京都大学に3ヶ月で受かった勉強方法〜問題の分析と目標設定。目標達成のための計画づくり。〜
具体的な勉強方法を実践する前に、問題の分析と目標設定が大切だというお話です。
前回もお伝えした通り、ここで紹介する勉強方法はあくまで僕が成果が出せた方法であって、他の人にあてはまるかどうかはわかりません。
例えば極端な話ですが、僕は「テレビを見ながら勉強をする」という方法を実践していました。これは決して勉強する時にテレビを見ることを推奨したいわけではなく、あくまで僕が試して成功した方法の1つだということです。
また、僕の両親はこの勉強方法を何も言わずに見守ってくれました。
普通なら「テレビなんか見ずに勉強しなさい!」と注意されるところです。
この両親でなければ、結果は出ていなかったでしょう。
ドラゴン桜で描かれている勉強法も独特ですが、なかには僕が実際に実践していたものもありました。
しかし、この勉強方法自体よりも、自分で考えながら自分に合ったやり方を構築していく過程が重要だったと考えています。
自分で考えることを始めたからこそ、結果を出せたのだと思っています。
自分で考えずに、流されるまま勉強していた高校3年生の夏休み
「3ヶ月で結果が出た」とは書いていますが、もともと勉強していなかったせいで成績が上がらなかったわけではありません。ずっと勉強はしていたのに、なかなか結果がついてこなかったのです。
特に、受験生にとって大事だと言われている高校3年生の夏休み。
学校で開催されていた補習を1日中受け、そこからさらに、地元の予備校に毎日通って勉強していました。勉強時間としては、毎日10時間以上あったのではないでしょうか。
しかし、成績にはまったく結びつきませんでした。
これだけたくさん勉強をしたのに、夏休み明けの学校のテストでは、残念ながら平均点を超えることすらできなかったのです。
ちなみに、結果が出るようになってからも勉強の時間はほとんど変わっていません。むしろ、時間としてはやや減ったぐらいだと思います。
変わったのは勉強時間ではなく、ただ流されるまま、補習や塾にいるだけで勉強した気になっていた自分自身です。目標を達成するためにはどうしたらいいのか、自分で考えて行動するようになったことで、成績に変化が現れるようになりました。
赤本を見ながら、京大に受かる方法を自分で考え始める
冬休みを前にしても、模試の判定は常に最低のD?E?でした。
高3の夏休みが終わっても成績は伸びるどころか落ちてしまいましたが、そんな時でもまだ諦めきれていなかった僕は、高校3年生の11月か12月ぐらいになって「赤本(京都大学の過去の入試問題)」をはじめて開きました。
赤本をそれまで見ていなかったのは、地元の塾や学校の先生が「赤本はまだ見なくて良い」と言っていたからです。
赤本には、大学ごとに入試の過去問が掲載されています。これを読むことで、どんな問題が出題されているのか、合格するには最低でも何点取らなければいけないかがわかります。
そして「京大の問題は難しいが、5割程度正解していれば受かる」ということに気が付いたのです。
それまでこの難しい問題を全部解かないとといけないと思っていた自分にとっては目から鱗でした。
また、社会人になってみて思ったのですが、ゴールが明確になっている、という時点で、やれば勝つことがわかるビジネスのようなもので、すごく恵まれた状態です。
当時はよくわかっていませんでしたが、それでもこのゴールが見えた瞬間に少し可能性を感じました。
とはいえ、僕の京大模試の成績は、数学だと200点満点中10点しか取れないような状態でした。
当時の京大(農学部)の試験は「数学200点・物理100点・化学100・国語100・英語200」という点数配分で行われていました。僕は、この中でどう5割の点数を取るか考えるようになりました。
受験勉強では「あらゆる問題を解けるように勉強する」という方法もあるかと思います。
しかし私の場合は、本番まであと3ヶ月しかない状態で結果を出さなければならず、圧倒的に時間が足りません。
どうすれば3ヶ月間で合格できるようになるか考えた結果、センター試験と京都大学の2次試験の問題を解けるようになることだけが重要で、模試・学校のテスト・問題集が解けなくても合格できるということに気がつきました。
過去問をやりながら、全ての分野について対策が決まったのは、高校3年生の冬休みでした。
時間が限られている中ではありましたが、まず全体像を把握して計画を立てることに時間を費やしました。
詳しい科目別の対策はまた別の記事で書きたいと思います。
基礎を大切に。センターまではセンターに集中。
受験勉強を行う上で大切なのは、基礎をしっかり固めることです。
冬休みにもう一つ行ったのがセンター試験の勉強です。
2次試験については、計画を立てるために、過去問を数年分さくっと、答えを見ながら解いてみて分析する程度にして、センター試験の勉強に集中することにしました。
というのも、分析をして見た結果それぞれの科目でわかったことがあったからです。
まず、京大の数学や物理、化学は、自分のレベルでは解説を読んでもよくわからない、ということがわかりました。
最初は解説の意味がわからず先生に聞いてみたりもしましたが、そんなことをしていては無限に時間がかかるだけです。
答えまで丸暗記をしていれば最後まで解けるのですが、一つ一つの意味をきちんと理解していないので、数字が変わるだけでも解けないだろうな、、という感触でした。
このため、まずは基礎を固めるため、2次試験の勉強は捨てて、センター試験の勉強に集中することにしました。
国語に関しては、なぜか京大模試を受けても全国トップレベルにできました。
この時点で勉強をしないということを決めました。
英語については、所詮は言葉、日本語ができるのに英語ができない訳がないのでは!?という仮説を持ち、Z会の京大コースで、単語を全て辞書で調べて回答して出してみる、ということをしました。
結果、単語さえわかれば、かなりの点数が取れるということがわかりました。
そこで、単語をしっかり勉強する、という方針を立てました。
ただ、当時英語は苦手科目で、センター試験までは、単語以外にも文法など勉強しないといけない範囲が幅広くありました。
このため、単語は、当時使っていたターゲット1900という単語帳の1000までしか勉強しない、と決めてそこまでだけ完璧にしました。
取捨選択してゴールを決めて頑張る(選択と集中)
学校のテストや模試が解けなくても、センター試験と京大の2次試験の問題が解ければOK
京大の2次試験は全体の半分程度正解できれば合格できる
この2点に気づけたことで達成すべき目標が一歩明確になり、残り3ヶ月でとるべき手段が見えてきます。
まず、限られた3ヶ月間は、センター試験と京大の2次試験の問題だけが解けるように勉強することにしました。
学校でやっている勉強はせずに、すべての時間をそちらに費やしました。
特に自分がよかったと思うのは、圧倒的に時間がない中でもまずは計画を立てることには時間を使ったこと、そして、2次試験の問題は解説を読んでもわからないレベルだったので、まずは基礎を固めるためにセンター試験に集中したこと、さらに、2次試験については勉強する科目をさらに単元別に分けて、特定の単元のみ集中的に勉強をしたことです。
このように勉強する分野にだけ集中することによって、3ヶ月という限られた時間の中で合格までたどりつくようにしました。
全ての分野を幅広く勉強していたら到底合格までたどりつくことはできなかったでしょう。
自分で原典(過去問)にあたることの大切さ
当たり前のことですが、京大も合格最低点を超えれば合格できます。
それなのに、このことに本当の意味で気づく前の僕は、本番でもない模試でDやEの判定が出ているだけで、合格ができないものだと思い込んでしまっていました。
しかし、合格最低点を超えるためにはどうすれば良いか?を考え、問題の分析と目標設定を行ったことで、見事3ヶ月間で結果を出すことができたのです。
そしてこの時に「原典に自分で当たることの大切さ」を学びました。
先生がお前には無理だと言っているから、あるいは本番とは全く関係ない模試の評価のようなあいまいなものではなく、自分で実際の入試の問題を見たことで道がひらけたことから、今でも「自分でなるべく原典に当たってみる」ということは意識しています。
また、合格最低点の点数は毎年ほとんど変わっていません。
つまり、自分が本番でその点数さえ超えれば合格できるので、他の人が何点を取るかということはほとんど関係がないということです。
他人はまったく関係がなく、「自分が合格最低点を取れるか」という点だけに集中すれば合格できます。
「他人」が何点取るかという変数がなくなることで、問題がすごくシンプルになり、解決ができそうな気がしてきませんか?
ビジネス等はいつも変数が多く、受験ほど単純化ができないのが悩みですが、様々なことを考える中でも「なるべくシンプルに考える」というのは非常に意識しています。受験の時に得たこの考え方は、今も活きていると感じています。
まとめ
赤本を見て気がついたことは「合格最低点は毎年あまり変化がなく、センター試験と京都大学の2次試験の合計点がその点数を超えれば合格できる」ということです。
すごく当たり前のことですが、このことに本当の意味では気がついていませんでした。
受験を通して、一見シンプルで当たり前のように思っていることをひとつひとつ深く考え、より深く理解するという経験をしました。
そこから得たのは以下のことです。
当たり前のことをより深く理解することの大切さ
目標の明確化
目標達成のための計画づくり
自分で考えることの大切さ
原典に当たることの大切さ
取捨選択・選択と集中
周りは自分の成功体験をもとにアドバイスをしてきますが、それを鵜呑みにしても合格できるとは限りません。
自分で原典に当たり、自分で考えていくことが重要です。
具体的な計画づくりや、継続できる習慣づくりについては、また次回の記事でお伝えします。
【学び方〜京都大学に3ヶ月間で受かった勉強方法〜】
問題の分析と目標設定。目標達成のための計画づくり。(本記事)
【プロフィール】
柚木理雄
シェア街始めた人。普段は、株式会社Little Japan代表取締役、NPO法人芸術家の村理事長、中央大学特任准教授など。
現役で京都大学・京都大学大学院を卒業後、農林水産省に入省。
空き家を活用した場・コミュニティづくりからスタートし、地域と世界をつなぐゲストハウス「Little Japan」やシェアハウス、コワーキングスペース、カフェ/バーなどを運営。
宿のサブスクリプションサービス「Hostel Life」、リアルとオンラインのまち「シェア街」などのサービスで地域に関わる人を増やす取り組みを行っている。
【クレジット】
インタビュー・編集:りあの