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花摘み

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ふわふわ、ぴかぴか、しゃりしゃり
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#エッセイ

におい

におい

小学生だったころ、同級生の誰かが脱いだまま置き忘れている体操服とか、制服の上着とかのにおいをかいで、その持ち主を当てることができた。

田舎の小学校で、学年の人数が20人にも満たなかったからというのもあるのだろうけれど、私は同級生みんなのにおいを知っていた。私だけではなく、きっとみんなもそうだった。

たとえ誰かが分からなくても、そういうときは別の誰かがくんくんと鼻を動かし、「これはあいつのだ」「

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花言葉のこと

花言葉のこと

花は好きだけれど、花言葉は好きじゃない。花にまで意味を与えたがる人間が、すこしだけおそろしいもののように思える。

花は花として咲いているだけでうつくしいのだから、別に意味などいらないのにね、と思ってしまう。

けれど花言葉を好きだというひとはきれいだと思う。純粋で、やさしい人だと思う。花言葉を信じられるということは、私には、本当にやさしいひとにしかできないことのように思える。

私はどこかすこし

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音楽と小説について

音楽と小説について

好きな音楽の話をしようと試みるとき、どうもことばを連ねるだけでは表現し得ないことがあって記事を書くのをやめた経験が何度もあるけど、それが一体なぜなのかはいつも曖昧なままだった。

好きな小説を紹介するのと同じように音楽についても紹介すればいいのに、それはいつもなんともいえないもやもやによって阻まれてきた。

しかしそれがなぜなのか、最近ようやくわかった。
音楽とは聴覚に依拠するものだからだ。

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花、宝石、女の子

花、宝石、女の子

私は男の子というものが好きだ。
おもしろいいきものだと思っている。

しかしそれに負けないくらい女の子が好きだ。

話すのには男の子がおもしろいなあと思う。私には男兄弟がいないから、同年代くらいの男の子がずっと不思議でならない、ということもあるかもしれない。何を考えているのか、何を感じているのか知るのはおもしろい。

一対一でも気兼ねなく男の子と話すことができる方だし、なんだろう、男の子は女の子に

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