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ひび

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日々のことについて文章を書きます。
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2018年12月の記事一覧

おれたち

初めて主催ライヴをしたのは二十歳のときで、今は亡きワッハ上方という劇場で『おれたちの舞台』というのをやった。自分が面白いと思う芸人を何組か誘って、MCやらトークコーナーやら何やらを一切排除した、ネタのみのライヴだった。自分の拙い文章と、演者のネタの題名を紙に書いて、香盤表として受付で配った。

『おれたちの舞台』はその後、三ヶ月に一度くらいのペースでやった。今でも仲の良い、山が動く寺岡さんや金属バ

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東京2日目

起きると自分はカプセルの中にいた。昨日はライヴの余韻で脳内が冴え渡り、身体は疲労しているのに全然眠れず、最後は、蟹のコスプレをしたギャルに陰茎を挟まれる想像をしながら気絶するように寝た。喫煙所で煙草を吸って、大浴場で朝風呂に入り、寝ぼけ眼でチェックアウト。外は、思っていたよりも寒くない。空は快晴、自分は欠伸をしながら、のらのらと歩き続けた。

ゴミ溜めの新宿の街を抜け出して、どこか気分の晴れる場所

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ヤング寄席

少し仮眠して、朝起きたらもうやべえ、急いでワーシャー浴びて、準備して、出発して、大阪駅へ行き、バスに乗り込み東へ行く。バスは快適な3列シート、のはずが、後ろにいる人に配慮して自分は背もたれを少ししか倒すことが出来ず、結果、眠りたくても眠れない。身体をねじり二の腕に首をもたれて不自然な体勢のまま、揺られる。携帯のネットで、ヤフー知恵袋を見たりしながら時間を過ごす。Q、昨日買った豚肉が所々青く腐食して

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どうせまた東京

クリスマスに、また、東京へ行く。好きでもない東京になぜまた行くのかと、自分でも呆れる。DV彼氏を持つ彼女のような気持ちだ。呼ばれたら、行っちゃう。主催ライヴと、お呼ばれしたライヴと、二日間の東京滞在である。前回は、帰りの夜行バスを間違えて予約した結果、意味も無く散財した挙句に、自分は廃人と化した。今回はきちんと予約したつもりだが、もしも出来ていなかったらどうしよう。宿は、新宿歌舞伎町の安宿を予約し

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ブラック・アイズ

『黄昏流星群~人生折り返し、恋をした~』が終わってしまった。これから自分はこの鬱屈な日々をどう過ごしたら良いのだろうか。毎週木曜日の楽しみは、第十話であっけなく幕を閉じてしまった。最後の二話は正直物足りなさを感じた。第三話、第四話あたりの急展開やカタルシスと比べると、少し冗長気味であった。それでも最後は黒木瞳が幸せになる結末で、自分は胸を撫で下ろし、良かったやんか、と思った。第一話と第二話を見てい

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素直

自分は昔から虚言癖というか、思ってもいない言葉を平気で言ってしまう癖がある。いいね、と心の中では思っていても、あんまりやな、と言ってしまったり、あんまりやな、と心の中では思っているのに、いいっすね、と言ってしまう。また、事あるごとに嘘や悪態をつき、周囲全般を小馬鹿にしている節がある。自分でも原因は分からない。

会話はタイミングと空気感が大事なので、言葉が曖昧でも、声質や表情で相手に心の内が伝わる

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放送禁止

先日、先輩に誘われてライヴに出演したのだが、そのライヴのコンセプトは、放送禁止の強烈にヤバいネタを各々が演るというもので、そんな下劣なライヴを果たして誰が見に来るのかと思ったのだが、聞くとチケットは即日完売したというから不思議なものである。

放送禁止用語といえば、キチガイオマンコ乞食など、多々存在するようだが、そうした言葉を使ったネタを演るのも安易なので、我々はあくまで言葉は放送に乗せられるもの

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聖なる性の精

自分は私立の男子校に中学高校と六年間通った。地獄の六年間だった。思春期の真っ只中を、女子との接触を遮断された状態で過ごした。精液にまみれた教室にはガリ勉の糞芋メガネ君たちが常に転がっていて、また、カトリックの学校だったために、毎日主に対して強制的な祈りを捧げさせられた。そんな青春だった。今思うと狂気の沙汰である。

教師は全員気狂いだった。ある授業中に、自分は官能小説を書いていた。休み時間に友達に

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ドラマ

自分の好きなものを堂々と言える人が羨ましい。自分も、それなりには言うけれど、中にはちょっと恥ずかしいというか、好きやけど人にはあまり言いたくないもの、がある。昔は、あややが好きだった。友達に言うと必ず馬鹿にされるので、言わなくなった。コンビニで売られているコーンマヨネーズパンも好きだったが、人にはあまり言わなかった。『こどものおもちゃ』という少女漫画も大好きだったが、言わなかった。けれども、もう自

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好きなものは好き

前回は自分の好きなドラマを紹介した。今回は自分の好きな様々な事柄について書いてみようと思う。結局のところ、その人が何を好きなのか?は、その人自身を体現している。誰かとの相性を考える際にも、相手の好みを知ることで、大まかな一致不一致が分かる。たとえば自分の場合、マクドナルドが好きな人とはあまり上手く付き合えない気がする。こればかりは、仕方が無い。少なくとも、自分の友達でマクドナルドが好きな人はいない

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真冬の散歩

自分は末端冷え性である。手先足先がとにかく冷える。この時期になると、寝る寸前などは足の指が氷の如く冷え切って、眠ることもままならない。

真冬の散歩が好きで、鋭い風に吹かれながらマフラーに顔をうずめて、ポケットに両手を仕舞い込み、腰を丸めて歩く。どこへ行くわけでも無く、鼻歌でとぼとぼと徘徊する。家に帰ると足の裏はアイスクリーム。いくら揉んでも冷えは取れず、ストーブに足の裏を当てて、じんわりとアイス

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あなたもわたしもさみしい

冬のせいなのか、夜になるとまた少し寂しくなって、冷たい布団の上を転がりながら独りで唸っている。けれども、寂しいのはおそらく自分だけではない。皆が心の奥底にどこか寂しさを抱えているはずで、最高に幸せな日常を送っている人の方が極めて少数派ではないだろうか。中には、おいらは毎日ベリーハッピー、悩みもネー、病いもネー、すこぶる元気なサンシャインボーイ、みたいな輩もいるだろうが、そんな奴はどこかの誰かに銃殺

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