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好きなことを好きだと大声で言える人

海があまり得意ではない。プールを習わせてもらっていたから泳げるけれど、砂浜を歩けば火傷しそうなくらい熱気が充満しているし、海から打ち上げられたゴミ達の量には愕然とするし、体がベタベタになるし、そこは色恋を期待する人たちのギラギラした、上から下まで見定める様な視線が多い。そんなことを頭で考える様になってから海に対してときめきを感じなくなり、同じタイミングで日光過敏症を発症し、より一層足を運ぶ事はなくなってしまった。

でも海が好きな人の話を聞く事は大好きだ。

〜〜〜

趣味がサーフィンの友人がいる。土日の週2回は朝5時前に起き、愛車を走らせ、千葉やら茨城の海岸で波に乗っていて、ついでに言うと車のナンバープレートは「4173=良い波」だ。友人曰くサーファーの車のほとんどは「73=波」が入っていて「1173=いい波」も多いとのこと。土日の夕方に会うと、「今日はどこどこの海岸に行った。」と楽しそうに話す。海に興味のない私に波予報のアプリを勧めてくるあたり、幸せそうだ。身長は小柄だけど会うたびに肩幅ががっしりと強そうになる。足腰の筋力がつくよりも先に、波のある場所へ向かうため、ボードにうつ伏せ姿勢になり、腕で前へ進むから肩・腕の筋肉がつくらしい。


趣味がある人は話を聞いていて面白い。勿論聞いたところで薄情者の私は興味が湧かないことがほとんどだけれどそれでも、知らなかった小さな情報、大きな情報、豆知識みたいなのを分けてもらえる。そしてしんみりとした寂しい空気ではなく、生き生きとした顔を見せてくれる。それが嬉しいのだ。

大人になり社会に出て、心の底から大声で笑うことが減った。それは周囲から浮かない手段であり、自分のイメージ作りであり防御だ。でもやっぱり時々寂しい。その寂しさを一瞬で吹き飛ばしてくれる様な、無邪気な大人になった友人達の姿にいつも笑わせられ、幸せな気持ちにしてもらっている。別に多趣味じゃなくてもいい。自分の好きなことを好きだと大きな声で言える人達は、社会的視点ではなく友人として、誇らしく純粋に素敵な人達だと思うのだ。

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早く会いたい。




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