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死にぞこないの趣味の世界

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2024年3月の記事一覧

フレンチ・ポップスのレジェンド、ルノー・セシャンRenaud Séchanの魅力

フレンチ・ポップスのレジェンド、ルノー・セシャンRenaud Séchanの魅力


とことん反体制ルノーはつねに左翼的立場からプロテストソングを歌ってきた。
だから21世紀から見ると、「いっけん」古くなってしまった楽曲もある。
例えば「六角形Hexagone」は1975年の発表。
そのなかでルノーが批判した死刑制度は、フランスでは1981年に廃止された。
それゆえ「六角形」はもはやアクチュアルな歌とは言えない。
けれどもジャーナリズムにこだわるルノーの姿に、ある種の普遍性を感じ

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映画『アリバイ・ドット・コム カンヌの不倫旅行がヒャッハー!な大騒動になった件』を観て

映画『アリバイ・ドット・コム カンヌの不倫旅行がヒャッハー!な大騒動になった件』を観て


フィリップ・ラショー春なので心身ともに、だるい。
昨日はつらくて、家から外に出ることすらできなかった。
今日はアツアツのパスタを作って食べようとしたら、口にやけどした。
もう生きていても、愉快なことなんて何もありはしないと思う。
思えば、諦めばかりの人生だった。

憂さ晴らしと思い、軽くワインを飲んで、フィリップ・ラショー(1980年生まれ)のコメディ映画をアマゾンプライムで観た。
『アリバイ・

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やたらと元気だけ良い80年代

やたらと元気だけ良い80年代


春なので天候が不順なせいか、元気が出ない。
仕方がないので元気いっぱいだった80年代を思い出す。
日本でアラレちゃんが「キーン」とやっていたころ、フランスの大衆文化も元気爆発だった。

ジルベール・モンタニェGibert Montagné
1951年生まれ。
彼は目が不自由だ。
でも目が不自由だからと言って、弱さをウリにして、なにか訴訟しているのではない。
訴えているとすれば、「愛し合おうOn

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モクレンの美しさに意味はない -懐かしのディスコ曲「モクレンよ、永遠にMagnolias For Ever」

モクレンの美しさに意味はない -懐かしのディスコ曲「モクレンよ、永遠にMagnolias For Ever」


先日、あるnoteで満開のモクレンの写真を見た。
ふと思い出したのは、「モクレンよ、永遠にMagnolias For Ever」というクロクロ(クロード・フランソワ)の歌であった。

クロード・フランソワクロクロの曲は夏のブルターニュの浜辺でしばしば流れていた。
(フランスの海岸では個人がラジカセなどで音楽を流すことが禁じられている。その代わり、特定の場所でのみ公認施設が〈みんなが知っている〉歌

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映画『ヴィーガンズ・ハム』を観て

映画『ヴィーガンズ・ハム』を観て


アマゾンプライムがオススメしていたので観た。
軽妙なブラック・コメディー。

映画を鑑賞したあとの行動で、そのひとの政治的性向までわかるだろう。
①血の滴るステーキを食べたくなったひと
=右翼
②イラン豚をインターネットで検索したひと
=無党派
③ヴィーガンに転向したひと
=左翼

肉を愛する主人公はフランスのマジメな肉屋さん。小さな街の小さな肉屋さんだ。
こよなく肉を愛している。
だから成長ホ

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「博士、とべません」

「博士、とべません」


『Drスランプ』鳥山明の訃報。
ニュースでアラレちゃんをひさびさに見て、当時を思い出し、幾つか腑に落ちたことがあった。

要するに80年代は無意味な時代だったのだ。

アラレちゃんはパロディで満ち溢れていた。
「梅ぼし食べて、スッパマン」「ゴジラとガメラで、ガッちゃん」

そもそもアラレちゃんが鉄腕アトムのパロディだった。
「博士、とべません…。わたしは翔べない女」

社会風刺など、高尚なものは

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聴いてもらいたいから、カバー「唇によだれL'eau à la bouche」

聴いてもらいたいから、カバー「唇によだれL'eau à la bouche」


可愛い偽悪者
「唇によだれL'eau à la bouche」は、セルジュ・ゲーンズブールSerge Gainsbourgの数ある楽曲のなかでも、なかなかの名曲です。
僕は個人的に大好きです。
けど知り合いに勧めると、総スカン。
特に女性陣から「気持ち悪い」と、人気ゼロ。
え?なぜなぜなぜ??

主人公の男性が女性を口説いています。
でも「おまえが欲しい」とも「あなたを愛しています」とも言わな

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