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【文字創作】夜を注ぐ

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この世の裏で密かに営まれる"夜"を巡る物語。
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2021年5月の記事一覧

【夜を注ぐ④】

【夜を注ぐ④】

前話→ https://note.com/shimishmidaikon/n/n731dcfb51f20

カヤがミサトの手をぐいぐい引きながら歩くと、急に開けた場所に出た。鬱蒼とした木々は途切れ、草原と満点の星空が広がっていた。

ただ、広がっていた。

そこにはおおよそ酒造の出来るような施設も、建物も無かった。ミサトは裏切られたような気分になったが、あまりの肩すかしに言葉も出ない。

「ここ

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【夜を注ぐ⑤】

【夜を注ぐ⑤】

前→ https://note.com/shimishmidaikon/n/nc2ba17ab2d24

果てなく続くと思っていた夜空は、ぐにゃりとその表面に波をつくり、ひずみを徐々に広げたと思えば、やがてその中心から一筋の"夜"が涙のように、音もなく降り注いだ。

ぱたっ ぱたっ

頬にあたった"夜"は生温かい。ミサトが頬にさわった指を見ると、空を写し取ったような満天の星星が指を染めていた。

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【夜を注ぐ⑥】

【夜を注ぐ⑥】

あらすじ  夜が落ちてきました。

1話から→https://note.com/shimishmidaikon/m/m0311c6be2e90

空から一つの筋となって滑り落ちてくる夜は、草原中央にある机に置かれたポットの中へ一直線に注がれている。

「これは、何なんですか?」

ミサトはさっきの言葉をもう一度聞いてみた。

ここまで来たら、何も聞かないほうがアホらしい。知らないことはとことん聞

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【夜を注ぐ⑦[終]】

【夜を注ぐ⑦[終]】

今までのもの→https://note.com/shimishmidaikon/m/m0311c6be2e90

春の風が草をなで、二人の間を音もなく抜けていく。その冷たさが妙に堪えて、ミサトは体を縮めた。そして満天の星を眺めながら、ぽつぽつと言葉を落とした。

「私お酒って好きじゃないんです。苦いし、喉痛くないですか?」

入社したての私は、周りに促されてレモンサワーを初めて飲んだ。消毒でも飲ん

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