年間200回登壇する研修講師による「人前で緊張しないたった1つのコツ」
プレゼン、商談、就職面接、ミーティング…、人前で何かを話すシーンはどんな人にもありますよね。
私は現在、企業や自治体で講演や研修の仕事をしています。
また、年に1回程度、大学でキャリアデザインの講義で登壇したりもしています。
先日、講義を受講した女子大生から、こんな相談をされました。
1. 女子大生からの相談「緊張しないコツってありますか?」
就活中の学生や転職活動中の方から、よくこんな相談をされます。
なんとしたいお気持ち、よ~くわかります。
というのも、わたくしは今でこそ年間多い時で200日、人前で話す仕事をしていますが、以前は、とっても苦手でした。
忘れもしません。
人生はじめて、人前で話す機会を与えられた時、それは幼稚園のお遊戯会でした。
クラスを代表して、なぜか私がスピーチすることになったのです。
「お父さん、お母さん、今日はわたしたちのために来てくれてありがとう
ございます。
お友達と一緒に、たくさん練習しました。一生懸命がんばります。
最後まで、見てください。」
前日まで、先生に指導してもらい、何度も何度も練習しました。
家でも自主トレしました。
妹に聞いてもらって、お風呂で湯船に使って数を数える代わりに、スピーチ練習しました。
そこまで練習したにもかかわらず…
当日の本番では、緊張して、頭の中は真っ白になり、暗記したスピーチのセリフは頭の中から吹っ飛んでいったのでした。
どうやってその場をしのいだのか?
記憶はありません。
チーン…
こうして私は、わずか5歳の時に『人前で話すことが苦手』という強烈な劣等感を背負ったのでした。
それに加えて、「努力したって報われないことがあるんだ…」
自分の不甲斐なさに心底落ち込んだのでした。
そんな幼少期だった人が、今では最多人数1000名の前で話すこともできるようになったのです。
人って、やればできるものです。
ただし、ラクしてすぐにうまくなったわけではありません。
むしろ、出発点がマイナスだったので、他人よりも準備しないと平均レベルにはなれないと思い、人前でもナチュラルに自分らしく話をする人の様子を見て真似していきました。
そうやって観察と実践を繰り返して、1つの結論に至ったのです。
【緊張した時の対処法について】
それでは、これから先日の女子大生からのお悩み相談で答えたことをシェアしますね。
2. なぜ、緊張してしまうのか?
本コラムの想定は、雑談などその場でライブ感覚で話すシーンは除きます。
商談・プレゼン・面接・ミーティングなど「あらかじめ役割が想定されているシーン」とします。
上記のシーンにおいて、なぜ緊張してしまうのでしょうか?
緊張する原因は2つあります。
緊張の原因:①準備不足
自分の伝えたいことがまとまっていないから、です。
自分の主張が定まっていないために、本番であたふたして、何を言って良いのかわからなくなってしまったのです。
自分が「この場では、これを伝えたいんだ!」と言語化できていない。
なんとなく(こういう感じで伝わったらいいなあ・・・)なんて、フワッとイメージしたことが、相手に伝わると思いますか?
または、相手が親切なカウンセラーのように、自分の主張を引き出してくれると思いますか?
現実は、それほど甘くないですよ。
なぜ緊張するのか?
1つ目の原因は、単なる準備不足。
準備を怠ったからです。
これは、あなたを責めているのではありません。
むしろ、朗報です。
というのも、緊張する原因は、苦手意識とかメンタルなど精神論ではないということです。
さらに、才能とかでもなくて、誰だって準備すれば緊張の度合いが下がるってことなんです。
緊張の原因:②「自分ファースト」という落とし穴
ちょっと厳しいことを言ってしまうかも、です。
「緊張したくない」というのは自分の本音、ですよね?
これって、自分ファーストになってしまっています。
こう考えている時、伝える相手の存在を忘れていませんか?
相手への思いやりよりも、自分ファーストになってしまっている。
これが、緊張する2つ目の理由です。
3. 緊張を無くすたった1つのコツ
では、どうしたら緊張をなくすことができるのでしょうか?
それは、自分の内観をやめることです。
意識するサーチライトを、内観から相手へ180度反対へ変えることです。
自分ファーストではなく、相手のメリットファーストへ意識を切り替えましょう。
4、真の原因へのアプローチが本質的解決
「えっ? でも、緊張は無くなっていないのではありませんか?」
あっ、バレちゃいましたか(笑)
そうなんですよ。
意識の向きを変えた、それだけです。
でも、それでいいんです。
だって、そもそもあなたが欲しい結果は、商談・プレゼン・面接・ミーティングなどで「相手に自分の主張をしっかり伝えたい!」ってことでしたよね?
自分が緊張したくないといのは、極端に言うと(自分さえ良ければ、相手のことは関係ない)
このように考えていることと同じなのです。
そうではなく、大事なことなので、もう一度言います。
優先するべきことは
「相手のメリットファースト」
です。
なので、喉が乾いてしまったり、声が震えしまったり、顔がまっ赤になってしまっても、相手に届けば良いのです。
あなたが、本当に欲しい結果は、何ですか?
「なるほど。君の主張はそういうことか!」
って、納得してもらえることが、あなたのゴールなのではありませんか?
もし、あなたが
「緊張している自分がカッコ悪い」
「こんな自分は恥ずかしい」
そうと思っているならば、それは相手よりも自分が大事だということです。
このスタンスであれば、どんなに理路整然と説明できたり、プレゼンできたとしても、残念ですが相手を動かすことは難しいでしょう。
なぜかというと、相手はそんなあなたの”自分優先”の空気感を嗅ぎ取るからです。
緊張している自分をさらけ出すことで、むしろ、相手から「こんなに魂を込めて伝えてくれている」って好意的に解釈してもらえることだってあるのです。
5. 良い緊張を味方にしよう
まとめましょう。
緊張には、2つタイプがあります。
それは、悪い緊張と良い緊張です。
悪い緊張
①準備不足
②自分ファースト
良い緊張
それは「武者震い(ぶるい)」
これは、適度な緊張を意味します。
「よ~し!張り切って行くぞ!」という感じです。
欲しい結果を得るために、相手の役に立つことに全力集中する。
そのためには、準備9割です。
ここをサボってしまうと、自分が本番で緊張してしまいます。
そうならないために、相手からの反論も想定して、全方位で対応を想像して準備することが大切ですね。
そうやって、本番で緊張したとしても(これは武者震いなんだ)と認識することです。
ここまでやってダメだったら、こう言い聞かせましょう。
「人事を尽くして尽くして尽くした上で、それは天命だった」
ここまでやれば、自分を責めたり、誰かに被害者意識を持つこともありませんよね。
だって、あなたは十分やったのですから。
「どうやったら、緊張しないようになれますか?」
この相談の答えを一言でまとめます。
緊張してもいいんです。
あなたが伝えたいことが伝わるために、全力で準備して全力で伝えましょう。
以上、少しでもあなたのお役に立てたらうれしいです。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?