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2022年1月の記事一覧

パパと私

パパと会わなくなって7年経った。 死んでしまったわけではない。パパは私が住む家から歩いて1分ほどの場所に住んでいる。でも会わない。 喧嘩をしたからだ。 私が18になったとき、私とパパは警察が来るほどの大喧嘩をして、それ以来いちども顔を合わせていない。 私のパパはセネガル人だ。アフリカの西の、イスラムの国の人間だ。 私の本名には苗字がふたつ付いていて(戸籍上片方の苗字は名前扱いになっているけど)、パパの家系の苗字はセネガルの由緒ある聖人の家系の印として付けられているら

忘れられた思想家|畑中章宏さんが選ぶ「絶版本」

 だれしもが若かりし日の読者体験のなかにおいて、読む、読まないにかかわらず持っておかないといけない本がある。つまり、その本を買って、本棚に並べておくことが、自分が関心を持つ領域に参加している証だとみなされるからだ。そうした本のなかには、そんな当時の“雰囲気”が忘れ去られてしまい、何年か経つとまさに「絶版本」の栄誉(?)を受けるものがある。  1962年生まれの私は、高校生から大学生の頃、つまり1970年代の終わりから80年代にかけて、広い意味での「思想」にかぶれて、さまざまな

「ビジネスデザインのための行動経済学ノート」をカードにしてみた

2022年は「つくるデザイン」をテーマにしてみようと思います。 この数年はむさぼるように本を読んで、「面白い」と思ったものをnoteに紹介して、昨年はうれしいことに本を出すこともできました。ですが、最近はなぜか読書に身が入らなくなってしまい、今年はここに書くこともどうしたものかと悩んでいました。 そこで、インプットに刺激がないなら、アウトプットに意識を向けてみようかと思いました。デザイナーなので何かつくろう、と。(今回は少し長めですが画像が中心なので、サッと流し読みできま

ぼくはスポーツが好きだから、スポーツでちゃんと儲けたい

儲ける発想がなかった日本のクラブ 「スポーツでは食えない」とよく言われてきた。 日本でスポーツに関わる人の収入は、海外に比べても低い。スポーツの仕事が「ドリームジョブ」と呼ばれることはない。野球選手の年俸はたしかに高いけれど、そのほとんども、引退後の再就職にはかなり苦労する。 「スポーツにまつわる仕事」で食べていけるほど、業界自体が儲かっていないからだ。コーチやクラブ運営なんかは、とくに厳しい。 その原因は、クラブの成り立ちにある。 日本のスポーツクラブの多くは「企業

「違和感」と向き合い自己対話を重ねることで見えた世界

「で、あなたはいったいどうなりたいの?」 外資系メーカーの広報として働き始めて4年目の夏。当時の上司が氷のように冷たい眼差しを私に向けて、そう言った。いつものように抑揚のない声。けれど、その声や態度には部下に対する不満や苛立ちがにじみ出ていた。 あの頃、私はこの会社で自分のキャリアビジョンを描けずにいた。人事考課の面談で上司に今後のキャリアプランを尋ねられる度に、言葉に窮してしまう。1年後、3年後、5年後に、どうなっていたいのか。上手く想像できなかった。 自分の"好き

コンサルタントを10年やった私が顧問編集者をやる理由

10年働いたコンサルティング会社をやめ、今月から株式会社WORDSに転職しました。 WORDSはまだ社員2人の会社。周りからは「よくそんなところに飛び込んだね」と言われたりします。 しかも、いままでやってきた仕事とはかなり違うことをやります。 コンサルティング会社では、ざっくりいえば「事業を成長させるお手伝い」をしてきました。 アイデアをビジネスモデルに落とし込んだり、投資や買収の意思決定を後押ししたり。スタートアップに常駐して、社員の方と一緒になって事業プランを進め

連載を始めます。題して「人命の特別を言わず*言う」。

【本連載について】                         人間だけでなく、あらゆる生命の「命を奪ってはならない/奪ってよい」をめぐって、これまで言われてきたことを、社会学者の立岩真也さんが多角的に検討し、自身の考えを展開していきます。『唯の生』第1章での議論をもとに、さらなる展開を図る本連載、終了後には単行本として刊行します。ご愛読を! (筑摩書房編集部) 第1章 人命の特別を言わず/言う1 脱人間中心主義と称する主張                    ■1 

「ライターはSNSのフォロワーを増やさない方がいいのかもしれない」と、ちきりんさんの新刊を編集してから考えている。

タイトルのように考えたきっかけは、先日発売になった『自分の意見で生きていこう』だ。 2011年から担当してきたシリーズの第4弾なので、もう10年以上のお付き合いになるが、ちきりんさんは自分の知る限り最も優れたライター(文章の書き手)の1人だ。自分の考えをゼロから構築・表現して読者に届けるのが抜群にうまい。 ちきりんさんの文章力の秘密については、Voicyでもインタビューをさせてもらったけれど、その時に触れられなかったポイントが1つある。それは『自分の意見で生きていこう』の

日本一のカレーうどん!全国で本当に美味しいカレーうどんランキングTop10+α

こんにちは。2021年にカレーうどんを100杯以上食べたマン(@toyotamasan)です。まだまだめっちゃ寒いですね。先日、2021年の東京のおすすめカレーうどんの記事を出させていただきましたが、実は昨年は全国のカレーうどんも巡っており、東京版よりも全国版のカレーうどんの記事の方が出したいなぁと思っていました。 なぜかと言うと、カレーうどんは全国に名店が散らばっている食べ物なんです。もちろんうどんといえば香川県ですし、関西にはうどんの名店がたくさんあったり、豊橋には独自

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福島県猪苗代湖畔の冬

歴史の扉③ タピオカミルクティーの世界史

 コロナ禍の影響から、一時に比べ下火となったタピオカミルクティーの流行(ちなみに私は1點點が好き)。早くも懐かしむつもりで、世界史とのつながりについて、話題の『中国料理の世界史—美食のナショナリズムをこえて』(岩間一弘著、慶應義塾大学出版会、2021年)をもとに簡単に紹介します。 ルーツは台湾の屋台   1980年代頃、台湾の屋台では、ポリ袋入りの紅茶が売られていました。東南アジアでよく売っているやつですね。  これにかき氷のトッピング用に大粒のタピオカが入れられるように

ヒット作を生むために必要な、3つの結論。

noteマガジン「つんく♂の超プロデューサー視点!」のご購読、ありがとうございます。お年賀スペシャル! ということで、つんく♂が「シングルベッド」でブレイクするまでに実践したことを、全文無料でお届けいたします。 <文 つんく♂ / 編集 小沢あや(ピース) / イラスト みずしな孝之> 1991年、アマチュアバンドとして大阪で人気バンドとなって、全国区のコンテストで優勝し、完全に調子に乗っていた状態で上京。翌年7月にデビューしたものの、正直、全然人気が出ませんでした。 実

バズって感じたこと。音楽好きの人々は「音楽史」に何を求める?

昨年末、「クラシック音楽史とポピュラー音楽史を繋げてみた」というツイートを図解年表付きで投稿したところ、ありがたいことに1万RT/4万いいねを超えるバズをいただきました。 その後、図表は何度か改訂いたしまして、現在、下記の記事で最新版PDFを更新・配布しています。 このツイートが広まったおかげで様々なコメントや引用RTも頂き、興味深く拝見いたしました。今回は、そのような様々な反応から感じたことや気づきを綴りつつ、改めて僕がこのような図を作った意図・問題意識と、それが達成で

つな木 Challenge5 ― 札幌都心を使い尽くす!|公共的空間 × つな木 ―

亀井 聡 日建設計 グロ-バルデザイン部門 GD設計部(中国) シニアプロジェクトアーキテクト 私たち日建設計は、木質・木造の開発研究を行うチーム Nikken Wood Lab(以下Lab)を中心に、中規模・大規模の木造プロジェクトを進める傍ら、極小木造の可能性を探る「つな木」の研究開発を進めています。これは、広く木材利用の普及・促進を図ることで森林資源保護と地方創生を両立させると同時に、コロナ禍におけるライフスタイルの変化や医療現場への対応、またパブリックスペースの利活