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DO IT ! 《詩》

「DO IT !」

僕の中に居る個人的な神様は

きっと地味な性格を装って

あまりパッとしない地区に住み

ありきたりの服を着ていて

通りですれ違ったとしても
僕は気が付かないかもしれない


もしかしたら 

さっき通りすがりに目が合った

頭の禿げたオッサンが

神様だったのかもしれない

だけど 神様は居る


全ての事柄は禅の様で難解だと
僕が話すと

神様は

違うよ 其れは太陽と月だ

そう簡単に答える

デリケートな芸術的感性が
生み出した幻覚だとあきれ顔だ

神様が手に持った翻訳された小説

表紙には DO IT !

そう大きな文字で書かれていた

神様は笑いながら 
その小説の文章を読み上げる

「お袋犯し」…「お袋犯し」…

何度もそのワードが出て来る

僕は何なの? 

その「お袋犯し」…って

そう聞いた僕に Mother Fucker だよ
そう神様は答えた

なぁ 誰が翻訳したんだ此の本

アウトローが台無しだぜ

馬鹿馬鹿しいにも程があるよな

そう言って煙草の煙を
鼻の穴から吐き出した

アウトローはあまり好きじゃ無いんだ 

そう思っていた僕に

パンクは好きか? メタルは?

ノイズは? ヒップホップは?

ギャンスタラップは?

いいか坊や 必要としてる奴には

どんな種類の音楽だって

其奴の応援歌になるんだ 

好きか嫌いか

お前は其れをはっきりと
示せば良いだけなんだ

そう神様は僕に言う


何処からか適当にペーストされた様な
生温い風が吹く 僕は吐き気を覚えた

其れで良い 其れで良い

DO IT ! 神様はそう言って消えて行った

もしかしたら 昨夜 

歓楽街の片隅で見かけた売春婦が
神様だったのかもしれない

夜空には死にかけた太陽と

生まれたばかりの月が

同時に張り付いていた

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