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武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50

本書は哲学史の「重要性」よりも筆者個人の「有用性」を基準に書かれている。
一般的な哲学書のように、つまらない古代哲学から歴史順に書かれてはいない。
注)
カントに関しては書かれていない。

実生活での問題を解決する道具として使える考え方を基準に編集。
心理学など哲学以外の学問も織り交ぜてある。

ビジネスパーソンが哲学を学ぶ理由。
・状況を的確に把握するため。
 何が起きているか。
 何が起こるのかに向き合う。

・批判的に考えをもてるため。
 現在の仕組みを批判的に見直すため。
 見直すべき常識の取捨選択にも必要。
 変化に対応していくため。
 →企業は変化し続けることが前提。

・課題を定めるため。
 課題設定能力=教養。
 「なぜ?」を考えるために知識が必要。
 課題のない革新はごっこ遊び。
 課題がなければ革新も生まれないはず。
 課題に対して的確な革新。
 =進化。
 
・失敗を繰り返さないため。
 過去を教訓にし、どれだけ学べるか。

私見)
自分の理解力レベルが低いせいか、とにかく読んでて疲れる。
色々グチャグチャと考えてしまって頭の中がまとまらない。
リアルに肩が凝って激痛の中の読書になった。
  

<第1部 哲学ほど有用な「道具」はない>

🐾コンセプト。

・人についてのキーコンセプト
他者や自分の思考、行動に関する考え。

・組織についてのキーコンセプト。
集団になったときの思考、行動に関する考え。

・社会についてのキーコンセプト。
社会の成り立ち、仕組みに関する考え。

・思考についてのキーコンセプト。
考え方そのものに関する考え。

哲学=豊かな人生を作るための知的道具。
自分らしく楽しく生きるための考え方。
教養教育を身に着けてこそ、実学が活かされる。

🐾軸になるもの

①問いの種類「What」「How」
How→人間はどのように生きるべきなのか?
What→世界はどのように成り立っているのか?

②学びの種類「プロセス」「アウトプット」

・古代ギリシャ哲学ではの答えは「陳腐」か「間違っている」
例)
哲学者アナクシマンドロスのケース
定説「大地は水に支えられている」に対する考察。
→水を支えているものは?
→水を支えているものを支えるものは?
=永遠に続く。

永遠に続くものは無い。
=地球は宙に浮いている。

※アウトプットである答えは陳腐。
 思考を掘り下げるプロセスは重要

<第2部 知的戦闘力を最大化する>

50のキーコンセプト

<第1章 「人」>

🐾アリストテレス

「弁論術」
ロゴス→論理
エトス→エトス
パトス→情熱

人を動かす。
説得<納得<共感。
論理思考者ほど苦戦する。

説得)
論理→必要条件だが十分条件ではない。
納得)
倫理→道徳的に正しい。社会的な価値
共感)
情熱→思い入れ。

🐾プラトン

「パイドロス」
言葉の影響
レトリック→弁論。
ダイアローグ→対話

レトリック=まやかし
言葉巧みな弁舌は人身を惑わす。
→リーダーには、ふさわしくない。

リーダー→人を酔わせる局面もある。
弁論の効果と危険性を認識。

🐾カルヴァン

「予定説」
努力、善行関係は関係ない。
救われる人間は予め決まっている。

努力に関係なく報酬をもらう人は決まっている。
→努力をする意味はなく、無気力になるのでは?

努力が報われて報酬を得る「因果応報」とは逆の考え。

通例の考え方としては「因果応報」
努力したから報酬がもらえる。
報酬がもらえるから努力する。

🐾マックス・ヴェーバー

「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」
予定説が資本主義を発達させた。

救われるかどうかは不明。
自分こそは「救われることが決まっている人間」と証明するために努力した。

学習心理学
→決まっている報酬では頑張れない。

人の「動機」
「努力が報酬につながる」
因果関係だけでは説明できない。

現代の人事制度
→うまく機能していない。

人事評価の前提
努力→結果→評価→報酬。
シンプルな因果関係。
因果応報。

実際は努力、結果に関わらず出世する人は決まっているのでは?

私見)
現代社会はある意味「予定説」
例)
年功序列。
・若手の努力、成果より勤続年数で報酬が決まる。
企業格差。
・ライン工の長時間努力の報酬<IT企業の平均平社員の報酬。

初めから「報酬の差が決まっている」という点では予定説。

哲学者、内田樹
「日本の文脈」
労働と報酬が正確に数値的に相関したら、人間は働かない。
何の驚きも何の喜びもない。

私見)
過程に意味を見いだせる人間ならそうかもしれない。
結果のみを求める人間には報酬の不確実性は致命的。
例)
ライスワーク。
とにかく給料がもらえればいい。多ければいい。
決まった報酬、決まった労働を効率的にこなしたい。
労働量で確実に報酬が上がる。
→当然のように労働量を増やす。
=昭和の考え?

🐾ジョン・ロック

「経験論」
タブラ・ラサ→何も書かれていない石版。
=生まれたときの人の心。

人間には生まれついての優劣はない。

人の世界への理解。
・直接経験したものから。
・間接的に経験したものから。

個人の素養。
→生まれではなく経験で決まる。
=人間は教育で出来上がる。

※経験と学習で人はいくらでも変わることができる。
 年齢関係なく、知識、経験を学び直すことが重要。

🐾フリードリッヒ・ニーチェ

「ルサンチマン」
弱者が強者に抱くネガティブ感情。
=やっかみ。

認識能力、判断能力の歪みの元。

ルサンチマンに対する反応。
①原因の価値基準に従う。
例)
周りに合わせる。
欲しくもないものを買う。
(高級ブランド、高級車)

②原因の価値判断を変える。
 原因を否定して自己満足する。
→努力、挑戦で解消しなくなる。
例)
「高級フレンチよりサイゼリア」
高級フレンチ=架空の価値観。
成功者、格上の記号。

価値の比較。
高級フレンチ<サイゼリア。
サイゼリアを好む自分はより格上。
→自分を慰めている。

①②どちらも「自分らしい幸せ」から遠のく。
①=社会、他者の判断基準に自分を合わせた。
②=自分の劣等感、願望から目をそらしている。

🐾カール・グスタフ・ユング

「ペルソナ」
外面、表向きの顔。
→個人と社会の間の妥協。

※ペルソナを切り替えることによって社会は成り立っている。

人の人格は必ずしも統一されていない。
場面や役回りで変化、対応させている。
→人格のバランスを維持している。

社会、家庭、個人。
→それぞれに対応したペルソナ。

携帯電話で境界が曖昧になった。

社会、家庭、個人。
どの場面でも携帯電話でつながっている。
どの場面でも社会、家庭のペルソナがついて回る。
→個人のペルソナへ切り替えが出来ない。
=自分の核を見失う。

戦略)
・自分とかけ離れすぎたペルソナは被らない。
・苦痛になるほどの立場、場所からは逃げる。

🐾エーリッヒ・フロム

「自由からの逃走」
ナチスドイツのファシズムl.
自由を手放し、全体主義に走ったのはなぜ?
→自由=孤独と責任。
=耐えられなかった。

ナチズム支持の中心。
→下層、中産階級。

現代日本の「働き方改革」の対象者と一緒。

性格的な特性。
→権威主義的性格。
権威に従うことを好む。
自分も権威でありたい。
=上に媚、下に威張る。

権威主義的性格→ファシズム支持の基盤。

自由な立場→幸福。
自己肯定感と知識が必要。

自分で考え、決断。それを肯定できる自信が重要。

🐾バラス・スキナー

「強化論」
行為の強化。
行為→確実な報酬<行為→不確実な報酬

報酬が不確実な方が行動回数は増える。
=不確実なものほどハマりやすい。
例)
ソシャゲのガチャ。
パチンコなどのギャンブル。

ソーシャルメディアの報酬系。
→ドーパミン。

ドーパミンの分泌条件。
→覚醒、意欲、目標思考行動。
=欲求。

新しい知見に対する欲求を満たすためにSNSに没頭する。
予測できない報酬にハマっている状態。

🐾ジャン・ボール・サルトル

「アンガージュマン」
私はどうのように生きるべきか?
「Howの問い」を重視。

アガージュマン=エンゲージメント。
主体的、自分ごととして関わること。

関わるものとは。
自分自身の行動。
→民主主義では選択や行動は自由。
=意思決定には責任が必要。

世界。
自分の外側の世界も自分の一部。
世界で起こったことにも自分の選択が関わってくる。
例)
戦争。
→「私の戦争」になる。
・反戦運動という選択。
・懲役拒否による逃走という選択。
・自殺という選択。
・受け入れるという選択。

※外側の現実と自分は個別のものではない。
外側の現実→自身の働きかけの結果。
=自身の一部。

現在の日本。
自身で自由な選択をしていない。
例)
会社、組織の言う通りな行動。
ランキング任せの選択。

🐾ハンナ・アーレント

「エルサレムのアイヒマン」
悪の陳腐さについての報告。

特別という認識への揺さぶり。
悪=システムを無批判に受け入れること。
→誰もが犯しうるもの。

悪→能動的ではなく受動的に実行される。

現在、身の回りに組み込まれているシステム。
批判的に見られているか?
距離多いて全体像を見られているか?
悪弊に気づけているか?

システムへの関わり方。
①うまく利用する。抜け道を探すことに集中。
②より良いシステムに作り変えることに集中。

多くの場合、①を選択。
例)
ビジネス書の多く。
①的に「うまくやって稼いだ」という内容。

システムに乗っかる。
=思考停止。

思考停止した凡庸な人間。
→悪となりうる。

🐾エイブラハム・マズロー

「欲求五段階説」
第1段階:整理の欲求
第2段階:安全の欲求
第3段階:社会欲求と愛の欲求
第4段階:承認(尊重)の欲求
第5段階:自己実現の欲求

成功者、自己実現的人間の特徴。
・孤立気味
・少数の人間と深い関係

現代人のSNS、交友関係。
広く薄い関係。
→共依存。

互いに依存しあっている関係。
一緒にいるために一緒にいる。
→必然性がないダラダラした付き合い。
=目的が無いので何も生み出さない。

🐾レオン・フェスティンガー

「認知的不協和」

行為と信条の間に発生する不協和。
→不協和にストレス。

ストレスを無くすために不協和の元を変える。
例)
朝鮮戦争時の洗脳。
捕虜米兵
「共産主義にもいいところがある」
メモを書かされる。
報酬に菓子やタバコが与えられる。

信条に反したことを書かされる。
報酬は些細なもの。
→不協和。
=ストレス。

ストレスを解消させるために認識を変える。
メモを書いたことは変えられない。
「共産主義にもいいところはある」
→自分がそう思っているように思い込む。
=信条を変える。

些細な報酬のために信条を曲げたのではない。
自分は初めから「共産主義にもいいところがある」と思っていた。
→思考、記憶自体を書き換えた。
=認知的不協和。

「意思が行動を決める」を逆にする。
行動に合わせて意思を変える。

外部環境→行動→意思の形成。

※人間は後から合理化する生き物。
行動を正当化、合理化するために感情を変える。

🐾スタンレー・ミルグラム

「アイヒマン実験」
自らが権限を持つ。
自分の意思で行動している感覚。
→非人道的な行動への影響。

官僚制、会社組織。
上位者の下にツリー状に人員配置。
→権限とルールで実務を執行。

執行者は行為の責任は上位者にあると思う。
→良心、自制心が働きにくくなる。
=悪事への忌避感が薄れる。

組織の肥大化。
業務の分業化。
→責任所在がどこにあるのか曖昧。
=執行者の自制心はますます薄れる。

責任転嫁できる。
=自分の行動に罪悪感を感じなくなる。

※現在社会の組織が犯す法令、規則違反の元。

人は権威に対して脆弱。
反対意見やアシストで自制心が後押しされることもある。

自分が今どういう仕組の中にいるのか。
目の前の仕事はどういう結果につながるのか。
自発的に考えて、良心に照らし合わせることが大切。

🐾ミハイ・チクセントミハイ

「フロー概念」

フローの状態「ゾーンに入る」
①全てに明確な目標がある。
 常にやるべきことがわかっている。
②行動にすぐフィードバック。
 達成度合いを自覚している。
③挑戦と能力が釣り合っている。
 退屈も諦めもない。
④雑念がなく集中している。
 行動と意識が一致している。
⑤ノイズがない。
 目的以外頭にない。
⑥不安がない。
 失敗への不安を感じない。
⑦自意識がなくなる。
 他者からの評価を気にしなくなる。
⑧時間を忘れる。
 集中のあまり、時を忘れる。
⑨行動自体が目的になる。
 充足感のために楽しむようになる。

フロー状態
挑戦レベルとスキルレベルが高い水準でバランス。
自分のスキルでなんとかこなせる難易度。
外的雑事がなく集中が維持できる状態。

フロー→コントロール→コンフォートゾーン。
集中→習熟→安定。
安定してしまうと成長できない。

フロー状態を維持し続ける。
→常に挑戦レベルを上げていく。

フロー状態=幸福。
ギリギリの挑戦をし続ける。
乗り越え続けることが幸福につながる。

🐾エドワード・デシ

「報酬」
予告された報酬。
内発的動機を低下させる。

教育心理学。
約束された報酬
→問題解決の能力を低下させる。
=創造性の低下。

出来高払の発想になる。
質の高いものではなく、必要最小限。
報酬目的のコストパフォーマンス重視。

ビジネス→報酬政策。
創造性を低下。
「アメとムチ」でアメが足を引っ張っている。

ムチも足を引っ張る。
失敗が許されなければ挑戦しなくなる。
挑戦する=創造性。

失敗を許容できる社会、会社。
挑戦しやすく、大きく成長できる。

日本→一度の失敗で出世街道から外される。
アメリカ→失敗してもどんどん転職、起業。
      チャレンジ精神、機会が豊富。

創造性を発揮する。
=アメでもムチでもなく「自分がそうしたいから」という意思。

経営学。
報酬で生産性が上がる。
「桁外れの報酬」による効果
起業家が新興企業の株式を狙う理由として上げている。

経営学者の考え。
例)
結果を出したら手厚く報いる。
会社がスタッフに明確に知らせる必要がる。

最も社会に発言力のある経営科学に活かされていない。

私見)
経営学者が例に上げる起業家たち。
報酬目的だったのではなく、「桁外れな報酬を得られるほど難しい課題」だったから挑戦し、創造性を発揮したのでは?
フロー概念的に考えると、それこそが自分の幸福につながると感じていたとか。

<第2章 「組織」>

組織を変えるための考え。

🐾ニッコロ・マキャベリ

「君主論」
恐れられるリーダーになるべき。

マキャベリズム
=君主としての振る舞い、考え方。
→国家の利益になるのならどんな行為も許される。

※「非道徳的な行為も権力者には許される」とは言っていない。
「より良い統治のためには許される」と言っている。
権力基盤が崩れてしまうのなら愚かな行為。

安易にコラテラルダメージを多用しない。

独裁者のバイブル。
土地柄、時代背景を要考慮。
鵜呑み厳禁!

冷徹な合理者。
大規模なリストラは初期段階に一気に行う。
小規模を繰り返すより痛みは少ない。
→企業再生の鉄則。

合理>道徳。

マキャベリズム。
→存亡の危機的な状況で求められるリーダー像。

日常的に求められるリーダー像とは違う。

道徳より結果の乱世の時代。
なりふり構わない結果より道徳の平和な時代。
求められるリーダーは違ってくる。

🐾ジョン・スチュアート・ミル

「自由論」
反論の自由。
→悪魔の代弁者。
多数派に対してあえて批判や反論をする人。
意識的にその「役割」を負う人。

論破されなかった意見。
反論を許さない意見。
意見が正しいとされる場合に大きな隔たり。

反対、反論が認められていた意見。
正しいと言い切れる条件。

意見、言論。
→多数の反論をくぐり抜けて実証されていく。
=優れたものだけが残る。

反論を封じ込めること。
→意見、言論のクオリティが下がる。

圧力以外で反論がなくなる場面。
同レベルの人が集まった会議。
→同質、同方向の意見ばかりになる。
=意思決定の低品質化。

※知的水準の高低にかかわらず起こってしまう。

クオリティの高い意思決定。
→多様な視点からの反論。
=悪魔の代弁者が必要。

🐾クルト・レヴィン

「解凍=混乱=再凍結」
変化を実現するための三段階。

第一段階:「解凍」
思考や行動を変化させる自覚。
→変化の準備。
「なぜこのままではダメなのか?」
「どう変わるのか?」
共感レベルのコミュニケーションが必要。

第二段階:「混乱」
変化による苦痛や混乱。
→反発、不満が頻発する。
サポート体制が重要。

第三段階:「再凍結」
新しい仕組みに適応する。
→以前より快適に感じる。
変化の効果を宣伝し、後押しする。

解凍=終わらせる。
何かを変えるとき→「始まり」という考え。
何かを変える→今までのやり方を「終わらせる」
→ケリをつける。

※変化は「始まり」からではなく、「終わり」から始める。
転機=何かが終わる時期。

始まることに意識が向く。
終わるものに向き合わない。
→変革が中途半端になる。

昭和→平成。
平成は昭和を終わらせられなかった。
昭和→登り。
平成→下り。
=同じ山を登って下った。

そもそも登る山は同じでよかったのか?
昭和の仕組みを続けた。
→世界から取り残された?

別の新しい山を登るべきだった。

🐾マックス・ヴェーバー

「職業としての政治」
カリスマ。

権威に服従する拠り所。
・歴史的正統性
・天与の資産(カリスマ)
・合法性

カリスマ性。
組織のリーダーとしてみると希少すぎる。
需要に対して供給がまったくたりない。

カリスマ性のあるリーダーが組織をつくる。
惹かれて集まった被支配者。
細かなルールがなくてもリーダーの言動でまとまる。

リーダーの世代交代。
→カリスマ性の無いリーダー。
組織運営が滞る。

カリスマ性を持つリーダーを人工的に量産が課題。

🐾ロバート・キング・マートン

「マタイ効果」

先行者有利。
初期パフォーマンスがよい。
→学習機会が多い。
=結果を多く出しやすい。

教育のコストパフォーマンス。

新入社員。
最初に飲み込みの早い人に注目。
→集中的に経験学習させる。
=同僚よりチャンスに恵まれる。

組織の人材の偏り。
初期パフォーマンスの悪かった者が見限られる。
→意外なアイデアを出すような人を取りこぼす。
=人材の柔軟性が損なわれる。

人材育成→長い目で見るのも大事。

🐾ヘールト・ホフステード

「権力格差指標(PDI)」
部下が上役に対して反論するときの心理的な抵抗の度合い。

ホフステードの六次元。
文化的風土での行動の違い。
①上下関係の強さ。
②個人主義的傾向の強さ。
③不確実性回避傾向の強さ。
④男、女らしさを求める傾向の強さ。
⑤長期的視野傾向の強さ。
⑥快楽的か禁欲的か。

権力格差の違い。
→上司、部下の関係性に作用。

各国のPDI
数字が少ないほうが権力格差が少ない。
(上司と部下が対等に近い)
フランス:68
日本:54
イタリア:50
アメリカ:39
カナダ:39
旧西ドイツ:35
イギリス:35

権力格差が高い職場。
→部下が上司に意見しにくい。
=上司の暴走を止めにくい。

日本の状況。
コンプライアンスの問題。
組織上層部の非道徳的決定。
→現場、末端社員は反対意見を言えない。

組織変革、改革の場合。
若い世代がこれまでの仕組みに意義を唱えられない。
→斬新なアイデアが出づらい。

※上司は積極的に部下の反対意見を聞くことが重要。

🐾ナシーム・ニコラス・タレフ

「反脆弱性」
外乱、圧力によってパフォーマンスが高まる性質。

外乱、圧力によって弱まる。
→脆弱=脆い。

頑強→耐久力がある。衝撃に耐える。
=現状維持。

反脆弱性→衝撃を糧にする。
=変化し続けてきたもの。

※逆境をバネにして成長する。

例)
炎上マーケティング。
炎上→ストレス、外乱、圧力。
→集客、集金のパフォーマンスを上げる。

人間の体。
絶食、運動→ストレス。
→健康度が高まる。

リスクを予測。
→頑強、丈夫なシステムで対応。

現実→リスク予測不可。
万全な対応を用意できない。

ある程度失敗を許容できる組織。
→学習し、創造性を高める。
=長期的に成長できる。

<第3章 「社会」>

いま、何が起きているのか。

🐾カール・マルクス

「疎外」
人間が創り出したものが人間から離れる。
人間をコントロールするようになる。

人間が創り出したシステムに人間が振り回される。

資本主義社会のむかう先。
・労働生産物からの疎外。
工場製品
→生産労働者のものではないく会社の資産。
=資本家のもの。

・労働からの疎外。
 資本主義社会の労働
→単純、退屈で避けたいもの。
 本来の動労
→創造的な活動。
賃金労働性で歪められた。

・類的疎外。
 資本主義社会の人間。
→社会、会社の機械的な部品。
健全な人間関係が破壊されている。

・他人からの疎外。
(人間らしさからの疎外)
 資本主義社会の人間性。
→生産性で見られる。
社会、会社にとって有用かどうかで見られる。
稼げる人間か稼げない人間か。

社会の様々な疎外。
目的と手段が逆転している。
・資本市場
→制御も予測もできない。
・人事評価
本来の目的→組織の人材最適化。
→制度を回すこと自体が目的になっている。

問題可決のために制度をつくる。
→問題は解決できない。
→新制度のせいで新たに問題が出る。

外側からコントロールしようとすると疎外が生まれる。

理念や価値観で行動することが重要になってきている?

🐾ジャン・ジャック・ルソー

「社会契約論」
一般意志。

集合的な意思決定システム。
データを集めて解析。
→絶対の決定。

例)
データ解析の結果。
一人の人間の抹殺で社会に大きな利益。
→一方的な通達と実行。

個人の意見は反映されない。
非人間的で冷徹な決定方。

個人よりも高い品質の意思決定も可能。
うまく機能すれば、集団の誰よりも賢い決定ができる。

現在の通信技術、AI技術を使えば、良いシステムを作ることが可能かもしれない。

私見)
アニメ「サイコパス」のシステムそのもの。

現実的につくるとしたら。
問題解決のためにHPに掲示板を設置。
自由に意見を書き込んでもらう。
AIでデータ収集、解析。
過去の類似問題、解決の結果とも比較検証。
→最終的な決定をする。

最終決定は書き込み、過去例のどれにも収れんしない。
平均値とも異なるものになる。

とかになるのかな?
AIがどこまで学習できるのか不明。

🐾アダム・スミス

「神の見えざる手」
市場による調整機能。

市場には価格の高低を調整させる圧力が働く。
市場全体の取引量が中長期的に最大化される。
=市場原理。

最適解を導き出すことに応用できる。
経営者が全部。論理思考で出した答え。
現場まかせの流れで出来上がった答え。

現実的に「最適」と言えるのは後者。
頭の中で出来上がった最適より実際の動きの中で出来上がった最適のほうが使いやすい、使われやすい、通用しやすい。

変化の激しい現代。
考えが及ばないことが多数起こる。
状況が複雑すぎる。

頭のいい経営者、リーダーだけでは予測しきれない。
知的傲慢では対処不能。

🐾アミール・デュルケーム

「アノミー」
無連帯。
無規範・無規則につながる。

働き方改革。
フリーランスの増加。
→アノミー化。

「社会分業論」
分業化が行き過ぎると共通規範が育たなくなる。

「自殺論」
・利他的自殺
(集団本位的自殺)
集団に服従を強制される。
集団に合わせようとした結果の自殺。

・利己的自殺
(自己本位的自殺)
孤独感、焦燥感。
集団との結びつきの欠如。
個人主義の拡大で増加。

・アノミー的自殺
自由すぎて欲望が膨らみすぎる。
現実的に実現できない虚無感による自殺。

規律、規範が緩む≠自由。
自由すぎても不安定な状況におちいる。

働き方改革。
会社、集団からの解放。
→強い孤独感。

アノミー化を防ぐ。
・家族の復権
・ソーシャルメディア
・ヨコ型コミュニティ(ギルド)
会社から職業という枠組みへ変える。

私見)
無連帯にはなり得ないのでは?
人がいる限り、承認欲求がある限り必ずどこかで連帯は生まれるはず。
会社、国家、職業など、何らかの枠組みが必要不可欠というわけではないと思う。
他者貢献欲求、社会貢献欲求などいろいろ。
自分だけ、自己満足だけで我慢できる人間も多くはないはず。

個人
→各々の目の前に集中。
結果をシステムに放り込む。

社会システム。
→個人の成果を集積、増大。
社会全体の成長に利用する。

例)
個人→こんなもの作りましたよ。こんなサービスはじめますよ。
システム→閲覧、拡散、利用、参加できる場所。
(クラファンなど)

企画→製造→販売→購入→利用。
全部バラバラ。
承認欲求→誰かに知らせたくなる。見せたくなる。
人が集まり、繋がりができる。

🐾マルセル・モール

「贈与」
贈与物=宝物。
経済的に価値あるもののことではない。

自分の能力や感性。
希少性を感じる人に「贈与」
→いくばくかのお礼。

例)
音楽家。
楽曲が好きなファン1000人
→1000人のファンが月1000円のカンパ。
=生活に十分の収入。

私見)
アフィリエイトやYou Tubeのスパチャ、投げ銭の考えなのでは?

🐾ジル・ドゥルーズ

「アンチ・オイディプス」
パラノとスキゾ。

パラノ=パラノイア→偏執型。
スキゾ=スキゾフレニア→分裂型。

偏執型。
アイデンティティに偏執。
パラノ型の人。
自身のアイデンティティに固執し強化しようとする人。
一貫性のあるわかりやすい人格、人生

分裂型。
アイデンティティに縛られない。
スキゾ型の人。
感性や美意識、直感に従う自由な人。
アイデンティティや自己イメージとの整合性にこだわらない。

パラノ型→環境変化に弱い。
一つの会社、一つの職業に固執。
→危険。

企業、事業の寿命は短くなっている。
「この道うん十年」は通用しなくなってきた。
自分のアイデンティティであっても切り替えが必要。

スキゾ型。
ヤバそうだと思ったら逃げる。
行き先不明でもとにかく動く。

日本の考え方はまだまだパラノ型。
イノベーションの停滞の元。

逃げる勇気。
踏みとどまるのは勇気ではなく思考放棄。
「頑張ればなんとかなる」
「最後まで頑張る」
付き合う必要はない。

🐾メルビン・ラーナー

「公正世界仮説」
努力は報われる。

世の中必ずしも努力が報われるとは限らない。

1万時間の法則。
一流になるには1万時間の練習(努力)が必要。
→「努力原理主義」
主張者の論拠は一部の有名人のみ。

※努力は必要だが成果につながるかは別。

努力量とパフォーマンスの差
テレビゲーム:26%
楽器:21%
教育:4%
知的専門職:1%以下

公正世界仮説
頑張っている人は必ず報われる。
→実証研究結果からは否定されている。

努力の累積量≠パフォーマンス。

努力を過信しすぎる。
→スジの悪い努力。
=人生の浪費。

公正世界仮説の危険性。
→弱者非難、被害者非難。

世の中は公正である。
幸福になる者は努力したから。
→不幸になる者はそれなりの原因がある。

日本のこコトワザ。
・自業自得
・因果応報
・人を呪わば穴2つ
・自分で蒔いた種
→弱者非難に繋がっている。

逆恨みの原因にもなる。
努力して会社で働き続ける。
リストラで解雇。
→努力した者を切り捨てた。
=会社は公正ではない!

実際には努力と評価、報酬は別物。

基本として世界は公正ではない。
方向性を間違えた努力は決して結果につながらない。
「人目につかなくても努力さえしていれば」
→人生を破壊しかねない考え方。

<第4章 「思考」>

思考の落とし穴におちないために。

🐾ソクラテス

「無知の知」
知らないことを知っている。
→認識していいないと学習がはじめられない。

学びの過程
①知らないことを知らない。
→スタート以前。
知ったかぶり状態。

②知らないことを知っている。
→学習への欲求、必要性が生まれる。

③知っていることを知っている。
→何を知っているのか把握出来ている。

④知っていることを知らない。
→無意識に知識を活かせる状態。
=達人、マスタリーの領域。

マスタリー。
無意識に知識を応用して成果を出している。
→アドバイスを聞かれても答えられない。
本人は特別なことをしていることを意識していない。

例)
「どうすれば貴方のように出来ますか?」
「自分は特に何もしていませんよ」

③時点
安易な「わかった」の危うさ。
物事を要約、まとめたがる。
パターンとして認識する。
例)
「要は〇〇ってコト」

自分の知識、枠組みに当てはめる。
要点を抽出して一般化。
→まとめたい欲求。

「要は〇〇ってことでしょ」
→会話相手はモヤっとする場合がある。
要約される。
→取りこぼしがあるのでは?

自分にとっても枠組み意外に目がいかなくjなる。
自前の知識、枠組みによってフィルタリング。
→情報が歪められる。
=間違って解釈している可能性。

話の聞き方レベル。
レベル1
自分の枠内の視点で考える。
情報を過去の思い込みに流し込む。

レベル2
視点が自分と周辺の境界にある。
事実を客観的に認識できる。

レベル3
自分の外に視点がある。
相手の使っている言葉で表現できる。

レベル4
自由な視点。
全部がつながったような知覚。

「要するに〇〇でしょ」=レベル1
会話から成長できない。

※成長したければ安易な「わかった」は戒める。

🐾フランシス・ベーコン

「イドラ」
イドラ=偶像。
(アイドルの語源)

誤解や偏見の元をイドラで分類。
・種族のイドラ(自然性質によるイドラ)
→「錯覚」
例)
甘いものを食べる。
ミカンを食べる。
→酸っぱく感じる。

・洞窟のイドラ(個人経験によるイドラ)
→「独善」
自身が受けた教育や経験。
狭い範囲の材料で決めつける。

・市場のイドラ(伝聞によるイドラ)
→「噂」
例)
ネット掲示板で聞きかじった知識。

・劇場のイドラ(権威によるイドラ)
→権威、伝統を無批判で信じる。
評論家、有名人の話を鵜呑みにする。
→「メディア」のイドラ。

物事の正しい認識を阻む要因。

自分の意見がどのイドラで歪められているか?
→注意が必要。

知ることだけでは十分ではない、それを使わないといけない。やる気だけでは十分ではない、実行しないといけない。

ゲーテの言葉


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