見出し画像

「的はずれ」と言われた新人選手が、つかんだサクセスストーリー。ドラフト262位。アメフトNFLのパーディー選手の快進撃

アメリカンフットボールは日本では、あまりなじみのないスポーツだろう。それでも、この
新人選手を紹介したい。本場米国のNFLで司令塔の先発クォーターバックとして活躍中のブロック・パーディー選手だ。ドラフト会議で最後の指名を受け「ミスター・イレレバント(的外れ男)」という称号を受けた選手。鮮やかなサクセスストーリーをつかんだ。

昨年のNFLドラフトで全体の最下位となる262位指名を受けた選手だ。この規模は多いだろうとは思っても規模感がつかめない。そのため、昨年の日本のプロ野球ドラフト会議と比較してみる。

昨年、プロ野球で指名されたのは新人69人、育成57人の計126人だった。プロ野球のドラフトで指名された人数の2倍(252人)よりも多くの選手がNFLで指名され、パーディー選手は最下位の262位指名だったのだ。7巡目での指名だった。

米国では最後のドラフト指名を受けた選手を「的外れ」を意味する「ミスター・イレレバント(街はずれ男)」と呼ぶ習慣がある。大舞台で活躍することなく、去っていくのだろうという意味合いがあるのだろう。

パーディー選手が所属するのはサンフランシスコ・49ersだ。スーパーボウル王者に輝くこと5回の名門チーム。特に1980年代は、ジョー・モンタナさんの活躍で一時代を築いた。

その名門チームでレギュラーになる。確かに「的はずれ」と言われかねないスタートだった。司令塔のQBとして3番手以下の位置づけだった。

しかしルーキーシーズンにチャンスが舞い込んだ。主力のQBが相次いで故障したのだ。第2週にエースQBのランス選手が右足骨折。そして13週目にベテランでスーパーボウル出場経験のあるガロポロ選手が試合序盤に左足を骨折したのだ。

突如訪れた出場機会。これをパーディー選手は逃さなかった。この試合を33-17でものにすると、次週からは先発QBとして出場。パーディー選手は残りのレギュラーシーズン5試合を全勝し、チームをNFC西地区優勝に導いたのだ。

そしてプレーオフ1回戦にあたる「ワイルドカードプレーオフ」にも出場した。故障していたガロポロ選手が復帰できそうにまで回復していたが、チームはパーディー選手に司令塔を託した。

そして、このプレーオフで、パーディー選手は4タッチダウン(TD)に導く大活躍で次戦へと勝ち進んだのだ。

この4TDは、7巡目でのドラフト指名を受けた新人選手では史上初の快挙だったのだ。「的はずれ」扱いだった選手が、偉大な記録を打ち立てた。

日本テレビで「NFL倶楽部」という深夜番組がある。お笑いコンビのオードリーが司会をしている。学生時代にアメフトのプレー経験のある2人。若林正恭さんは、この日のパーディー選手のタッチダウンパスの解説をしながら、「冷静な判断力がある」と絶賛した。

このプレーは、パスの受け手が3人ともマークされた厳しい状況。相手守備陣の突進をかわして4人目の受け手の選手を見つけて、冷静にパスしタッチダウンにつなげたのだ。

もはや新人離れしたスーパープレーだった。ましてや、「的はずれ」などという蔑称とは相反するプレーだった。

「的はずれ男」からの華麗なサクセスストーリー。突如スターにのし上がった「シンデレラストーリー」ともいえる。

パーディー選手の快進撃はどこまで続くのだろうか。「マイナスの評価」からはい上がった男のサクセスストーリーを見守り続けたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?