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10.07「LIVEWIRE」D.A.N. ONEMAN 2020 “Strand”で酩酊

D.A.Nの配信ライブを観た(アーカイブは10/11まで)。オープニングアクト・食品まつりによるDJプレイから観れちゃう仕様で、その変則的でドラッギーなエレクトロによってかなり気分が高まっていく。そしてDJ終わりに映し出されるのは首都高速の車載カメラ映像。すいすいと進むドライブの様子、コメント欄で分かったのだがこれは会場である渋谷WWW Xへ向かう道順らしい。そういえば9月のPUNPEEのLIVEWIREもここだったし、8月のブクガもここ。パルコが目印。行ったことないけどちょっと覚えたぞ。このライブではカメラが楽屋口から会場内に入りフロアに降りるとそこには誰もいない、というショットを挟み時が巻き戻って再び入り口が映るとそこには大盛況のリアルWWW Xが、、というパラレルワールド的演出を交えた見事な幕開け。

D.A.Nの3名に、スティールパンの小林うてな、シンセの篠崎奏平を加えた5人編成。最初は剥き身なステージのうえでスイートでダンサンブルな初期2曲をドロップ。あぁ気持ちが良い。ミニマルなバンドをほとんど聴かない僕がD.A.Nだけは大好きなの、メロディの強さなんだよなぁ、となる。3曲目「Sundance」では既に心も体もほぐれまくり。新曲「#TakeYourHome」もしっかり披露。タイトでスクエアなグルーヴの中でしっかり息づくメロウさ、堪らないバランス感。コロナ禍でスピーカーを新調しといてよかったなぁとつくづく感じるサウンドだ。「Bend」では櫻木大悟(Vo/Syn)がハンドマイクで艶やかな歌を聴かせる。最近の曲はリズムのアップデートと共に歌声の甘美さもどんどん進化していてみるみる孤高の存在になっているなぁ、と。

「Aechmea」からはVJとして中山晃子が参加。彼女の織り成すオイルアートがもう凄まじくて。ただでさえ宇宙めいた神秘を携えたD.A.Nの楽曲たちがスペイシーな流動体とともにどこまでも没入感を高めていく。会場ではバックスクリーン映像だが、オンライン上だと演奏風景に被さる形で映し出されるものだからその異空間っぷりは極まる。チェロを導入した荘厳な音色も相まって敬虔な気分になってしまった。この演出を加えると、いまや一種のアンセム感すらある「SSWB」すら新鮮な響き。長尺の中でじっくりと仕上がっていくテンションがそのままオイルアートとしても表現されていた。そしてこの日初披露となる新曲も、妖艶で即効性のある1曲で酩酊しっぱなし。小林うてながかなりの時間歌っていて、ほぼツインボーカルのように魅せていた。

ラストは大曲を3連投。ここだけで30分くらいあるのだからD.A.Nの楽曲のタイム感というのは悠久のように思える。楽曲の持つスケール感にふっと意識を持っていかれそうになるほどに。シリアスなムードを放つ「Pendulum」、天へと召されるような心地になってしまう「Tempest」、そして反復されるサンプリングボイスとシャープにデザインされたサウンドが狂気的な興奮を生む「Boderland」まで、、SF映画のサウンドトラックのように劇的なうねりを見せながら終わっていった。普段は音に夢中になるけど、配信だとかなり言葉が飛び込んできたのが印象的に。特にラスト「Boderland」の<とにかく会いたいと思う どうしようもなく会いたいと思う>をこんな正面きった解釈でグッとくる日が来るなんて。異次元へと溶け出すロマンチズムがあった。


<setlist>
1.Pool
2.Ghana
3.Sundance
4.#TakeYourTime
5.Bend
6.Aechmea
7.SSWB
8.新曲
9.Pendulum
10.Tempest
11.Boderland

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