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数奇な野球人生の大竹耕太郎投手。現役ドラフトでソフトバンクから阪神へ。進学校から甲子園。早大のエースが育成でプロ入り

今月行われたプロ野球の現役ドラフト。初の試みとなった制度で、ソフトバンクから阪神へ移籍するのが大竹耕太郎投手(27)だ。数奇な野球人生を送っている選手ともいえる。そして困難な状況から常にはい上がってきた。新天地は伝統のチーム。甲子園で再び花開くことができるか。楽しみな存在だ。

高校時代は熊本県内指折りの進学校だった済々黌高で野球人生を送った。選抜で優勝経験のある古豪。ただ進学校ゆえ頻繁に甲子園に出られる学校ではない。

しかし大竹投手が2年生の時に夏の甲子園に出場した。緩急を生かした投球で熊本大会を制し、夏の甲子園は16年ぶりとなる出場だった。

3年春には選抜で再び甲子園のマウンドに立った。濟々黌の選抜切符は、1958年に頂点に立って以来55年ぶりの快挙だった。

長く甲子園から離れていた学校を春夏共に甲子園へ導いた大竹投手。大学は野球の名門、早稲田大へ。

ここでも1年春から神宮のマウンドに立った。秋には開幕投手も務めている。順調にエースへ成長しながら、3年生になるとけがに悩まされることになった。それでも4年秋のラストシーズンで勝利を挙げ、卒業することに。

ドラフトは、ソフトバンクから声がかかった。しかし育成ドラフト4巡目指名。早大ではドラフト下位での指名は拒否すべきという「暗黙のルール」があった。ましてや育成ドラフトでの指名。それでも大竹投手はプロ入りの道を選んだ。

ルーキーシーズンは2軍の試合でスタートしたが、活躍が認められ7月に支配下登録されることになった。1軍の試合に出られる道ができたのだ。

8月1日の西武戦で1軍デビュー。先発のマウンドに立つと、8回2失点で勝利投手に。育成出身の新人による1軍公式戦初先発・初勝利を挙げた。このシーズンで3勝を挙げ、翌年は5勝、2020年は2勝と毎年勝ち星を挙げられるようになる。

しかし2021年、22年は、いずれも勝ち星なし。1軍マウンドはそれぞれ2度のみと、活躍の機会を与えられなかった。

それだけに、今回初となる「現役ドラフト」で移籍するのは、大竹投手にはプラスに働くと思う。

これまで進学校から甲子園出場、大学時代はけがから復活し育成枠でプロ入りと、数奇な野球人生を送ってきた。それだけに、このような初の試みでの移籍で、大竹投手は飛躍のきっかけをつかめるはずだ。阪神入りし、自身初となる「二けた勝利」をめざしてほしい。

大竹投手の「野球ドラマ」は、まだまだ続くはずだ。

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