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#小説
雑記#1 どこかへいるあなたへ
「お前は、俺と同じだ。」
公園の日陰でひっそりとタバコに火を灯した時、不意に声をかけられた。
「えっ?」
「俺はもっと、上へ行くぜ……。」
老人は、そう言い残して立ち去った。
もしかすると、生きるのは面白いのか?自分もまだ若いものだと、心の風向きの気まぐれに札幌よりも高い日差しが眩しく感じられた。
疲れたから、これだけ
雑記#2 ずっと、待ってるから
友人の痴態を偶然発見した。
画面は一面モザイクがかけられていて、撮影者のハンドルネームが刻まれていた。
それが自分でものであることを、主張しているように見えた。
違う。
彼女は、君のものじゃない。
僕のものだ。
モザイクの向こう側の彼女と、面識はない。
僕の認識している彼女であるかは、わからない。
けれど、そんなことはどうでもいい。
黙って、僕のところに来ればいいじゃないか。
何を遠慮する必
雑記#4 存在しない臓器
こころのクリニック。
街を歩いていると、そんな看板をよく見る。
鬱をはじめとした、多くの精神疾患は”こころの病気”として処理される。
「疲れているから、休みなさい。」
「繊細なこころの持ち主なんだね。」
多くの一般人は、よく口にする。
それは、医療関係者ですら例外ではない。
あたかも、人間にこころという臓器があるかのように、わかりやすい的を作る。
それがずっと、私のこころに、引っかかっている。