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せとものについて話しましょう

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「せともの」の語源は「瀬戸で作られたり焼き物」。 その瀬戸市で代々陶器屋をやっています。 瀬戸焼について知ってほしいこと、楽しむためのヒント、瀬戸の街のことなど、ぼちぼち書い…
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#陶器

#01 初めまして せとものについて話しましょう

#01 初めまして せとものについて話しましょう

note始めます

 2006年からメールマガジンを続けてきました。せともののこと瀬戸のことなど、毎週1回土曜日配信「瀬戸だより」として、17年間で870回を超す配信を行ってきました。我ながらよく続いたものだと感心します。
 ひとまず、当初書きたかったこと、やりたかったことは済んだんじゃないかと思い、そのメールマガジンは定期配信を終了することにしました。残された大量の過去の文章は何かの形で活かしな

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#35 せともの祭2024情報だよ!

#35 せともの祭2024情報だよ!

 せともの祭まで1ヶ月を切りました。いよいよです。

 さて先ずは確認をしましょう。今年、令和6年のせともの祭は……
9月14日土曜日と15日日曜日の2日間です。
メモしましょうね。

 廉売市会場は……
名鉄瀬戸線尾張瀬戸駅周辺です。
電車で来た人は降りると即廉売市会場。車で来ても駐車場はいくつも用意されています。近くの駐車場からうまります。HPなどでご確認を(坂の上の学校やグランドも多いです)

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#33 窯が酔う

#33 窯が酔う

 毎日「暑いねぇ」とか言わない方がいいのかなぁ、とは思うけど、人に会うとあいさつのように「暑いねぇ」と言葉を交わす今日この頃。さほど酒に強くない私でもビールが恋しい季節です。もう8月だよぉ。

 さて、「窯が酔う」という言葉があります。
窯が酔う、酔っぱらっちゃう…窯も酒を飲むのか?!いったい何のことか?

 一言で窯を焼くといっても、焼き方には大きく分けて酸化焼成(織部や黄瀬戸などはこの焼成です

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#32 皿をコンコン…でわかること

#32 皿をコンコン…でわかること

 よくテレビで骨董の鑑定人が古陶器を指でコンコンっとたたいているところをご覧になったことがあると思います。もっと具体的にいうと「開運!なんでも鑑定団」で、中島誠之助さんとかがやっているコンコンのことです。
  一般には「磁器のものは高い音がして、陶器など土物は低い音がする」と知られていると思います。でも一流の鑑定人がたたかなくては磁器か陶器か区別がつかない…なんてはずはありません。では、あれはいっ

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#29 織部は風呂につかる

#29 織部は風呂につかる

 織部というのは瀬戸焼や美濃焼を代表する釉薬・技法なのはご存知の通りです。
 銅を含む釉薬を酸化焼成して得られる緑色の落ち着いた色調です。とても人気がある釉ですが、意外と知られていないのが織部は窯から出て、すぐに完成とはいかないのです。

 通常の釉薬の陶器は窯から出れば完成というパターンです(もちろん、出してすぐは熱くて持てませんが)。普段皆さんが手にする器の状態と変わりありません。ところが織部

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#26 「織部」って織部さんの好みです

#26 「織部」って織部さんの好みです

 さて、織部と言えば瀬戸焼や美濃焼を代表する人気の釉薬です(唐突ですが異論はないとは思います)。
 緑色の釉。銅を含む釉を酸化焼成することで得られる色合いです。
 前回書いた春岱の織部もとてもステキでした。

 織部……もともとは釉というよりも織部好みの器全体を指していたようです。織部好み……この織部というのは戦国大名、古田織部のこと。武人であり、茶人であり、利休の高弟。その織部好みというスタイル

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#24 陶祖まつり。陶彦社まで案内しましょうか。

#24 陶祖まつり。陶彦社まで案内しましょうか。

 4月は「せと陶祖まつり」となります(令和6年は20日21日の土日となります。
 陶祖というのは加藤四郎左衛門景正で鎌倉時代に瀬戸に中国の進んだ製陶技術を伝えたとされる人です。瀬戸では藤四郎と呼ばれたりもします。
 その陶祖伝説については昨年ここに書きました。

 陶祖藤四郎は神さまとして瀬戸の中心「深川神社 陶彦社」に祀られています。瀬戸でせとものを扱っているからには陶祖まつりにここに参拝せずに

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#22 わかりやすく釉薬について語ってみたい…あっ、色つけるの忘れてた(4)

#22 わかりやすく釉薬について語ってみたい…あっ、色つけるの忘れてた(4)

 釉薬について何度か書きました。

 ふと、気がつきました。釉に色を着けるのを忘れていました。
 染付の磁器に掛けられている透明な釉薬。釉薬の下に呉須で描かれた絵がきれいに見えます。でも多くの陶器に施されているのは何らかの「色」が着けられています。
 古くから、赤津七釉と呼ばれる灰釉、鉄釉、織部、黄瀬戸、志野、御深井、古瀬戸(赤津地区は瀬戸でも作家や窯元が多い地区)などはもちろん、他にも瀬戸は釉薬

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#20 まだ寒いけど、瀬戸の「お雛めぐり」は始まりました。

#20 まだ寒いけど、瀬戸の「お雛めぐり」は始まりました。

 今週、尾張瀬戸駅前のパルティせとに福よせ雛の展示を見つけました。
 福よせ雛は役目を終えた雛人形を使って、いろいろな日常風景を表現するものです。自由で楽しそうなお雛飾りですね。毎年この季節に瀬戸のパルティせとに展示されます……えっ、なぜって?それは瀬戸の街が雛であふれる「第23回陶のまち瀬戸のお雛めぐり」が開催されているからですよ。

 毎年、1月の末から3月のひな祭りまでの期間(令和6年は1月

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#15 瓶子ってとても好きな形です。

#15 瓶子ってとても好きな形です。

 名古屋の爲三郎記念館(古川美術館分室)の「瀬戸陶芸協会百年への挑戦 古今無双 瀬戸陶芸物語」を見てきました。

 ずっと気になっていたんです。「せともの祭が終わったら、やりたい(行きたい)リスト」の上位にリストアップしてあったんですが、結局先週やっと行くことが出来ました。10月1日が会期末でしたので、ギリギリでの鑑賞でした。 
 瀬戸陶芸協会は瀬戸の陶芸家の集まりで、日本でも最も歴史のある陶芸家

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#14 2023年のせともの祭をしっかり楽しもう!!

#14 2023年のせともの祭をしっかり楽しもう!!

 瀬戸市の最も大きなイベントと言えば「せともの祭」です。今回は2023年の「第92回せともの祭」の楽しみ方や注意点を書いてみます。

 せともの祭は毎年9月の第2土曜日と日曜日です。ちなみに今年(令和5年)は9月9日土曜と10日日曜日となります。せともの祭の始まりについては以前に書きました。

 昨年はまだコロナの影響が残っている中、その対策をしながらの3年ぶり(2回中止になった)のせともの祭復活

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#11 瀬戸の9月は「せともの祭」。そのはじまりの話。

#11 瀬戸の9月は「せともの祭」。そのはじまりの話。

 9月の瀬戸はせともの祭です。今は毎年9月の第2土曜と日曜です。

 名鉄尾張瀬戸駅あたりから瀬戸川沿いに陶磁器を売るテントがずらーーーーっと並ぶのはせともの祭ならではの風景です。昨年はコロナによる2回の中止から3年ぶりの復活でした(もちろん様々な感染対策の上での開催でした)。150店ほどの出店(もちろん食べものの屋台抜きの陶磁器関係のね)でしたが、今回はいよいよコロナ前の規模に復活するようです!

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#09 わかりやすく釉薬を語ってみたい…今回はちょっと化学的(3)

#09 わかりやすく釉薬を語ってみたい…今回はちょっと化学的(3)

 瀬戸は伝統的に灰をベースに釉薬を作ってきた土地です。という話を続けてきました。
 ちょっと知れば普段の器がもっと楽しくという話をしたいのですが、釉の話は深いので難しくなりがちですいません。今回は近代的な釉調合の話。

 昔は釉の調合は「〇〇灰1杯に、××石を×匁…」みたいな感じだったようです。調合していたメモ書きは暗号のようです。書いた本人以外にはよくわからない秘伝のレシピっぽい感じです。原料の

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#07 わかりやすく釉薬を語ってみたい…自信はないけど(1)

#07 わかりやすく釉薬を語ってみたい…自信はないけど(1)

 瀬戸焼は基本釉薬が施されています。先にも書きましたが、釉薬の種類が豊富なのが瀬戸焼の特徴です。
 陶器好きの方たちがよく「織部の釉はいいね」とか「志野が好き」とか「黄瀬戸だよ、やっぱり」とか言っているのは主に釉薬の話です。織部も志野も黄瀬戸も(他にもいっぱいありますが)瀬戸で使われることの多い釉(釉薬)です。
 釉の世界はとてつもなく広くて深いのですが、「釉薬に興味があるけどむずかしそうで」とい

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