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今の私が覚えていたい空の色

少し前に目に入ったのは「どんなことでも覚えていたい」という言葉だった。


例えば私は、数学の式や物理について学生の頃一生懸命に勉強をしたけれど、今はまるっきり覚えていないのに対して。料理材料や訪れた場所の地名、観戦しにいった試合のスタメンなどはある程度はっきりと覚えている。「はっきり」が通り過ぎても輪郭はしっかり保ち続けられるくらいの記憶力は持っている。

でもそれは良いことだけではない。

例えば私は、ゾンビ系・ホラー系の映画が苦手にも関わらず、たまたまチャンネルをまわした時に放映されていた映像が頭の中にずっと残ってしまう。人にショッキングなことを言われてしまうと、その時の状況を事細かに覚えていて、その場所に近づ句ことも恐れてしまう。


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「どんなことでも覚えていたい」とは今の私は全く思わない。出来れば優しい暖かいことだけを覚えていたいし、思い出して苦しくなることを記憶していても良いことの方が少ないと実際には思う。苦しいことの経験は確かにその先の人生を豊かなものに変えるかもしれないけれど、そこに縛られてしまうのならば手放してしまいたいとすら思う。

ただもし、後遺症や歳を重ねること等で記憶が保てなくなってしまったとしたら、私は今の自分の考えを軽々しくも180度変え「どんなことでも覚えていたい」と思うのかもしれない。家族や友人の顔、先輩たちとの会話、読んだ本、試合。或いは思い出を形で残そうと写真をたくさん撮るかもしれない。


考え方はいつだってその状況で変化してしまうものだ。

それはどれほど堅い意志のつもりであっても、自分の最善を考えていけば変化して当然のことであり恥じることでもない。柔軟に対応して、クルクル変わる自分のことを許して生きていければどれほど良いのだろうか。そんな歳の取り方をしたい。


今日の帰り道に空の色がピンク色で綺麗だった。

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覚えていたいと思う色だった。

今の私はここにいる

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