しっとり鶏肉

思いついたもの、思ったことを書くところにします。 漫画・アニメが好きです!! Twit…

しっとり鶏肉

思いついたもの、思ったことを書くところにします。 漫画・アニメが好きです!! Twitter→https://twitter.com/shittoricream1?s=09

マガジン

  • 【文字創作】夜を注ぐ

    この世の裏で密かに営まれる"夜"を巡る物語。

  • コーヒースプーン

    魔法使いがいる店と噂されるとある喫茶店の話

最近の記事

Bの記憶

私とお兄ちゃんはいつも仲良しなの。ホコリとカビの匂いのする貧民街でもお兄ちゃんは私を気にかけてくれるし、私もお兄ちゃんを支えるために街に出て精一杯お金を集める。なかなか良いコンビでしょ?…目は生まれつきじゃないよ、流れ星で潰れたの。 嘘じゃないって。昔お兄ちゃんとテントから星を見ていたら急に!チカって一直線に飛んできたの!…そのせいで目は見えなくなったけど、あの時の流れ星は、そんな事気にならないくらいキレイだったな…。そういえばお兄ちゃんとはその日に仲直りしたっけ…流れ星の

    • Aの記憶

      ※一部暴力的表現を含みます。 孤児院にいた私を養子として受け入れたのは、広いお屋敷に住む、一人の貴婦人だった。平民である私にも分け隔てなく接し、我が子のように愛でた。 7歳の夏、私が花瓶を割ったのをみると、顔を真っ青にして駆けつけひどく叱りつけた。婦人は「怪我をしたらどうする」と何度も繰り返した。 私はそれと同じ位何度も花瓶を弁償すると言ったが、怪我さえなければ良いと断られた。私は弁償を持ち出した無責任さと浅ましさを深く反省したが、嬉しかった。 私はその後怪我もなく、病

      • 【短編】ふるえる温度

        家に一人床に横になっていると、意識が部屋の中、部屋全体、家の中まで広がっていく感覚になる。  平日のよく晴れた昼下がり、私が書斎の床に背中をぺたりと密着させていると、家を歩く妻の足音や椅子を引く振動は背中から体全体をじわじわと伝う。妻はトイレから出たあとキッチンへ向かい、水を入れたやかんを火にかけると手近な椅子を引き、腰を下ろしたようだ。次に冷蔵庫の無機質な音があたりを包む。本でも読んでいるのだろう。やがて我が家の使い熟されたやかんがコトコトと音を立て始めた。妻はやかんを火

        • 箱 (台本)

          〇事務所に積みあがる段ボール。 2人のスーツの男がだらだらと部屋を行き来している A「社長、いい奴だったのになぁ。ハーゲンダッツくれるし」 B「いいとこそこかよ。  まぁ週3でダッツ買ってたしそうか…  いや他にもあるだろ?社長の良いとこ。…ないか」 A「あーもー腰いて~。休憩しよ休憩。  3人でよくやった方だって…てかあいつ  まじどこまで飯買い行ってんの?遅くね?」 B「またどっかで田んぼのイナゴとか眺めてんだろ?」 A「はは、懐かしーねそれ。(窓開ける)  みんな薄情

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        • 【文字創作】夜を注ぐ
          7本
        • コーヒースプーン
          2本

        記事

          啓蒙って難しすぎ!

          自己満と他利益のあわいに揺れる…それがボランティアサークルの宿命!!と思い始めた今日このごろ。皆さんいかがお過ごしでしょうか? 皆さんお察しの通り、私は下っ端ボランティアサークル員として日々を生きる若者です。 その活動の中でもよく出てくるのは"啓蒙"の二文字。ゴミ拾いも海岸清掃も大方の目的は啓蒙の為だと思います。 しかし、啓蒙とはなんの為にあるべきなのか、自分の考えを伝えるって案外難しいぞ…?? 人と喋ることさえままならないのに!!! そんな折に出会ったのがこの本。

          啓蒙って難しすぎ!

          スパゲッティアイス作ってみた

          ーーー自己紹介2日目 長らくおまたせしました。自己紹介で宣言した スパゲッティアイスを作りたいと思います💨 参照したレシピはこちら(ドイツ語です翻訳かけてね) https://www.einfachbacken.de/rezepte/spaghetti-eis-selber-machen-einfaches-rezept-mit-erdbeersosse スパゲッティアイスとは、ドイツで人気らしいアイスの食べ方のことです🎶wiki参照↓ Spaghettieis ht

          スパゲッティアイス作ってみた

          しっとり鶏肉です。

          自己紹介が遅れてしまいましたが、 はじめまして。しっとり鶏肉です。 自分が思ったことや、創作したものをnoteに載せに来ました。どうぞよしなに。 アイコンは鹿ですが、好きな食べ物は鶏肉です。名前の由来もこれです。水炊きにして食べるのが一番好き… あ、鹿肉も美味しいよね! 最近は更新出来ていませんが、ぼちぼちやっていければと思っている所存!(言い訳じゃない言い訳じゃない…) 夢はスパゲッティアイスを世に広める事です!! 気になる方はドイツのお菓子なので調べてみてね😋

          しっとり鶏肉です。

          【夜を注ぐ⑦[終]】

          今までのもの→https://note.com/shimishmidaikon/m/m0311c6be2e90 春の風が草をなで、二人の間を音もなく抜けていく。その冷たさが妙に堪えて、ミサトは体を縮めた。そして満天の星を眺めながら、ぽつぽつと言葉を落とした。 「私お酒って好きじゃないんです。苦いし、喉痛くないですか?」 入社したての私は、周りに促されてレモンサワーを初めて飲んだ。消毒でも飲んでいるかのようなそれは飲めたものではなかったが、頭のモヤがふやけてゆく感覚だけが

          【夜を注ぐ⑦[終]】

          【夜を注ぐ⑥】

          あらすじ  夜が落ちてきました。 1話から→https://note.com/shimishmidaikon/m/m0311c6be2e90 空から一つの筋となって滑り落ちてくる夜は、草原中央にある机に置かれたポットの中へ一直線に注がれている。 「これは、何なんですか?」 ミサトはさっきの言葉をもう一度聞いてみた。 ここまで来たら、何も聞かないほうがアホらしい。知らないことはとことん聞き出してやる。 ミサトは自身の好奇心と、えも言われぬ正義感が赴くまま、もう一歩

          【夜を注ぐ⑥】

          【夜を注ぐ⑤】

          前→ https://note.com/shimishmidaikon/n/nc2ba17ab2d24 果てなく続くと思っていた夜空は、ぐにゃりとその表面に波をつくり、ひずみを徐々に広げたと思えば、やがてその中心から一筋の"夜"が涙のように、音もなく降り注いだ。 ぱたっ ぱたっ 頬にあたった"夜"は生温かい。ミサトが頬にさわった指を見ると、空を写し取ったような満天の星星が指を染めていた。 「夜って…」 「ふふ、すごいでしょう?」 カヤはさも得意げという声でライトを

          【夜を注ぐ⑤】

          なにかのプロローグ

          先の見えない階段を、あてもなく下っている。 ひたり、ひたり。 足音が反響するのを聞きながら、私は降り続ける。この階段がどこへ続いているのか、自分が一体いつからこの階段を下り始めたかすら思い出せない。 ただ、振り向くと後ろに延々と伸びる登り階段を見て、よっぽどこの階段をくだらなければいけない理由があるのだと自分を納得させ、一段、また一段と私は足を下ろしていく。 階段は石造りで、端から端まで10歩半の壁はコンクリートの打ちっぱなし。明かりは前からも後ろからも届かず、手元にあ

          なにかのプロローグ

          【夜を注ぐ④】

          前話→ https://note.com/shimishmidaikon/n/n731dcfb51f20 カヤがミサトの手をぐいぐい引きながら歩くと、急に開けた場所に出た。鬱蒼とした木々は途切れ、草原と満点の星空が広がっていた。 ただ、広がっていた。 そこにはおおよそ酒造の出来るような施設も、建物も無かった。ミサトは裏切られたような気分になったが、あまりの肩すかしに言葉も出ない。 「ここが夜の溢れる場所よ」 ミサトとは対象的に、カヤは絶えず笑顔で話し続けており、今

          【夜を注ぐ④】

          【夜を注ぐ③】

          2話→ https://note.com/shimishmidaikon/n/n00a8dbabcd71 帰りたい…。酒の勢いでこんなところまで来てしまった自分を責めながらも、ミサトの頭はどうやってこの場から逃げるか、口封じの追跡を免れるか、とキリキリと回り続けていた。 しかしどう考えても逃げることも追跡を免れることもできない。同じく酔った勢いでミサトの職場、出身、住所がカヤに開示済みだったのが大きい。しかも3回ほど同じ話をしたので、都合よく忘れられてもいないだろう。

          【夜を注ぐ③】

          【夜を注ぐ②】

          1話→ https://note.com/shimishmidaikon/n/nc7bd95a9dea0 「このグラスに入っているのは"夜"。ほら、中で光っているのが星よ。これは星雲。星が入ったものは珍しいから、取り寄せるのに苦労したの」 カヤさんは、よく通る声で楽しげに言葉を紡ぐ。私がキレイだと言った"夜"は、カヤさんがグラスを回すのに合わせて踊り、様々な模様を浮かび上がらせた。 「すごいすごい!どこのお酒なんですか?」 ミサトは少女のような目でカヤの話に聞き入り、

          【夜を注ぐ②】

          【夜を注ぐ①】

          路地裏にある小さなバー。ネオンを放つ看板の下には、小さなベルのついた、これまた小さなドアが中から怪しげな香りを漂わせている。 その様を遠目に眺める、スーツ姿の女性がいた。 その女性はよろめきながら店に近づき、店の前でただ呆然と立ちつくしていた。 「…なんら?…このバー…」 ふやけた視界でネオンをとらえると、次の瞬間には、そのドアに手をかけていた。よろめく足音と可愛らしいドアベルの音だけが、路地裏に響いた。 店内は外観よりも簡素だ。小さなカウンターと、二人席がちらほら

          【夜を注ぐ①】

          【コーヒースプーン②】日だまりが心地よい話

          温かな日差しが窓から差し込む昼下がり。皆様いかがお過ごしだろうか。私はとても幸せだ。 この窓辺の席は私のお気に入り。最近見つけた私のオアシスなのだ。 喫茶「ねこの手」にはいくつかの隠れ家的な席が存在する。  まず入り口から入って左右には窓際二人席が観葉植物に隠されるように配置されている。つぎに中央のカウンター席の脇から伸びる廊下に壁をくり抜いたような第二の隠れ家席。 そしてその廊下の奥にある階段を上がると、二階席。こじんまりとしたこの空間はまさに隠れ家席の宝庫と言える。

          【コーヒースプーン②】日だまりが心地よい話