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しっとり鶏肉
2021年5月5日 02:12
前話→ https://note.com/shimishmidaikon/n/n731dcfb51f20 カヤがミサトの手をぐいぐい引きながら歩くと、急に開けた場所に出た。鬱蒼とした木々は途切れ、草原と満点の星空が広がっていた。ただ、広がっていた。そこにはおおよそ酒造の出来るような施設も、建物も無かった。ミサトは裏切られたような気分になったが、あまりの肩すかしに言葉も出ない。「ここ
2021年5月8日 23:26
前→ https://note.com/shimishmidaikon/n/nc2ba17ab2d24果てなく続くと思っていた夜空は、ぐにゃりとその表面に波をつくり、ひずみを徐々に広げたと思えば、やがてその中心から一筋の"夜"が涙のように、音もなく降り注いだ。ぱたっ ぱたっ頬にあたった"夜"は生温かい。ミサトが頬にさわった指を見ると、空を写し取ったような満天の星星が指を染めていた。
2021年5月16日 22:58
あらすじ 夜が落ちてきました。1話から→https://note.com/shimishmidaikon/m/m0311c6be2e90 空から一つの筋となって滑り落ちてくる夜は、草原中央にある机に置かれたポットの中へ一直線に注がれている。「これは、何なんですか?」ミサトはさっきの言葉をもう一度聞いてみた。ここまで来たら、何も聞かないほうがアホらしい。知らないことはとことん聞
2021年5月26日 20:26
今までのもの→https://note.com/shimishmidaikon/m/m0311c6be2e90春の風が草をなで、二人の間を音もなく抜けていく。その冷たさが妙に堪えて、ミサトは体を縮めた。そして満天の星を眺めながら、ぽつぽつと言葉を落とした。「私お酒って好きじゃないんです。苦いし、喉痛くないですか?」入社したての私は、周りに促されてレモンサワーを初めて飲んだ。消毒でも飲ん