東京2日目

起きると自分はカプセルの中にいた。昨日はライヴの余韻で脳内が冴え渡り、身体は疲労しているのに全然眠れず、最後は、蟹のコスプレをしたギャルに陰茎を挟まれる想像をしながら気絶するように寝た。喫煙所で煙草を吸って、大浴場で朝風呂に入り、寝ぼけ眼でチェックアウト。外は、思っていたよりも寒くない。空は快晴、自分は欠伸をしながら、のらのらと歩き続けた。

ゴミ溜めの新宿の街を抜け出して、どこか気分の晴れる場所は無いものかと、ひたすらに歩いていたら、見知らぬ大木の森が見えた。新宿御苑。入場料200円を払って中に入ると、どうやらどでかい公園、庭園らしい。ベンチに座り、鳥のコーラスを聞きながら木々を眺める。冬の枯れ木の中にまだ紅葉が残っていて、美しかった。深呼吸をしたら、年の瀬の匂いが身体に充満して、人間らしさを取り戻せた気が、した。

それにしても人がいない。たまにすれ違うのは、外国人観光客ばかりである。どんぐりが落ちている。自分は「手のひらを太陽に」を歌いながら、闊歩した。庭園内のレストランで飯を食い、再び外のベンチに座り、ぎょえーん、とか言って独りでくつろいでいると、途端に寒気がしてきた。腹痛。何やら胃の中でミミズやオケラやアメンボが踊っているような具合で、苦しい。背中を丸めて腹を抑えながら、新宿御苑を出た。薬局が見当たらない。いつの間にか、またゴミ溜めの街に戻って来ている。ようやく見つけた薬局で胃薬を買って、即座に流し込んだ。ぎょえーん。

夜のライヴは方南町会館という場所で、「スーパーボボライブ」。ライブ中に、ずっと謎のハウリングが起きていて、ぴぃぃぃ、と気味が悪い。変な人が沢山出ていたが、大陸くんが面白かったことは言うまでも無い。打ち上げには行かず、独りでホルモン肉を食べて、今はバスで帰っているところ。遅れずに間に合って良かった。快適な3列シートで、後ろの席には若い能面みたいな女。やはり背もたれを倒すのは少しだけにしておこう。明日の朝には大阪に着く。やったあ。

何もいりません。舞台に来てください。