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ヤクルトに見る「負けない野球」の強さ。1安打に封じこまれながら、中日と引き分けて首位キープ

「負けない野球」という言葉をよく聞く。今年のヤクルトが、まさに象徴的なチームとなっている。25日の試合でも中日投手陣に1安打に抑え込まれたが、相手に得点を許さず、0-0のドローに持ち込んだ。敗色濃厚の試合展開でも、きっちりと引き分けにする戦いぶりは、首位のチームらしさが漂う。

ヤクルトは本拠神宮で、4位中日との試合。相手の先発ロドリゲス投手から四球で走者を出すものの、ヒットがなかなか出ない。ツイッターでは「ノーヒット」のワードがトレンド入りしていた。

この日に限っては、強力打線とは思えぬヤクルト。相手は、どんどん自分のペースに持ち込んでいく。それでもヤクルト先発の左腕高橋奎二投手も粘り強いピッチングで、得点を許さない。五回には2死二、三塁のピンチを招いたが、続く打者をセンターフライに抑えて、危機脱出。

ヤクルトは八回に、塩見泰隆選手がヒットを放って、ようやくチーム初安打。1死一、二塁の好機を作ったが、後続の2番青木宣親選手、3番山田哲人選手から快音が出ず、無得点。塩見選手の安打が、ヤクルトのこの日唯一のヒットだった。

しかし、味方が無得点でも、相手にも得点を与えない。そのままドロー決着に持ち込んだ。解説のデーブ大久保こと大久保博元さんは試合後に「(ヤクルトには)勝ちに等しい引き分け」と話していた。

この日、2位阪神は3位巨人を3-0で下して、ゲーム差(貯金の数)では、首位ヤクルトに並んだ。ただ、阪神が64勝48敗7分けに対して、ヤクルトは58勝42敗16分けと、引き分けの試合が多く負けが少ない。そのため、勝率ではヤクルト(5割8分)が阪神(5割7分1厘)を上回り、首位をキープした。

ヤクルトは、9月14日の阪神戦(4-4のドロー)以来、11試合連続負けなしだ(7勝4分け)だ。勝つに越したことはないが、少なくても負けずに引き分けに持ち込む。これぞ「負けない野球」。首位を走る原動力となっている。

一方、阪神の64勝は25日現在、今季12球団で唯一の「60勝以上」だ。ヤクルトの「負けない野球」に対して、阪神は「勝つ野球」と言えるだろう。
最後に笑うのは「負けない野球」か「勝つ野球」か。各チームの戦うスタイルから、セリーグのペナントレースを見守りたい。

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