名前は著名な経済学者にちなんだ「しゅんぺいた」。オリックスの「ドラ1」3年目の山下投手がプロ初勝利。1軍2試合目で
名前は著名な経済学者にちなんだ「しゅんぺいた」。オリックスの「ドラ1」3年目の山下舜平大投手(20)がプロ入り初勝利を挙げた。今季から1軍で投げるようになり、開幕戦以来の2試合目でつかんだ。「イノベーション」の理論を生み出した経済学者のように、山下投手は球界に「革新」を起こせるだろうか。山下投手は楽しみな存在だ。
福岡大大濠高出身の山下投手。2020年の最後の夏は高校野球選手権大会が中止となり、「夢を奪われた」世代である。各高野連が開催した独自大会に出場し、福岡地区大会で準優勝。この決勝のマウンドを、私はネットで見たが、大型右腕の堂々たるピッチングにプロで活躍できる逸材だと思った。
「外れ1位」ながらオリックスに「ドラ1」で指名された山下投手。プロ入り後2年間は2軍のマウンドで投げ、しっかり体を作ってきた。
そして3年目の今季。190センチ、98キロの大型右腕は1軍初登板で「開幕投手」をまかされた。
ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で3大会ぶりに「世界一」に返り咲いた侍ジャパン。オリックスのエース山本由伸投手や左腕宮城大弥投手が代表入りしていたため、山下投手に「開幕投手」が回ってきたが、チームの期待の表れでもあるだろう。
開幕戦で5回3分の2を投げて1失点。同点のまま降板したため、勝利投手とはならなかったが、十分な合格点のマウンドだった。
そして11日の1軍2試合目。アウェー仙台での楽天戦に先発起用された山下投手は、ここで1軍初勝利をマークした。
最速157キロのストレートがうなりを上げた。20歳とは思えない堂々としたピッチング。毎回奪三振で、楽天のスコアボードに「0」を並べ続けていった。
5回93球、相手打線から計10個の三振を積み重ねた。仙台で繰り広げた「奪三振ショー」。与えたヒットは2本のみ。味方がリードした状況のまま、無失点でマウンドを降りた。まさに「威風堂々」。
山下投手とプロ同期で、侍ジャパンで活躍した宇田川優希投手らがリリーフし、山下投手のプロ初勝利をお膳立てした。
試合後のお立ち台で、山下投手は「今日も開幕戦と変わらず1球1球、1人1人との勝負と思っていました」と、この日のマウンドを振り返った。
プロ3年目にして初のウイニングボールは、お母さんにプレゼントするそうだ。最高の親孝行となっただろう。
両親から与えられた「しゅんぺいた」という名前。20世紀前半に活躍し「孤高の経済学者」とも言われたヨーゼフ・シュンペーターに由来する。「イノベーション(革新)」「創造的破壊」と経済成長の理論を構築していった偉大な学者だった。
山下投手も球界に「革新」を生み出す大投手になってほしい。プロ初勝利からどんどん成長を遂げていくはずだ。
投げる「シュンペーター」の成長物語に、これからも期待したい。
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