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第2回:「Café & Gallery Patina」


こんにちは。はじめまして。
淑徳大学 人文学部 表現学科 杉原ゼミの堀米です。

今回は、「Café & Gallery Patina」というお店について紹介します。コラボレーションから成り立つ、ほかにはない魅力を持ったお店です。

コラボレーションから成り立つお店、と言われても想像ができないかもしれません。Café & Gallery Patinaには、このようなコンセプトがあります。

Patinaはアーティストの方とのコラボレーションによって成り立っています。

アーティストの表現したいものを店内に展示し、ランチメニューを共同で作り上げているお店です。

その為、来る度に店内の雰囲気が変わり、メニューも変わり続ける特徴があります。

たとえば、陶芸や生花、漫画などのコラボもあるかもしれません。

またWork shopもあり、様々なレッスンが受けられます。

引用: Café & Gallery Patina公式ホームページ


そんな心躍るコンセプトを持つCafé & Gallery Patina、店主の岩田香さんの元を訪れ、お店や「絵本のまち板橋&ボローニャ絵本さんぽ」についての思いをインタビューさせていただきました。




Café & Gallery Patinaとは…。


──散歩の途中にふと発見するような、隠れ家的カフェ。

東武東上線、成増駅の北口を出て徒歩4分。閑静な住宅街の脇道を行くと、鮮やかなミントグリーンのマンションが目に飛び込んできます。次に目を引く、可愛らしくアンティークな雰囲気の看板に従い、階段を降りると右にCafé & Gallery Patinaがお店を構えていました。


1階はカフェと展示スペースが設けられています。




2階はワークショップ用のスペースです。体験型のイベントなどが行われます。Kids English Class の様子です。



3階はアーティストのTokinoirodoriさんのアトリエ、ギャラリーとなっています。


Patinaとは、経年変化。

Café & Gallery Patinaという店名の由来について尋ねると、岩田さんは、

「Patinaって経年変化っていうスペイン語の意味なんですけど、物が時を経てアンティークになることなんです。そのように、人の交流も交わっていってもっと輝きますように、という思いがありました。」

と迷いなく答えてくださいました。
Café & Gallery Patinaを人の交流の場にすることによって、新しいものをたくさん生んでほしいとのこと。自らが輝く場所ではなく、誰かを輝かせる場所にしたいという思いが伝わってきます。


「私がやっちゃったら、私の色になっちゃう。」

Café & Gallery Patinaが今のコンセプトに行きついたきっかけは、岩田さんと美術大学生との出会いでした。
接客業の経験がなく、いざカフェを始めようとしたときに接客がどのようなものかわからなくなってしまった、と岩田さん。初めは派遣社員としてカフェに修行に行きながら、紅茶教室などで学び、ご自身のカフェを経営していたそうです。

岩田さんは派遣先の会社を通し、東京都写真美術館で働くこととなります。そこでアルバイトとして募集された多くの美術大学生と一緒に過ごし、ある悩みを聞きました。

「東京って、展示する場所がない。できない。なぜなら、レンタル料が高い。あと縛りが多い。ここに貼るな、何時に来い、搬入は何時だとか、中々自分達で展示するというのが難しい。それを聞いたのがきっかけです。」

──どうせカフェをやるんだったら、ギャラリーも一緒に作ってみよう。
この巡り合わせが、新たな巡り合わせの場を作る糸口となったのですね。


店主の岩田さん。


岩田さんが展示を終えた方々に書いて貰っているというサイン帳の1ページ目です。展示する場所がないと悩んでいた美術大学生がメッセージを残しています。
美術大学生をはじめ、アーティストの方たちによるメッセージが自由にのびのびと描かれていて、1つの作品のようにも感じるサイン帳でした。岩田さんの宝物なのだそう。

このような成り立ちなので、主役はお店ではなくそこで展示される物事や人です。岩田さんは、このCafé & Gallery Patinaをアーティストが成長する“バネ”にしたいと思っているそうです。
展示期間や方法まで、展示する方に全てを任せている岩田さん。配置、ランチ、音楽が展示によって変わっていきます。その方針には、お客様に五感で味わってほしいとの思いに加え、アーティストに対する思いも込められています。

「そうじゃないと世界観がでない。私が言っちゃったら私の色になっちゃうじゃないですか。これ失敗しちゃったということに気づいてわかれば、そこでステップアップすると思うんです。」


Café & Gallery Patinaで行われた日米珈琲企画「コーヒーを想う」の後に書かれたサイン帳のメッセージ。コーヒーを飲むだけではなく、コーヒー豆で絵を描くなど、様々な方面から楽しむことができる展示会だったそうです。
Café & Gallery Patinaではたくさんの展示会が、たくさんのバネとなってアーティストを支えてきました。


Café & Gallery Patinaを紹介する絵本

様々な取り組みを行なっているCafé & Gallery Patinaですが、このお店を紹介する絵本を作ったこともあるのだそうです。

「今までうちで展示した12人のアーティストがタッグを組んで作った本です。」


「十二支」と表紙に書かれた本と、巻物のようなものをいただきました。紙を広げると「十二支」に関わったアーティストの方々のお名前と紹介文が書かれています。

「ドイツの方と、イタリアのアーティストの方々などがいます。音楽もオーストリアの方に作ってもらって、展示場で流す予定です。Patinaのお手伝いをしているひろみさんの書いた物語を、オーストリアの方に訳してもらいました。Patinaの紹介の本になっています。」


ドラゴンのイラストを描いたのは、ドイツのアーティストで絵本作家の方。ハリウッドなどでも活躍の場を広げていますが、Café & Gallery Patinaにも度々訪れ、繋がりを持ち、ドラゴンを描きたいと言ってくださったとのことです。

まるで世界中と繋がっているような紹介本でした。Café & Gallery Patinaの文化交流の活発さがよくわかる内容になっています。




Café & Gallery Patinaの「絵本のまち板橋&ボローニャ絵本さんぽ」企画、「イランの絵本展」とは…。


お店の次は、「絵本のまち板橋&ボローニャ絵本さんぽ」、今年で8回目となる「イランの絵本展」について紹介します。



※ Café & Gallery Patinaでは、7月22日(木曜日)〜7月27日(火曜日)に「イラン絵本展」を開催予定です。
この記事では、その展示前にお話を伺いました。


Café & Gallery Patinaが今回のイベントに参加された経緯をお聞きしました。

「元々Patinaは、展示が変わるとコラボランチが変わるし、音楽も変わるし、絵本も変えていました。その展示にあった絵本を選んで置いていたので、絵本に特化したカフェであったから、それを松岡さんが知ってらして、誘っていただいたのが経緯です。」

※松岡さんとは、板橋区立美術館の松岡希代子館長のことです。

Café & Gallery Patinaが開催する「イランの絵本展」では絵本とともに、様々な時代の切手を展示販売するほか、イラン出身の俳優サヘル・ローズさんに絵本にまつわるお話や思いを伺い、ペルシャ語による朗読会も予定しています。

気になる「イランの絵本展」期間中のコラボランチは、ハーブや野菜をふんだんに使った、ヘルシーでお洒落なペルシャ料理が用意されるそうです。


以前の「イランの絵本展」の様子。


「イランの絵本の魅力にハマってしまいました。」

数ある国と本の中で、岩田さんが「イラン」の展示をしてきた根底には純粋に好きだという気持ちがありました。

「松岡さんから企画を持ち込まれて、イランの絵本を置いてコラボしてくださいと依頼があったので、でもそれがすごく楽しかったし、すごくおもしろかったので、じゃあ、ずっとイランの絵本に特化してやっていきましょう、と松岡さんが決めてくださいました。」

愛され続けている展示なのですから、岩田さんのお話の通りすごく楽しい展示なのだろうと、様子がありありと目に浮かびます。
岩田さん自身が「イランの絵本展」を楽しいと思う理由はどこにあるのでしょう。

「絵本の結末や物語っていうのが、自分が思っていた日本や他の国の絵本と全く違っていたからです。イランの絵本の魅力にハマってしまいました。」

本好きの方が長く愛するイランの絵本にとても興味が湧いてきました。これ、子どもが読むの?とびっくりするような内容の絵本もあるのだそうです。




今後の展示会もお見逃しなく。

最後に、Café & Gallery Patinaにて今後開催予定のイベントについてお話を伺いました。
秋にワンボックス展という展示会を開く予定があるとのことです。

「ちょっとしたものを展示したいけど、まだ怖くてできない、ほんとに初めての人とか、ちょこっとしか作品がないという人の展示を一つの棚に分けて、ワンボックス展っていって、色んなアーティストさんを集めて展示する。毎年一回やってる、Patinaのお祭りみたいな展示会です。」


岩田さん、ありがとうございました。
「絵本のまち板橋&ボローニャ絵本さんぽ」だけではもったいないほど、いつ来ても「新しく楽しい」が詰まっているお店であることが伝わったと思います。

ノーボーダーで国や男女は関係なく、みんながシェアできることがしたい、と語っている岩田さんの周りには、たしかに線引きがなく、だれもが受け入れられる温かい空間が広がっています。


ぜひ足を運んで、新たなものが生まれる瞬間を目の当たりにしてみてはいかかでしょうか。




Café & Gallery Patina
東京都板橋区成増3-20-16

公式ホームページ
公式フェイスブック
公式インスタグラム
公式アメーバブログ



※営業時間は公式ホームページでご確認ください。
※板橋区立美術館の「イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」は予定通り開催されますが、緊急事態宣言により、同館での講座・トークイベントは中止となっています。各関連イベントや今後の予定も情勢により、延期・中止となる場合があります。詳しくは各会場の公式SNS、またはホームページをご確認ください。
※スケジュールは予定です。
※新型コロナウイルス感染予防対策については、各施設、店舗によって異なりますので来店される際には各店舗のホームページやSNSをご確認の上、ご協力ください。

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