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リヨンの旅(フランス恋物語57)

親友・ミヅキ

8月の初めのある日。

私は、ミヅキちゃんと1泊2日でLyon(リヨン)とLe palais ideal du Facteur Cheval(シュバルの理想宮)を見に行く旅に出た。

ミヅキちゃんは”和風美人”というルックスからは想像できない超・肉食女子である。

彼女とのトークは少々過激だが、そのあっけらかんとしたキャラクターを私は愛してやまない。

de Paris à Lyon

パリ発7:54発のTGVに乗って、2時間ぐらいでリヨンに到着する予定だ。

私たちは周りに日本人らしき人がいないか確認してから、赤裸々な女子トークを開始した。

まずは、ミヅキちゃんの近況から聞いてみることに。

JAPAN EXPO in Parisで知り合ったマルクどうなのよ?

 うまくいってる?」

1ケ月前、私たちはスーパーマリオのコスプレをした集団にお茶を誘われ、それをきっかけに、ミヅキちゃんとマルクは付き合うようになった。

「もうラブラブだよ~。

たまたまうちが近所だったから半同棲状態で、ほぼ毎日一緒にいるよ。」

マルクとのことを話すミヅキちゃんは、本当に幸せそうだ。

「それはとても羨ましいことで・・・。

ねぇ、将来のことを話したりする?」

私は気になることを聞いてみた。

「だってまだ付き合い始めて1ケ月だよ。

でも、マルクの方がお熱のようで、私の帰国後は『今度は俺がワーホリビザを取って日本に行く。日本のゲーム会社に応募するんだ!!』って意気込んでる。」

その話を聞いて、私は閃いた。

「そっか・・・。

つい自分がフランスに住み続けることを考えてたけど、相手に日本に来てもらうという手もあるよね。

それは盲点だった!!」

今までその発想がなかった私は、目が覚める思いだった。


・・・結局、行きの電車の中では、ミヅキちゃんのノロケ話(※過激な話も含む)を聞くのがメインになってしまい、自分の相談はできずじまいで終わってしまった。

Basilique Notre-Dame de Fourvière

私たちがリヨンに着いたのは、10時過ぎだった。

まずは眺めが美しいと言われているFourvière(フルヴィエール)の丘にケーブルカーで登った。

紀元前43年建造と言われているローマ劇場を少し見た後、丘の上にそびえ立つBasilique Notre-Dame de Fourvière(ノートムダム・ド・フルヴィエールバジリカ聖堂)を見に行く。 

【Basilique Notre-Dame de Fourvière】
フランス・リヨンのフルヴィエールの丘にあるバシリカ式教会堂
献金により、1872年から1896年にかけて、街を見下ろす位置に建てられた。 Pierre Bossan (ピエール・ボッサン)による設計は、ロマネスク建築とビザンチン建築、2つの建築様式の特徴を備えている。
 バシリカは主要な塔4基、鐘楼1基を備え、最上部に金色の聖母マリア像を頂く。
 特定の時間にはバシリカの北塔に上ることができ、そこではリヨンの街とその郊外の眺望が180度開けている。
バシリカではガイドツアーも催行されており、Musée d'Art Sacré de Fourvière (聖美術館 )も含めると年間150万人の訪問客を迎える。

「うわ~、超キレイ!!」

今までフランス中の色んな大聖堂や教会を見てきた私たちだが、豪華絢爛なこの聖堂の美しさには目を見張った。

「いや~、フランスの教会を見過ぎて目が肥えた私も、久しぶりに感動したわ。

これは一見の価値があるね。」

変なところでフランスずれした私は、つい上から目線の感想を漏らしてしまう。

「私好みのアールヌーボーっぽい装飾が随所に見られるのがいいわ~。

ここはパリから離れているけど、日本人の友達に『わざわざ行って見て!!』って薦めたくなるところだね。」

ミヅキちゃんも、その美しさを絶賛している。

二人ともずっとここにいたいくらい気に入った場所だったが、他にも見るべき観光地があるので、きりのいい所で出ることにした。

Lyon

聖堂見学後は、見晴らし台からリヨンの街を見下ろしてから、旧市街を目指して徒歩で丘を下りて行った。

この旧市街は、ルネッサンス建築集合体でもっとも美しいもののひとつとして、「リヨンの歴史地区」の名で1998年に世界遺産に登録されたらしい。

その眺めは、この間ミヅキちゃんと見た「ハウルの動く城」を彷彿とさせる風景で、「あ~、見ておいて良かったね。」と二人で感激し合った。


ランチは、ランチガイドブックにも載っている旧市街にある人気のレストランを選んだ。

私たちは、Assiette de Charcuterie(ソーセージの盛り合わせ)、Quenelle(クネル)、Salade Lyonnaise(リヨン風サラダ)と、適当にリヨン名物を頼んでみたら、どれも当たりだった。

「さすがリヨンは美食の街だね!!」

早速、旅先で美味しい食事にありつけたことを、私たちはワインで祝った。


レストランを出ると、旧市街にあるPrimatiale St-Jean(サン・ジャン大司教教会)やEglise St-Peal(サン・ポール教会)を見学したり、ぶらぶら路地を歩いて昔ながらの趣きのある街の風景を散策したりした。

ソーヌ川を渡り旧市街を出ると、ミヅキちゃんが目を付けていたという絶賛のパティスリーに行き、美味しいケーキに舌鼓を打った。

・・・あぁ、女友達との旅って、なんでこんなに楽しんだろう。

de Lyon à Hauterives

今回の旅のメインは、ここリヨンではなく、明日観光するHauterives(オートリーヴ)のLe palais ideal du Favteur Cheval(シュバルの理想宮)だ。

今夜の宿はオートリーヴに取っていたので、今日の夕方には、SNCFでリヨンから約1時間弱のSt-Vallier sur Rhome(サン・ヴァリエ・シュル・ローム)に移動し、更にバスでオートリーヴに行く必要があった。

実はカフェでゆっくりしすぎて、乗るつもりだったSNCFの発車時間は過ぎていた。

・・・しかし、電車の発車が遅れてたことで、私たちは予定の電車に乗れることができた。

「やっぱり私たち、日頃の行いがいいんだね。」

どんな時もプラス思考のミヅキちゃんが、私は大好きだ。 

Hotel

無事、私たちはオートリーヴのホテルに到着した。

ホテル内にあるレストランのディナーもとても美味しくて、食いしん坊な女子二人は上機嫌だった。

その夜用意された部屋はダブルベッドだったので、私たちは子どもの頃の”お泊まり会”の気分になって、同じ布団に入りコソコソと女子トークを始めた。

Girls talk

私はここでやっと、「ミカエル(22)とニコラ(38)という、まったく違う魅力を持つ男性と出会ったけど、どちらにすればいいか?」という相談を彼女にすることができた。

ミヅキちゃんの応えは極めてシンプルだ。

「そりゃ、ときめく方に決まってるじゃん!!」

私は目が点になった。

「ときめくかぁ・・・。

一緒にいてときめくのは断然ミカエルだけど、ニコラはセレブだから今まで知らなった色んな風景を見せてくれそう。

そういう意味では、ニコラもときめきをくれそうだよ。」

ミヅキちゃんは持論を展開した。

「え~、でもなんだかんだ言って、結局は体の相性じゃない?」

出た、ミヅキ節!!

「だからぁ、まだ二人ともキスしかしてないんだってば。」

すると彼女は、自らが信じて疑わない”ある法則”を主張した。

「いや~、絶対、”キスの相性=体の相性”だって!!

百戦錬磨の私が保証するよ。

キスはどっちの方が良かった?」

・・・私は、ミカエルとの幸福なキスを思い出していた。

「それはミカエルの方が良かったなぁ。

ミカエルは繊細で、ニコラは大味って感じ・・・。」

それを聞いた肉食女子は、結論を出した。

「じゃ、きっとアッチの方も、ミカエルは繊細、ニコラは大味だよ。

レイコちゃんは、繊細な日本料理と、大味なフランス料理どっちが好きなの?」

たとえが極端すぎるが、私はつい返してしまった。

「・・・繊細な日本料理。」

「じゃ、ミカエルに決定ね。

はい、今日のガールズトーク終わり!!」

「え~、ミヅキちゃん、待ってよう。」

私は結婚の話などまだまだ聞きたいことがあったが、彼女は既に寝息を立て始めていた・・・。


翌日、私たちはシュバルの理想宮を見た後、パリに戻る予定だ。

明日の夜、どちらの男を選ぶのか、私は最終的な結論を出すことになる・・・。


ーフランス恋物語58に続くー


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