ちょっぴりほろ苦。それでもオリックスのドラ１曽谷投手は前を向く。プロ初先発。指揮官は「いいもの見せてもらいましたよ」

プロ初先発は、ちょっぴりほろ苦のマウンドとなった。それでもオリックスのルーキー左腕、曽谷龍平投手（22）は前を向く。大崩れしない投球で、ドラフト1位の片りんを見せた。味方打線の援護を受けられず、黒星を喫した。しかし指揮官は「いいもの見せてもらいましたよ」と評価。次回の登板へ自信になったはずだ。

7日に本拠大阪で行われた巨人戦。オリックスは交流戦で5勝2敗と首位を走っている。好調なチームは先発マウンドに曽谷投手を送り込んだ。ローテーションに入っている田嶋大樹投手が左腕の張りで離脱したため、飛び込んできた先発のチャンスだった。

初回のマウンド。初球は150キロ直球。バシッと決めてストライク。2球目を変化球でセカンドゴロに打ち取った。堂々としたピッチングだ。2死後にヒットを許し、4番岡本和真選手との対決だ。

ＷＢＣで侍ジャパンを世界一に導いた主軸打者。曽谷投手は変化球をバットの先でとらえられた。打球はセンター前へ。中堅手が弾き、ボールが転々とする間に、一塁走者が一気に生還。曽谷投手には不運な失点となった。

二回は先頭打者に三塁打を喫したが、後続三人をピシャリと抑えてピンチを脱出。三回は三者凡退に抑えた。

四回は先頭打者が三塁線へ強烈な当たり。サードが弾く間に一塁セーフとなった。記録はヒットとなったが、曽谷投手にはアンラッキーともいえた。そこから2連打を浴びて1点を許した。適時打は打ち取った当たりだったが、レフト前にポトリと落ちた。これも不運。

五回に2死一、二塁としたところで、中嶋聡監督自らマウンドに向かった。指揮官から「よう頑張った」と声を掛けられての降板。グータッチを交わすところに、指揮官が曽谷投手を高く評価したことがうかがえる。

4回3分の２を投げて、2失点。自責点は１。大崩れせずゲームを作った曽谷投手の先発初マウンドだった。味方打線はＷＢＣメンバーの戸郷翔征投手相手に7回無得点と抑え込まれた。曽谷投手に黒星が付く試合となった。

曽谷投手は秋田の名桜高で甲子園に出場、白鷗大に進学後もさらに成長し大学ナンバーワン左腕と評されて、プロ入りした。

ルーキーイヤーの今季はリリーフとして3試合に登板。2軍で調整を続けてきた後に、今回の先発登板を迎えた。

この日の投球を、曽谷投手は「不運な部分をあったが、自分の実力なので改善したい。自分の良い部分は出せたかなと思う」と振り返った。指揮官も「いいもの見せてもらいましたよ、本当に」と高評価だ。

プロ初白星がお預けとなった曽谷投手。それでもドラ1ルーキーは前を向く。次回の先発マウンドは必ずあるはずだ。曽谷投手の初白星を期待したい。