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雑CG!露骨な尺稼ぎ!ヒロインが美人!B級要素のオンパレード「クリーチャーズ/宇宙から来た食人族」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(547日目)

「クリーチャーズ/宇宙から来た食人族」(2020)
トニー•ジョピア監督

◆あらすじ
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小型宇宙船に乗ってやって来た宇宙を救うパワーを秘めた小動物型エイリアン“マンピー"と、それを追って巨大円盤型UFOでやってきた地球侵略を狙う邪悪な肉食エイリアン軍団。イギリスの片田舎を舞台に、たまたま天文台に研究旅行に訪れた大学生たちが、エイリアンとその手先となったゾンビたちから地球を救うために決死の戦いを繰り広げる!(DMMTVより引用)
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『ヤバいエイリアンと大学生たちが片田舎を舞台に地球の命運をかけた攻防を繰り広げる』

という、これぞB級パニックホラーのお手本とも言える内容の作品です。

正直なところ、決してつまらない訳ではないんですけど、隠し切れていない低予算感が随所に滲み出ており、それが後半の盛り上がりにかけてより顕著になるため少々しんどかったです。

詳しくは後述しますが、2020年の作品の割にはエイリアンのCGは少々雑ですし、グロ描写などもあまりリアリティがなく、同じ展開の繰り返しによる露骨な尺稼ぎとも思える部分が多く、良い意味でのB級ではありませんでした。

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映画.comより引用

◇たまたま研究の一環で片田舎の天文台を訪れた学生たちが可愛らしい小動物型のエイリアン“マンピー”と出会うも、地球侵略そしてマンピーの命を狙う凶暴なエイリアンもまた同時に地球に降り立っていた。突如襲いかかるエイリアン、更にはそのエイリアンの力でゾンビになった同級生たちから命からがら逃げ出したアカネたちは退役軍人のヴィニーらと結託し、エイリアン&ゾンビ軍に対して籠城戦を繰り広げる。

といった感じで展開していきます。

ストーリー自体は面白いんですけど、いかんせん低予算感が否めず、『バス内→天文台付近の森→ヴィニーたちの家→パーティー会場』と場面転換も少ないので、なんとかそれぞれのシーンで尺を稼ごうという考えが垣間見えてしまいます。

そしてそれらが一番顕著なのがヴィニーたちの家での籠城戦で、『ゾンビが突入してきた!→迎え撃つ』の繰り返しでこのあたりで私は集中力が切れてしまいました。

ゾンビのクオリティは高かったです。
(映画.comより引用)

他にも、ヴィニーや引率の教師が自身のバックボーンなどを語るシーンもありますが、本編とは何ら関係がなくて不要に感じました。

アクションが派手だったらいいんですけど、お世辞にもクオリティが高いとは言えず、グロ描写なども微妙でした。アカネによる日本刀での戦闘シーンだけは非常にレベルが高く、素晴らしかったです。

アカネは極道の娘という設定があります。
(映画.comより引用)

ですがなぜか籠城戦の途中でアカネが一旦いなくなり、みんなで脱出するタイミングでまた現れるため、そのあたりも非常に勿体なかったです。

実質アカネが主人公ポジションではありますが、全体通して主人公らしい主人公がおらず、学生や引率の教師にも個性がないので最後まで話に締まりがありませんでした。

アカネは本当に凄い良かったです。
(映画.comより引用)
学生たちは人数が多すぎてモブっぽくなってしまったのがもったいなかったです。殺された後のゾンビ要員なので仕方ありませんが。(映画.comより引用)

エイリアンの造形はマンピーも凶暴な方もそれぞれシンプルですがかなり良かったと思います。

マンピーはマスコット的な存在ですが、本気を出すとエイリアンやゾンビを瞬殺できるくらいの力を秘めており、とても魅力的です。

マンピー(映画.comより引用)

敵エイリアンの死体から緑のオーラ?的なものを吸い取ったシーンに関しては特にそれがなんだったのか説明がありませんでした。

凶暴エイリアンは動くとCGの粗さが目立ちますが、数もそれなりにいるし、非常に好戦的で、酸を吐いて攻撃したりと縦横無尽に暴れ回るのでとても面白かったです。

“食人族”という設定はあまり活かされていないように
感じました。(映画.comより引用)

ところどころCGが雑すぎて、ストップモーションアニメのようになっており、そっちのほうが雰囲気があって良いなとも思いました。

エイリアン特有の言語でコミュニケーションを取ったり、口から吐き出した黒いナメクジのようなもので死体を乗っ取りゾンビにしたり、そのゾンビで籠城を切り崩そうとしたり、かなり狡猾です。

鼻の穴などから体内に侵入して、乗っ取ります。
(映画.comより引用)

ちなみに、ヒロインのアカネ役を務めた斎藤莉奈さんは過去には「おっぱいバレー」(’08)や「冷たい熱帯魚」(’10)への出演経験もあり、その後、23歳の時にロンドンへ活動の拠点を移し、オーディションにてこの役を勝ち取ったそうです。本当に素晴らしい俳優さんで、私はファンになりました。

そして!

ここからは余談なんですけども

『後半にかけて映像のクオリティが下がってしまう』

という共通点で私はとあるアニメを思い出しました。

皆様は「ふしぎの海のナディア」を覚えていらっしゃいますでしょうか。

私はグランディス一味(画像左下)が好きでした。
(nadia-exhibition.comより引用)

1990年の4月から1年間、NHKにて放送された全39話の冒険活劇SFアニメです。
原作•原案はそれぞれジュール・ベルヌ氏の「海底二万マイル」、「神秘の島」で、総監督はあの庵野秀明御大が務めており、後半の23話からはなんと樋口真嗣氏も監督として加わっており、実質的なアニメ制作はガイナックスが請け負っています。

そんな今作は1話あたりにつき制作予算が1000万円程下りていたそうですが、ガイナックスは制作費の多くを最初の数話で使ってしまい、後半は資金面で非常に苦労したそうです。またスケジュールの都合などにより各回の制作時間が一定していなかったため、作品のクオリティに著しいばらつきが生じています。

特に主人公ナディア一行が無人島に漂着してドタバタ劇を繰り返す23〜30話、そしてナディアの故郷へと向かう32〜34話は作画のクオリティが極めて不安定です。それに加え、ストーリーの大筋とはあまり関係の無い話ばかりでした。

これは先述したような資金面の問題、そしてスケジュールの遅延があったためで、樋口監督は作品全体の質を下げるよりも、あえて捨て回を作る方向へ舵を取り、重要なエピソードに予算と人員を集中させてクオリティを維持したそうです。

特に印象的だったのは34話で、この回はほぼそれまでの映像の使い回しばかりな上に、不自然な程に挿入歌が入っており、アニメというよりもMVのようでした。これも外注先である韓国の制作会社による完成品があまりにも酷かったことから、庵野御大が自腹を切って作り直したらしく、それでもスケジュールの問題もあり、過去映像の繋ぎ合わせになってしまったそうです。

「ふしぎの海のナディア」の場合は前半のクオリティが異常なまでに高い分、後半の作画の不安定さが目立ってしまいました。これに関してはYouTube等でまとめている方もいらっしゃますので興味ある方は見てみてください。

しかし、「クリーチャーズ/宇宙から来た食人族」に関しては序盤からクオリティが特に高いわけでもなく、戦闘シーンなど派手な描写が増える後半にその低クオリティさがより顕著になりました。こちらに関してはおそらく予算の都合だと思います。潤沢な資金があればどれほどの作品になったのかは見てみたかったです。

☆この度ホームページを開設しました!
もしよかったら覗いてやってください。

渋谷裕輝 公式HP↓


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