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あいみょんのライブに行ってきたレポ。永遠に好き。

ライブ会場へ向かう足取りはスーパーに買い物に行く時みたいに落ち着いていて、人気スイーツ店の行列に並んでいる時みたいに、まだ進まないのかと足踏みする。

それはあくまで重鎮の構えで、態度のでかい常連客のように胡座を掻いて、ペシペシとカウンターのテーブルを人差し指で弾く。

一見相反する態度を繰り返す足に運ばれながら、少しずつ身体は目的地へ近づいていく。

ライブに向かう道すがらはいつだって、そうだ。
「これからライブだ」という事実に心が気付かないまま、足だけは目的地へ向かって動きつづけるから、言葉どおり「心がついてこない」「実感がない」という状況に追い込まれて、名前のつけられないもどかしい感覚に包まれてしまう。

シンガーソングライターあいみょんのFUN CLUB TOUR『PINKEY PROMISE YOU』に向かう今日とて、変わりはない。

当ライブグッズのスウェットパーカーをコートの下に仕込み、オフィシャルグッズのエナメルバッグを肩から下げ、バッグのなかには、あいみょんグッズである、あくまちゃんのぬいぐるみをしっかりと連れ込んで、SONY製のBluetoothイヤホンは前夜からあいみょんが流れっぱなし。

ファン丸出しな装いでありながら、未だ「これからあいみょんに会える」という現実に気づけない体たらくである。

ファッションからバリバリに「あいみょんファンです」と謳いながら、何時間も電車に揺られて、千円をゆうに超える交通費を惜しげもなく支払って向かっている癖に、実感のなさと忙しない足の動きに笑けてくる。

ライブ前に訪れる手探りに進まざるを得ないこの感覚は、一体何なのだろう。旅館の大浴場で目を凝らして空いているシャワーを探す湯気のなかのような、パソコンワークに明け暮れた午後の、皺を寄せた目元から移るぼやけた視界のような、すぐそこにあるはずの何かが見えなくて掴めない感じ。

もっとワクワク、ドキドキ、わかりやすく胸を高鳴らせてくれたらいいのに。それこそ友人や恋人と一緒に向かっていたのならば、「セトリ当てクイズしよ」とか「愛を知るまではを聴きたいな〜」なんて話で盛り上がっていたのかもしれない。

AIM(ファンクラブ会員)の友人がいないわたしは、大抵一人で黙々と会場へ向かうのが常なので、単純に共感し合う相手が近くにいないから、なのかもしれない。耳元から聞こえるあいみょんの歌声とだけ会話をしながら会場へ向かうから、なのかもしれない。

とはいえ何とも言えないこの感覚には、いっそのこと電車と一緒に路線を走って、無理やりにでも心拍数を上げて、胸の高鳴りを感じた方が良さそうに思えてくる。まさか、そんなことをするわけもないのだけれど。

そんな謎の葛藤をするうちにも、足は着実に前へ進んでいくわけで、無事に到着。本日の会場である東京ガーデンシアター!

初めて訪れる地にお上りさんのように右や左へ首を動かしながら、交通整理の方々に先導されてマップも開かずに進みつづける。(方向音痴なので助かるー。)

ちらほらとお揃いのエナメルバッグを携えた人とすれ違うようになってきて、恥ずかしいような、誇らしいような、気持ちになる。

今日此処に集まる全ての人が、あいみょんのファンクラブに入会していて、あいみょんの曲が、あいみょん自身が、大好きな人たちしかいないと思うと不思議な気持ちだ。

クラス替え初日の朝みたいに、一人ひとりのことは知らないけれど、大きな共通点の元つながっている。だから他人だけれど怖くない。むしろ「相性はあるにしろ、みんな良い人に決まっている」という謎の信頼感さえ抱いてしまう。そんな空間を作り上げられる、あいみょんというの人の偉大さと愛され力にも驚かされるな。

あいみょんはライブで「ファンクラブを作ったのは、私じゃないと思ってる。ここにいるみんなだよ。ほんまに感謝」と笑ってくれていたけれど、そんなところがまた、あいみょんという人の尊く美しい部分だなあと思う。

東京ガーデンシアターは2020年に開業したばかりの劇場型イベントホールで、アリーナから3階席まで約8000人収容可能な大きなホールだ。(今回は約6000人が集った!)

バンドメンバーであるギタリストの八橋さんが「SFの世界観みたいだ」と表現したとおり、4層からなる劇場は近未来的でひたすらにカッコいい。デザイン性の高さは機能面にもとどいていて、どの席からもステージが見やすい構造になっていることが席に座った時点でわかった。素晴らしい。

ライブハウスで揉みくちゃにされていた頃も楽しかったけれど、指定席からのんびりと堪能できるスタイルは落ち着いて楽しめて心地良いものだ。

ライブの開幕は、「ジェニファー」。

「約束を果たそうよ ジェニファー」とあいみょんが歌うたびに、あいみょんが「約束通り会いにきたよ!」と言ってくれているみたいで、わたしはそこでようやく「あいみょんと同じ空間にいて、同じ空気を吸って、電波や画面などの隔てるものを越えて、生で音を聴いているのか!」と全身で実感を得てライブの世界に心底浸っていく。

あいみょんTwitter(@aimyonGtter)より

音源ママのあいみょんの安定した歌声と生だからこそ感じ取れる、言葉の端々に乗ったやさしい感情が心に溶け込んで、あまい胸の苦しさを感じながら手拍子を贈る。

隣に座っていた女性も一人で来ていたようなのだけれど、手のひらを合わせたポーズで口元に手を当てたり、体を揺らしたりしていて、「そうだよね。幸せだよね。あいみょんって最高だよね!!」と心のなかで肩を組み、今ここにいる全員があいみょんとバンドメンバーの音に酔いしれている状況に心底感動した。

あっという間に過ぎていく2時間。どうして楽しい時間ほど風が吹くように過ぎ去ってしまうのだろう。悲しい時間はオアシスの見つからない砂漠みたいに果てしないのに、楽しい時間は誕生日ケーキのロウソクに灯る火を吹き消すみたいに一瞬だ。けれど火を吹き消した後にも幸せな余韻がつづくからライブは止められない。何度だって、会いに行きたいと思う。

今日もホクホクの思い出をお土産にもらって、帰路を辿るのだ。

セットリストはこんな感じだった。たぶん。

ジェニファー
空の青さを知る人よ
好きって言ってよ
君はロックを聴かない
ら、のはなし
ミニスカートとハイライト
Continue (木村カエラちゃんのセルフカバー)
ハート
いつまでも
ハルノヒ
森のくまさん
RING DING
マリーゴールド
GOOD NIGHT BABY

どれもが大切で大好きなんだけれど、とくに心に残っているのは「いつまでも」と「ハルノヒ」かなあ。良かったなあ……。もう一度聴きたい……。
ライブならではのアレンジが加わっていて、特別な音を聴いてしまった。

流れ星を見つけた時、野良猫とばったり鉢合わせた時、デジタル時計が誕生日の時間を表示していた時、ハート形のピノが入っていた時みたいに、その音たちは突然やってきて「わ!わわ……!」と歓喜している間に曲はゴールを迎え、そのままどうしようもなく儚い夢の果てに連れていかれる。夢心地とは、このこと。

心を貫く音楽が、まさかすべてあいみょんを筆頭とする人の手によって生まれているのかと思うと、同じ時代に生まれたことに感謝しかない。

あいみょんたちから生まれるキラキラとした宝物ような、手紙のような、ご馳走のような音楽に出合えたことを心から幸せに思います。

ありがとう!あいみょん!

by セカイハルカ
top画像 : uchuuさん(アコギかわいい^^)
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