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ディスカッションとは何か

私が在籍する大学では、なにかと授業中にディスカッションをしたがる。
正直ディスカッションを沢山してきたが、限られた時間の中で行う議論はまとまりが無いまま終わってしまうことが多い。さらに、何について話せばいいか不明瞭だったり、そもそも対話を試みない人たちと組まされたこともある。だが、ディスカッションは本来凄まじいポテンシャルを秘めた学業ツールのはずだ。
様々な視点を兼ね揃えた学生たちが新たな知見を求め話し合い、議論を重ねる。知識だけではなく、コミュニケーションのスキルも磨かれる場であり、今後社会でも役立つだろう。

そこで、私が経験してきた数々のディスカッションで登場した人物たちを紹介したい。自分はどう言った役目を務めたことがあるかを考えてみてほしい。


1)ファーストペンギン

最初に海に飛び込み仲間を救うペンギンの様に、静寂の冒頭にオープニングテーマを飾ってくれる勇気ある人物。自己紹介やアイスブレイクを考え、とりあえずテーマの切り口を探してくれるリーダー的存在。この人がいないと何も始まらない。

2)緩衝地帯
議論が激化した時に両サイドの意見をまとめ、整理してくれるクッション材。この人がいれば世の戦争は止まるだろう。全ての主張を整理し、散らばった言葉たちを理路整然と組み直す論理のスペシャリスト。真夏のクーラー的存在。

3)博士

何でそんなこと知ってんの?って問いたくなるぐらい博識な人物。新たな知識を次々と紹介し、ディスカッションに彩りを加える存在。だが、たまに知識紹介が多すぎて仲間たちが情報を持て余してしまう。あと「へー」で終わってしまうことが多いため、扱い方には注意を。

4)槍使い

鋭利な槍の如く鋭い一言を投じる人物。発言数こそ少ないが、その一言一句はすべてクリティカルヒットとなる。仲間は「たしかにー」と感じてしまうことが多いため、その都度議論を考え直す必要がある。普段あまり積極的に喋らないゆえ、仲間がうまく才能を引き出す必要があるかもしれない。

5)ダークヒーロー

全員の反感を買い、様々な爆弾発言を残す人物。仲間たちは立ち往生してしまうほど過激な発言をするが、同一方向に進む議論を唯一蹴り返す才能がある。仲間から嫌われることもあるが、本当に大切なのはこういった「おかしな」意見だ。一番仲間の印象に残り、脳裏に焼き付くトラウマ的存在。

6)弁論家

とにかく議論に勝ちたい、自分の正しさを主張したい人物。ディベート部部長的存在。ディスカッションには不向きだが、きっと裁判では強いだろう。

7)無意見

基本的に喋らないが、意見を聞いてもたじろいでしまう事が多い。こう言った場合、瞬時に話すのが苦手なことが多いため、考える時間をあげると面白い意見を出す可能性がある。ゆっくり自分のペースで考えさせてあげよう。

ディスカッションは多くの場合、瞬発力や論理的な思考スピードが試されることが多いが、それは限られた時間という制約があるからだ。得意なコミュニケーション方法は人によって異なるため、それぞれに合った会話の工夫が必要なのではないだろうか。仲間たちの言葉を真摯に受け止め、会話の導線を引き、柔軟かつクリティカルに物事を考える、ディスカッション中は様々な事に思考を巡らせなければならない。
ディスカッションは自分の主義主張を突き通し、相手を論破するディベートとは違い、新たなベースを自分の中で組み換える作業だと思う。ディベートは2を1にする作業だが、ディスカッションは2を3に、さらにはAに変えることだってできる。勝ち負けはないものの、お互いを尊重した上で、正しさや思考を衝突させ、問い続ける必要はあるのではないだろうか。
ディスカッションは目的は何か、
出題者は何を考えてほしいのか
自分はどういう立場なのか、相手は?なぜその立場をとるのか
どうやったら自分の意見が伝わるか
是非考えてみてほしい

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