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「寝た子」が起きたらサヨナラ打。日本シリーズで苦しむ虎の4番大山選手が試合を決めた。月が変わればツキも変わる。阪神が2勝目でシリーズタイに

「寝た子を起こすな」ということわざがある。不必要なことをしたために、逆効果が生じることを示す。日本シリーズ第4戦は、このことわざ通りの結末となった。このシリーズで打撃に苦しむ阪神の4番大山悠輔選手。九回に前の打者2人への申告敬遠で打席に立つことに。大山選手はこれに発奮。サヨナラ打を放ち試合を決めた。「目覚めた子」が大暴れした。

暦は11月となった。「月が変わればツキも変わる」。大山選手はこの言葉を胸に試合に臨んだのではないか。

日本シリーズ計3戦を終えて、大山選手が打撃面で不振に陥っていた。3戦までの打率は1割8分2厘。その象徴が10月31日の第3戦。九回の場面だった。1点を追う2死一、二塁。一打同点のチャンス。長打が出ればサヨナラ勝ちの場面で打席に立った。

制球に苦しんでいた相手クローザー。大山選手はフルカウントまで粘る。運命の6球目。低めに落ちたフォークにバットは空転。空振り三振に倒れてゲームセット。ここ一番で一打が出なかった。

これが第4戦の伏線となった。3-3の同点で迎えた九回裏。阪神は1死後に近本光司選手が四球を選んで出塁。次の中野拓夢選手の打席。相手投手の二つの暴投で近本選手は三塁へ進んだ。オリックスは中野選手、続く森下翔太選手を続けて申告敬遠として満塁策を取った。

ここで打席に立ったのが大山選手だったのだ。4番のプライドは傷つけられたはず。しかし大山選手は一打サヨナラの場面で発奮した。

相手投手のチェンジアップなどを見極め3ボールとした。ファールなどでフルカウントに持ち込まれるが、ボールはしっかり見えていた。

そして7球目。内角高めの148キロストレートを、大山選手が振り抜いた。打球は三遊間を抜けてレフト前へ。値千金のサヨナラ打となった。

満塁にして不振の4番と勝負する。オリックスベンチの取った采配は間違いではなかったかもしれない。しかし大山選手の試合を決めようとする思いが上回った。前日に一打同点のチャンスをフイにした悔しさをバネにして、月が変わった第4戦の最終盤で雪辱した。

試合後に大山選手は「冷静に行こうと思っていたんですが、ファンの皆さんの歓声が力になりました」とスタンドを埋め尽くした阪神ファンに感謝の思いを伝えた。

月が変わればツキも変わる。11月最初の日に、サヨナラ打を放った大山選手。10月には頂上決戦で苦しんだが、11月に違う姿を見せた。「ミスター・ノベンバー」となる可能性は十分にある。

これで阪神は日本シリーズ2勝目を挙げて、成績をタイに戻した。「寝た子」大山選手がついにお目覚め。5戦目以降もキーパーソンとなることは間違いない。

頂上決戦第5戦も甲子園で行われる。日本シリーズ制覇へ王手をかけるのは阪神かオリックスか。大山選手のバットがカギを握りそうだ。

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