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死にぞこないの趣味の世界

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#おいしいお店

お酒に飽きた話

お酒に飽きた話

からだ40の頃までは、よくあちらこちらで飲んでいた。
なにを飲んでも愉快だったし、好奇心旺盛だった。
新しいもの、珍しいものを味わうのが、そしてそれを語るのが、楽しかった。
「日本酒を飲むときに仕込み水をチェイサーにすると絶妙だって、御存知?」
「サッサイアは従来のワインの概念を覆したよね。自然派をうたうならば、あの域まで達さないと…。」

でもいつの頃からだろうか、50になった頃からだろうか、お

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食を楽しめる人生観

食を楽しめる人生観

鯛の握りーその刹那の瞬間を噛みしめる僕は「人生は苦しくてあたりまえ」と思っています。
だから、かつて女子短大の教師だったとき、「お転婆でもいい、たくましく育ってほしい」と、「強い女」の育成を目指しました。女子学生諸君に、人生の荒波に耐え、世のためひとのために頑張る大人になってほしかったからです。

しかしその短大にお勤めの多くの先生方は「人生は楽しくてあたりまえ」と信じていらしたようで、「弱い女の

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マヨネーズ、ドレッシング、そして努力

マヨネーズ、ドレッシング、そして努力

凝る15年ほど前だったか、マヨネーズとドレッシングに凝ったことがあります。

マヨネーズに凝ったのは、パリのモンパルナスにあるレストランで、茹で卵のマヨネーズかけ(oeuf mayo)に感動したのがきっかけでした。そのマヨネーズは、味は濃厚なのに、舌触りが実に軽やかだったのです。いくらでも食べられる。

よし!自分で、こんなマヨネーズをつくろう、そう思いました。
しかし失敗しました。
そもそも固ま

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パスタ談義

パスタ談義

ナポリタンがパスタか!?あるとき、滝川クリステル似の友人が言った。
「わたし、パスタ、好きよ。例えばナポリタンとか。」

は?
耳を疑った。
ナポリタンが、あの和製洋食の十八番、あの昭和の喫茶店ランチの定番、アレがパスタか?

ちがう!そう思った。
そして、べっぴんさんに媚びるよりも、もっと大事なことがある、とも思った。

だから言った。

僕は貴女を尊敬している。
だから貴女にもまた、自尊心を持

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カツレツを食べて、愛を考える

カツレツを食べて、愛を考える

ウィンナーシュニッツェル8月末の日曜日、昔の教え子(現アラサー女子)が、僕のうちに遊びに来ました。
いつものことながらの華やかな女子会のおしゃべりに耳を傾けながら、僕は厨房に立ちます。
お昼の献立は、鶏の胸肉のカツレツにしました。

皮をとった鶏の胸肉を、うす~く、スライスする。
そして叩く(ここがポイント!)。
それから塩をして、しばし放置。

イメージとしては、ウィンナーシュニッツェルを作る感

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飽きない味

飽きない味

お豆腐もしも胃袋が幾つもあれば、ずっと食べ続けていたいものがある。
例えば近所の豆腐屋の「にがり絹豆腐」。
この豆腐に塩をかけて、ビール(あるいは日本酒)とだけで、いつまでも食べていられる。

そう、飽きないのです。
飽きないって、大事ですよね。

レバーケーゼVSオムレツ例えばドイツの厚切りレバーケーゼ。
食べ始めて、みくちぐらいまでは「うまい、うまい、うまい」と頬張る。
しかし、しばらくしてふ

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