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あいつが噂のスギノール


選手からコロナ陽性反応が出て急遽登録選手が入れ替わった北海道日本ハムファイターズ。その中に器の深い男・背番号「2」杉谷選手の姿があり、そして今日の試合。上沢投手先発登板の「日ハムVSライオンズ」。その結末は思わず笑ってしまうものだった。



〜〜〜

9回裏。3点を追いかける日ハムは、杉谷選手と同じく昨日一軍登録の平沼選手が塁に出ると、中田選手の2HRで1点差に。

ソフトバンク戦に続き、壁が高い札幌ドーム・本拠地でホームランを観ると中田選手の存在感を改めて認識してしまう。「眼のうえ腫れ上がる事件」で批判を受け、4番に相応しくないと言う声が多く出ているけれど、私はやっぱり4番には中田選手がいて欲しい。最近はこんちゃんがその席にいたけれど、どうしても中田選手がいい。どれほどの人間があの豪快なスイングで明日への希望を貰って生きてきたのか。ヤンチャン風貌だけれども、チームのために自分の軸を持って試合に向かう後ろ姿を何度見て励まされてきたことか。88年生まれ。まだまだ4番で威張っててもらわないと困る。


そして満塁を作ったところで、とんねるず貴さんの歌声が流れる札幌ドームの雰囲気は既に一人の選手に注目されていた。杉谷選手の登場。私は自宅からパソコンで観てその瞬間、「杉谷ならいける」というそんな思いを抱きながら勝ちを確信していた。

「あいつが〜噂のスギノール、魂!」

その登場曲に合わせて観客席からオレンジのタオルが次々と現れる。そして笑顔と手拍子が溢れているのは、チャンスだからということだけでは決してない。杉谷だから、そうとしか言いようがない。杉谷拳士はスイッチ・どこでも守れる、そして愛される。いるだけでチームの雰囲気が変わり、息を吹き返すそんな選手だ。


ボールカウントが増えるたびに歓声が上がり、それがまたボールカウントを誘う。


そして


サヨナラ押し出し四球。いやいや、もう笑うしかないよこれは。どんだけハッピー人間でチャンスに強いんだよ。


今日ヒット一本もないのにヒーローインタビューってなんなんだよ。さすがとしか言いようが無い杉谷拳士劇場だった。


でもこの結末は、杉谷選手個人ではなくてチームがどんな形であっても打線を繋げた結果であり、そしてこんなにもエンターテイメントとして盛り上がるのは「杉谷拳士」の魅力なのだろう。

誰よりも溌剌としていて、動いて練習して、ファンへのサービスもして盛り上げて、T VやSNSでファイターズの知名度上昇にも貢献して。そして器の深いいじられキャラの男で。でもきっとこっそりと色々なことと闘っている。

そんな姿を長年見ているファンは打席に杉谷選手が立った瞬間に私と同じように勝ちを信じた。「杉谷ならどうにかしてくれる」という勝手な期待を持たせてくれて、そのプレッシャーに答えてくれるそんな選手なのだ。それがそれほど重荷であっても。

中田選手のように大砲型ではないし、かといってキラキラ選手でもないけれど。いてくれるだけで安心感をくれる、信頼がある選手なのだ。


今日は全てを最後のサヨナラ押し出し四球に持っていかれたけれど、また次からの試合ではきっとヒットを放って、そして今回と違ったもっと格好良い形でヒーローインタビューを受けてくれるであろう杉谷選手。今日の試合は爽快な勝利ではなく久しぶりに声を出して笑えるほどハッピーなものだった。


ありがとうヒーローたち。今日も良い1日でした。




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