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「まるで受験の合格発表の気分」。ホークスの選手たち、M1としてオリックスの試合経過を見守った

こればかりは自分ではどうにもならない。プロ野球選手にとっての他球場の試合のことだ。ソフトバンクの選手たちが自らの試合で快勝し、リーグ優勝のマジックを1とした。2位のオリックスが試合を行っている。負けるか引き分ければ、ホークスの試合が決まる。それを見守る姿が、どこか合格発表を待つ受験生のように見えたのだ。

30日に仙台で行われた楽天戦。先発の和田毅投手が5回1失点としっかりゲームを作って、勝利へと導いた。和田投手にとって、NPB通算150勝の記念すべき勝利。すぐさま、ヒーローインタビューが行われてもおかしくない。

しかし、ホークスの選手たちはベンチに腰かけたまま、大型スクリーンを眺めていた。大阪で行われているオリックスの試合を見ていたのだ。

人事を尽くして天命を待つ。自分たちはしっかり勝利を収めて、マジック1としてリーグⅤに王手をかけた。オリックスがこの日、試合に負けるか引き分ければ、ホークスの優勝が決まるので、どうしても戦況を見守るしかないのだ。

その姿が試験を終えた受験生の姿とダブって見えたのだ。もちろん翌日以降も試合があるから自力で優勝をつかむことは十分に可能だ。それでも、1日でも早く決まったほうが良いに決まっている。それだけに、ホークスの選手たちの落ち着かない様子が、ちょっぴり微笑ましくも見えたのだ。

オリックスは1点リードしたまま、九回の守りに入った。マウンドにはクローザーの平野佳寿投手。2死まで来ながら同点に追いつかれてしまった。なおのこと、試合が気になってしまう。このまま引き分ければ、優勝が決まるのだから。

試合は直後の九回裏にオリックスがサヨナラ勝ち。なんとか首の皮一枚残った。ホークスの選手たちは、明日改めて優勝決定のための試合に臨む。場所は埼玉の所沢。18時からのナイトゲーム。山で行われるといっていいぐらい冷え込む可能性がある。

そこで決まらなければ、さらに翌日、千葉に出向いて試合を行うのだ。仙台→埼玉・所沢→千葉。所沢は埼玉の西部にあるから、同じ関東と言っても千葉まではかなりの距離がある。

優勝に向けて、さすらいの旅。それを思えば、仙台で優勝が決まってほしかったのではないか。

オリックスの結果を見届け、ロッカールームに引き上げるホークスの選手たち。「試験」は明日も行われるのだ。受験会場は所沢。彼らを見ながら、私は口ずさんでいた。

「どうか桜が咲きますように」

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