SeiSeidayo

大学生です。 誰かのトラウマになりたいです。

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最近の記事

人類学という名の悪魔

諸行無常という言葉が好きだ。世は常に変化し、万物は流転する。失うものもあれば得るものもあるだろうと思いながら生きてきた。 だが、最近は自分が変化することが怖くなったりする。 考え方が変わってしまった理由は推理するまでもない。犯人はもちろん人類学という名の悪魔だ。奴は人の心にズケズケと入り込み、いとも容易く人の価値観を変えてしまうことがある。 最近そいつがよく頭の中でささやいてくる。 先日、留学から帰ってきた大学の同期がこれから留学へ行く私のために送別会を開催してくれた!

    • 大阪「国立民族学博物館」250円で世界一周の旅

      もし世界中にいる人々の文化や風土を知りたいなら、必ず大阪にある「国立民族博物館に」訪れるべきだ。 文化人類学専攻の先輩の勧めで、万博記念公園内に建てられたその場所へ行った。 そびえたつ太陽の塔の裏側に位置するドーム型の建築物、その内部には世界がまるまる収められていた。 文化人類学とは常に他者とのかかわりの中で生きている。もし世界の反対側にある人々の文化に直接触れたい場合はどうすればいいのだろうか。そんな悩みを解消してくれるような展示をしていた。 例えばマリノフスキー著の「西太

      • 寮生活における「先輩」の意義とは

        我々は「先輩」にどのような理想を抱くのだろうか。 学校、部活、職場、人生の様々な場面において「先輩」が登場するだろう。 だがその人たちをなぜ先輩と呼ぶのだろうか? 年齢が上だから?自分より何かの事象において経験があるから?それとも優れた能力を持っているから? 今回は私が大学の寮生活において感じた先輩の意義について考えてみたいと思う。 そもそも私が在籍したインターナショナルスクールでは先輩という概念は存在していなかった。上の学年(higher graders)と呼ぶことはあっ

        • 「ユニバ」絶叫系で絶叫できない

          関西旅行では外せない観光スポットユニバーサル・スタジオ・ジャパン通称「ユニバ」。そこでは多種多様な人たちが列を作り、高速移動する機械に乗せられるの待っていた。 気温は34℃を超え、映画「ジュラシックパーク」に登場するプテラノドンに捕まるシーンを再現したアトラクション「フライングダイナソー」に乗ることになった我々一同。 汗を吹き出しながらただ一刻一刻と列が前へと進むのを待っていた。 私は幼き頃から悩みがある。絶叫系で絶叫ができないのだ。恐らく多くの来園者はジェットコースターの凄

        人類学という名の悪魔

          京都旅談②「『伊根町』観光する人と生活する人」

           伊根町をご存知だろうか?京都最北端に位置するこの街は「舟屋の街」として数々のメディアに台頭している。例えばNHK朝ドラ「ええにょぼ」では伊根町が舞台となっており、その知名度が窺える。 今回仲間たちと伊根を観光する事になった。日差しが差し込む冷房の効いた車に3時間ほど揺られ、京都の一番北側まで訪れた。 ついた瞬間に出た感想は 「海が近すぎる!」  海と街の距離が異様に近いのだ。海は道沿いからすぐ触れられる距離にあり、砂浜が一切存在していない。水面は穏やかであり、もし津波が来

          京都旅談②「『伊根町』観光する人と生活する人」

          京都旅談①「観光スポットとは」

          京都には至る所に世界遺産がある。3歩歩けば神社や寺があり、観光客からすると「日本ぽさ」感じられる歴史的スポットだろう。 日本ぽさという漠然としたイメージを求めて訪れる観光客は果たして想像していたものを得られるのだろうか。 観光名所の一つ嵐山に行った 梅雨が明けた夏は湿気と太陽という悪魔的なコンビを連れてきた。太陽に照らされる皮膚と、呼吸するたびに水と空気で満たされる肺、吹き出る汗と乾く喉。この炎天下に山登りをするなんて想像を絶する苦行になるだろう 「山は登らないよ」 と友人に

          京都旅談①「観光スポットとは」

          ディスカッションとは何か

          私が在籍する大学では、なにかと授業中にディスカッションをしたがる。 正直ディスカッションを沢山してきたが、限られた時間の中で行う議論はまとまりが無いまま終わってしまうことが多い。さらに、何について話せばいいか不明瞭だったり、そもそも対話を試みない人たちと組まされたこともある。だが、ディスカッションは本来凄まじいポテンシャルを秘めた学業ツールのはずだ。 様々な視点を兼ね揃えた学生たちが新たな知見を求め話し合い、議論を重ねる。知識だけではなく、コミュニケーションのスキルも磨かれる

          ディスカッションとは何か

          スマホに苦戦する祖母vs何もしない祖父

          最近祖母のミッちゃんの記憶が危うい。 今朝の食卓にて ミッちゃん「今日の予定は?」 私「学校行って書類出して、ご飯食べて、夜にバスで京都に行くよ。」 ミッちゃん「そうなの。。それで今日の予定は?」 という様に前後数分間の記憶が消えてしまうのだ。 いわゆるファインディングニモのドリー現象である。 だが、ミッちゃんの凄いところは頑張ってスマホを使って孫たちと連絡を取ろうとするところだ。 情報を送信することや、行の変換など苦戦することはあるものの、テクノロジーに対して親和的な態度を

          スマホに苦戦する祖母vs何もしない祖父

          暗記のテストはなんのために?

          最近学校の期末テストで、「学者の言ったことを当てろ暗記クイズ」が実施されていたことに衝撃を受けた。 友人は、「ボアズは文化相対主義を唱えた人」、「レヴィ=ストロースは構造主義」とAIに聞けばすぐ答えてもらえる内容を頑張って暗記していたのだ。 暗記のテストとは何のためにするのだろうか? ある学者の言ったことの要点を丸暗記したところで本当に理解したと言えるのか? 先生が使った授業スライドに乗ってある言葉一つ一つ暗記することに意味はあるのか? 執筆された時代背景、筆者が用いた言

          暗記のテストはなんのために?

          なぜ席を譲るのか?

          とある土曜日に引越しがあり、大荷物を持って電車に乗車していた。 午後2時という絶妙に蒸し暑い夏の東京は、電車に乗ると突発的な冷気に襲われ、車内は少し肌寒いぐらいになる。 少しすると停車駅のホームからベビーカーに子供を乗せた妊婦さん、お婆さんと幼い少年の4人家族が自分の前に乗ってきた。 土曜日にどこか家族で出掛けた帰りなのか、子供たちが笑顔ではしゃいでおり見ていてすごく微笑ましかった。 しばらくすると電車が走り出したのだが、妊婦さんとその家族は車内で立ちっぱなしにさせられていた

          なぜ席を譲るのか?

          学生寮に全てを変えられた話

          寮に住むのは不安でいっぱいだった。初めての日本かつ初めての共同生活。この3年を終えて自分は心身共に大きく変化してたと思う。 結論から言うと、寮に住むのは大変おすすめです。 理由は沢山ありますが 1)設備が充実してる 2)様々な文化の人と出会う 3)生活に役立つスキルを身につけることができる などなど数えきれないぐらいです。 そんな寮生活で特に印象深かったエピソードを何個か紹介します❗️❗️ 1)ゼロから始めるラーメン制作 夏休みの期間、余暇を持て余した寮生は突発的に次

          学生寮に全てを変えられた話

          「義理」ってなんだろう?『菊と刀』パート2

          前章で、日本人は受けた恩は必ず報いなければならないということが分かった。パート2では恩の細分化として「義理」という概念を分析していきたい。 バレンタインに義理チョコをもらったりあげたりした人はどれくらいいるだろうか?日本人は当然のように「義理」という単語を使うが、外国人に説明するときに「義理」という言葉をどう訳せばいいのか考えてみてほしい。 説明に困るのも当然である。ベネディクトによると、「義理」に相当する英語は存在しないのだ。さらに、義理という文化は日本人独特であり、こ

          「義理」ってなんだろう?『菊と刀』パート2

          プレゼンテーションは朗読じゃない

          大学の期末課題にプレゼンテーションをすることがある。 今学期久しぶりに大教室でグループプレゼンテーションの時間があったが、正直聞きながら自分がなぜ教室に座っているかを疑問に思ってしまった。 私が発見した発表者のパターンを少しここで伝えたい。 まず、スマホ朗読。 ほとんどの人がスマホの画面に書いてあることを朗読している。 読み上げるのはいいのだが、なぜスマホを凝視して朗読をしているのだろうか。赤ん坊の頃の読み聞かせの方がよっぽど聞き心地がよかった。 次に、無差別ラジオ。 発

          プレゼンテーションは朗読じゃない

          「恩」という名の借金を負う日本人 『菊と刀』

          正直この本を手に取ったのはあまりにもかっこいいタイトルと著者の名前に惹かれたかである。 本書はアメリカの人類学者ルース・ベネディクトが日本の敗戦後に手掛けた 「日本人」の文化や歴史を如実に分析したエスノグラフィー(民族誌)である。この本の面白いところは著者が日本に訪れずに、在米の日本人へのインタビューや文献調査などを元に執筆されていることだ。 本来人類学者とフィールドワークは一蓮托生であり、調査者の鋭い視点からフィールドを普遍的に観察することで初めて民族誌は完成される。 に

          「恩」という名の借金を負う日本人 『菊と刀』

          Why ICU…?「ICU」のらくたんって?

          なぜみんな大学に行っているのだろうか? ふと頭に浮かんだ問いであった。 大学でよく耳にする言葉は私にとって疑問ばかりだ。 その中でもよく耳にするのは「らくたん」という言葉だ。意味は察する通り楽な単位の略語である。 私も入学当初は先輩たちから聞いた「らくたん」に目を輝かせ、楽な授業ばかりを履修してした。 興味は少しあった評価基準の厳しそうな授業は避け、所謂「らくたん」授業をたくさん履修してしまった。 履修してみた結果、とにかく楽だった。授業中は何も考えずパソコンを開いて好き

          Why ICU…?「ICU」のらくたんって?

          指宿(いぶすき)菜の花マラソンを走り切って

          なぜランナーは走っているのだろうか?28㎞地点を超えたときにふと頭に疑問が浮かんだ。  天気は快晴、照り付ける日光が皮膚に突き刺さり、毛穴という毛穴からぽつぽつと汗が噴き出ていた。両足はただ次の一歩を踏むために前へ進み、途方もない42.195kmという距離を詰めていく。  自分を狙う何かから逃げているわけでもない、追いかけるわけでもない、極度なマゾヒストでもないとすると、ランナーはなぜ走っているのだろうか。  28㎞を超えると体の節々から痛みを感じ、コース外には倒れているラ

          指宿(いぶすき)菜の花マラソンを走り切って