瀬戸 烈

1974年京都生まれ。1995年より神戸市内を中心にソムリエとして活動。ホテル、ビスト…

瀬戸 烈

1974年京都生まれ。1995年より神戸市内を中心にソムリエとして活動。ホテル、ビストロなどを経験し、2019年よりオーナーソムリエとして神戸市・鯉川山手にビストロ・レクレ・神戸を開業。

最近の記事

少子高齢化社会から現役世代冷遇を是正するための提案

日本では古くから儒教の「敬老思想」が取り入れられてきた。これは、「老いるほど人間として成長し心が豊かになる」と考えられていました。江戸時代には肩書にも「年寄」「老中」「大老」「老女」「長老」などは高い位を表し=社会的地位が高くなるという意味もありました。 本来、老いるほど得た経験を後世代に伝えより豊かな社会にするために活かせていかないといけないと考える。しかし現代はどうかというと一部の特権階級が既得権益を守るために利用されている感は否めない。現役世代は年金の満額支給も危うく

    • 戦友との再会

      2005年一緒に働いている時はふたりとも若くて尖っていた。彼はシェフとして、自分はソムリエ兼マネージャーとして初めて店を任された。何もかもが初めての事ばかりだった。それまで一緒に働くこともなければほぼ初対面の二人の関係は手探りだった。挨拶すら「あっ、どうも。よろしく。」みたいな記憶しかない。自分が「料理以外の事はすべて自分がやるから料理に集中してくれて良い。」と偉そうなことを言ったのは覚えている。 10月22日に兵庫県立芸術文化センターというコンサートホールがオープンし怒涛

      • 重大で即座に対応しなければならないこと。

        このコロナ禍で「緊急事態宣言」という言葉をよく耳にする。政府は宣言を発出して国民に要請をして、この一年いったい何をしてきたのだろうかと思う。批判をしようと思っているのではない。「緊急」とは、重大であるから即座に対応しなければならないことなのだ。 例えば、目の前で人が倒れている状況なら、まず駆け寄り状況を確認し、必要に応じて救急要請を行う。現に自分は意識を失い外傷性くも膜下出血で人に命を助けていただいたので本当に感謝している。今の政府は、客船でコロナ患者が出たことに人道的に反

        • うなぎの豊川

            奈良の近鉄富雄駅から少し歩いたところにある小さなお店。何度も予約しようと電話を入れても話し中でなかなか繋がらない。絶対電話線抜いてるんだわと思いながら時間を変えてかけ続けてやっと取れた予約。  少し色んな世知がない世の中で自分が笑っていないと周囲の人が笑えないと思っていてもやっぱり何だか腑に落ちない昨今。ちょっと自分を甘やかしてやろうと思って今月は色々と楽しんでいる。そんな中での知人から上方うなぎの旨い店として教えてもらってずっと行きたかった店。  店の入るとほぼ満席

        少子高齢化社会から現役世代冷遇を是正するための提案

          パラダイム

           自分の場合、店を開くときに日本政策金融公庫から融資を受けている。資本主義の国だから、融資とはお金を必要とする者に貸し資金を融通することで利息を取ることで相互利益を生む投資である 。  融資を受けると当然返済が発生する。返すことを義務と捉えるとすごくネガティヴ思考になる。返済がなければと嘆くのはそもそも計画が間違っていたのだ。  国が自分の事業計画に賛同し投資してくれた、いわば応援をしてくれているのだから感謝と捉えれば何の苦にもならない。というのがパラダイムを変えた見方、

          パラダイム

          短編随筆「航海先に立たず」

          店内は男と妻のふたりきりのゲスト。男は昔の影を想像させないほど痩せ細っている。尻も痩せこけて木製の椅子に腰かけるのも痛みを訴えるほどだ。店の赤いクッションを座布団代わりに敷いて店の奥のワインセラー前の壁際に向き合い座っている。男の後輩が店主のビストロ。妻はカウンター越しの自分と話しながら、ときおり男に話の内容の同意を求め声をかける。が、男は返事もせずにエッフェル塔の小さなモニュメントを見つめている。頭に画像として記憶すると一心不乱に店の壁に激励の絵を一生懸命に文字通り命がけ

          有料
          300

          短編随筆「航海先に立たず」

          行動規範

          物事を決めるときに大切にしている事を少しまとめてみる。 様々な事象が起こる昨今。一瞬にして頭に血流が一気に流れ込むことは往々にしてある。何も特別なことではなく、だれもが当事者で他人事ではない。 そんなことを前提に、まず被害者意識を捨てること。なぜ自分のところにそんな問題が舞い込んでくるのか原因を考えても時間の無駄だ。自分が何かを判断して行動するときに必要なことはまず落ち着くこと。焦らず、慌てず、正確に、起きている事象を把握する。その上で焦らず、慌てず、正確に、起きている事

          行動規範

          コロナ禍でなぜ飲食店を規制するのか?

          皆さんは選挙に行きますか? 選挙に行かない人に向けて書きます。もちろん信じる政党がある人は選挙に行っていらっしゃいます。 衆議院議員総選挙の投票率は前回53.68%、前々回は52.66%と近年稀にみる低さです。参議院議員通常選挙に関しては前回48.80%、前々回54.70%ここ10年くらい同じような数値です。それまでは70%程度は普通でした。が近年稀にみる政治に対する無関心さが問題です。 なぜ無関心なのか?を考え、襟を正すのは政治家の仕事です。国民のほとんどは諦念に駆ら

          コロナ禍でなぜ飲食店を規制するのか?

          鳥兜(トリカブト)の花

          子供の頃、いや今でも昆虫類はあまり得意ではない。周りの男子たちは夏休みの自由研究と言えば昆虫採集をしていたが、自分は植物採集派だった。動物の死骸を並べて何が楽しいのだろうとさえ思っていた。 美しい花があれば根っこから掘り起こし、洗って土を落とし新聞で挟んで毎日新聞を変えて乾燥させる。ここだけの話と言っても公だが、新聞を毎日変えるなんて地味な作業は大嫌いでほぼ1年間祖母が担当していた。 自分は、採集することと名前を調べることが好きだった。かと言って、今は全く覚えていない。知

          鳥兜(トリカブト)の花

          飲食店の酒類提供自粛要請について

          今回のコロナ禍についてラジオ局から意見を求められたことについて自分への責任として備忘録的に残しておこうと思う。 飲食店での酒類の提供自粛については売上低下は間違いない。飲食店ばかりがクローズアップされるが、それに付随する街の酒屋は瀕死の状態だ。 文字通り「家呑み」「宅呑み」が主流になってきた訳だが、酒販免許の緩和で多くの皆様はコンビニやスーパー、ネットで酒類を調達される。それらの多くは欠品ペナルティがあるため大量に安定供給できる商材しかないのだ。 政府においては酒税の税

          飲食店の酒類提供自粛要請について

          今だから「映画タイタニック」

          コロナ禍の営業時間短縮で早々の帰宅就寝。朝はやはり早く目覚める。やる事がないので映画など手当たり次第に録画をしている。なぜかこのタイミングで「映画タイタニック」しかも後半を観た。 言わずと知れたイギリスからアメリカに航行中の当時世界最大級の客船タイタニック号が氷山に衝突し、乗客約2300人中で生還したのはたった710人と言う当時史上最悪の海難事故の物語である。 もちろん映画はキャメロン・ディアス監督の主演はレオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットの1997年に公開

          今だから「映画タイタニック」

          ソムリエからレストラトゥールに

          ホテルマンになりたいともソムリエになりたいと思ったことは全くなかった。高校時代はトロンボーンに情熱を掲げていたので単純に蝶ネクタイの制服が着れるホテルでアルバイトしたい、そう思っただけだ。 しかし、プレイヤーの世界はそれほど甘いものではない。自分の才能も無かったのだが「女性はピアノ教師くらい出来て生活をみてもらえるような人を探しなさい。」関西では当時名の通った師匠から言われたことに何か違和感を感じ、個人レッスンも止めてしまった。 ホテルマンを目指すきっかけは当時アルバイト

          ソムリエからレストラトゥールに

          ヨットクルージングで学んだこと

          このコロナ禍で「アクセル」と「ブレーキ」と言う言葉をよく耳にする。 とあるお方にこのコロナ禍で色々あるけれど気分転換にとお誘いいただいたヨットクルージング。実は高校時代のアメリカ留学中に一度だけ経験したのだが、その時は湖だったので初めての海だった。 船はエンジンで出船し、港を少し出たところでジブセールを張りしばらくそのまま風に任せるとエンジン音の無い、青い空と海の香り、そして風音だけの気持ち良い時間が流れる。やがてメインマストにもセールを張り、風を捕まえる。ぐんと推進力は

          ヨットクルージングで学んだこと

          コロナ禍の1年を振り返って

          2021年5月12日には、我々ビストロ・レクレ・神戸は2周年を迎える。1周年に引き続きコロナ禍で特に何かお祝いムードでもなく、2年連続の異例の緊急事態宣言下で迎えることになりそうだ。 社会を取り巻く環境を考察してみると、物事を俯瞰的に見ることのできないリーダーが多いと観察する。政治家、経営者、医療従事者、だれが良いとか悪いとかではなく、悪いのはコロナウィルス禍である。このノートは批判や否定をするために書いているのではなく、自分の考えをまとめること、つまり整理整頓が目的だ。整

          コロナ禍の1年を振り返って

          勇者も聖人もいない

          久々の投稿です。 現代はコロナ禍による戦時下とも例える人がある。戦国時代の武将、織田信長については賛否両論ある事は歴史は勝者が語る為だ。 政治家としての一面を冷静に考察すると喜怒哀楽が激しく一見暴君の様な印象を受けるが、少し違うとも思える。 人々は褒賞を得る為に命を捧げ戦いに明け暮れる日々。次第に天下統一に近付くにつれて、土地や金を褒賞として武将や民に与える事に限界を感じる訳だ。ここである意味、今流行の「持続可能な開発目標」を行おうとしたと考えられる。 武闘派の武将に

          勇者も聖人もいない

          自然は偉大なり

          真摯な種子が発芽し、木となり、林となり、やがて森になる。 適度な雨と降り注ぐ太陽の光を受けて徐々に成長してゆく。 森の木々の間には種子が落ち、新たに芽吹く。 か弱きスプラウトには太陽の光は大木にさえぎられて届かない。 しかし、陽の光がある方向に向かって少しでも伸びようと努力をする。 雨が降ろうと風が吹こうと虎視眈々とあきらめることなく、ねたむことなく成長する。 また、森は必要最低限の光や栄養分を与える。森は大木があることで成立している。 時に 大木が焼失し森の

          自然は偉大なり