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11.07 UNISON SQUARE GARDEN「USG 2020“LIVE (on the) SEAT”」@福岡サンパレスという柔軟性

UNISON SQUARE GARDEN、秋の全国ツアー福岡公演に行ってきた。会場は福岡サンパレス、昨年12月にユニゾンを観て以来の会場だ。前回はカップリング曲だけで構成する攻めたセトリのツアーだったが今回は着席鑑賞というコンセプトを設けた。コロナ禍の状況を逆手に取り、以前からやりたかったという“着席でロックバンドを見せる”ライブをやろうという発想。この柔軟さにはいつも感服してしまう。このライブを機にファンクラブにも加入し、前から8列目という良席で鑑賞。以下、がっつりネタバレでのライブ感想。

開演前の諸注意アナウンスから客電が落ち、いつものSE・イズミカワソラ「絵の具」が流れて、、という一連を想像してたのをまず鮮やかに裏切られる。真っ暗な会場、響き渡ったのは斎藤宏介(Vo/Gt)のアカペラであった。曲は「クローバー」。そのしとやかなメロディをそっと歌い、着席の観客を一気に惹きつける。サビでは田淵智也(Ba)のコーラスも覆い被さり、1番を歌い終わったところで幕が上がり3人の姿が出てくる。初めての試みである着席というスタイル、そこで否応なしに発生する集中力を最大限に利用したオープニングだろう。まるで管弦楽団を鑑賞するような心地で「クローバー」を歌い切って矢継ぎ早に「フルカラープログラム」が。ユニゾン、原点にして重要な1曲をこの新鮮さに満ちたツアーで演奏する意義深さ!イントロでは鈴木貴雄(Dr)がどや!と言わんばかりにスティックを投げて手を広げ、観客の緊張を解きほぐし自然な拍手へ繋げる。このムーブ、巧みなエスコートだ。

ドラム→ベースと太い音をぶつけ合うセッションを経て「フィクションフリーククライシス」。実に珍妙な1曲で、着席だとよりそのリズムワークの自在さを楽しめる。体がどう動いているのか、そこに意識が向きやすい。まぁ気づけば夢中で椅子を色んな方向に揺らしまくってはいたけれど。いつものように斎藤の軽い挨拶を挟み、「誰かが忘れているかもしれない僕らに大事な001のこと」!多幸的なムードを広げる1曲、観客席もどんどん自由に動き始めた気がする。<人間に底はない>、<INGで少しずつ 少しずつ やればいいんです>、<だってまだ息をしてるんだよ 君も僕も>、<不安はあるけど希望もある>、、、今欲しい言葉のオンパレードにグッときてしまう。深読みだと思うがちゃんとこの状況下を踏まえた選曲も多かったように思えるこの日。つんざくようなギターリフが押し寄せる「セレナーデが止まらない」だって、今ここで音楽を鳴らす意味を自らに問い直し鼓舞しているよう。

最新アルバムからの「世界はファンシー」の挑発的なノリも実に楽しい。やはり、というべきかこの曲は田淵智也が動き放題になる曲。テンションあがってきたなぁ!なんて思い次の曲を待っていると、特大級のバラード「君はともだち」を歌い出してしまうのだから意味が分からない。あまりのギャップに感情ぐちゃぐちゃになりながら聴いた。ただやっぱりでもこのコロナ禍を経て<何も知らないやつに君の事傷付けられてたまるか/見えないところで強く生きてる 気づいてるよ>なんて歌われてしまうと涙が滲んできてしまう。当たり前を奪われた世界に響き渡るあまりにも優しく穏やかなメロディ。マスクの下でめいっぱい口パクのラララを口ずさんだよ。放心状態のまま待っていると、珍しく本編でのMCが。斎藤が泊まっていたビジネスホテルで寝違えた結果首が曲がらなくなり、田淵が視界に入らなくなった、、というエピソードを鈴木が「面白い!」と絶賛する流れ。実に和やかだった。

アルバムツアーは今後必ずやることを伝えた上で、この日2曲目の新曲「夏影テールライト」。涼しげで心地よいメロウさがホールによくマッチしていた。そしてアルバムの曲順通りに投下されるのは「Phantom Joke」。7、8、9月のオンラインライブの全てで披露された唯一の楽曲、このツアーでは終盤の燃料として抜群の役回り。生で聴くとその手数、スリリングなグルーヴ、そして耳に飛び込んでくる<まだ世界は生きてる><悲しくちゃ終われない>という切実な言葉たち。どこを取っても格別なライブチューンであった。熱を絶やさぬまま長めのイントロを付け加えて始まった「徹頭徹尾夜な夜なドライブ」。椅子に座ってガンガンに動いていると、まるで大暴れしながら運転してるみたいだなぁと野蛮な空想が広がる程、エキサイティングな演奏で魅せてくれた。田淵の荒ぶりも最高潮になり、モニターの上に座って着席ライブをステージ上で体現したり、ギターソロで寝転んだりもしてた。

間髪入れず、「Ladies and Gentleman...」の合図と共に「ライドオンタイム」が!これ個人的に初めてライブで聴けた。みんな自由に動きまくっていて、全員のネジが飛んでるような気がした。これって田淵が追い求めてきた勝手に盛り上がってるフロアそのものなんじゃないかとも思った。ほかほかな気持ちになりつつ、終演の予感も漂う中で流れ出すのは「harmonized finale」のピアノ。絶対エンディングだ、となる選曲にじんわり来る。2014年、ユニゾンのライブを観始めた頃に頻繁に遭遇していたが近年はあまり聴く機会のなかったこの曲。久々にライブの場で聴くとなんて祈りを帯びた歌なのだろうと思う。<be with youを懇願してどれくらいだろう/新しい時代へと橋が架かるだろう/何回だってI'm OKまだ立てるから/君を追いかけるよその未来まで>という絶品な最後の言葉を奏で終わり、ステージが明るくなるとそこには斎藤ただ1人。手を振りながら斎藤も去り、1時間のライブが終わった。

呆然としながらステージを見つめるといつの間にやらバックドロップのロゴに「SEE YOU NEXT LIVE」と塗りたくられていることに気付く。そして流れ出すのはいつもは入場SEのイズミカワソラ「絵の具」。なるほど、このライブは始まりなのだ。もう1度ライブがある日々を取り戻す、大いなる宣誓だったのだ。「harmonized finale」にあった<ありがとう ありがとう ここからまた始まってく>という言葉が思い出されてまた泣いてしまった。こちらこそありがとう、だ。着席でも観れる、どころか最高に劇的で痛快なライブ。帰って上着の背中が汗びっしょりだったことに気付いた時、やはりこのバンドは只者ではないと確信した。UNISON SQUARE GARDENはいつだって最高だ。

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1.クローバー
2.フルカラープログラム
3.フィクションフリーククライシス
-挨拶-
4.誰かが忘れているかもしれない僕らに大事な001のこと
5.セレナーデが止まらない
6.世界はファンシー
7.君はともだち
-MC-
8.夏影テールライト
9.Phantom Joke
10.徹頭徹尾夜な夜なドライブ
11.ライドオンタイム
12.harmonized finale


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