Sayako Mizuta

展覧会つくる仕事のひとです。起業して8年目。

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マガジン

  • 自分がnoteに執筆したインタビュー記事など

最近の記事

ともだちラジオ エピソード1

友達と喋る  ともだちラジオ 毎週火曜に配信します。 話しながら考える最初のゲストは工藤春香さんです。 4回に分けて配信します。 1回目:工藤さんの作品に私が最初に出会ったのは、恐山の宇曽利湖を描いた絵画でした。自分と他者の境界について、それが作品の根底にあることについても話しています。 工藤春香さんは1977年、東京生まれ。 2002年 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業、現在は東京を拠点にアーティストとして活動しています。 画家としてキャリアをスタートされた工藤

    • ラジオ始めます

      ともだちと話すともだちラジオ始めようとずっと言い続けてやっと始めます。 アートの仕事をはじめて十数年になりました。 仕事の合間、設置のとき、オープニングで、(かつては)飲み会でだらだらと話してきました。 効率化が進み、年齢を重ねて家族との時間も増えそんな時間も減りました。 最近なにしているのかなという人たちと話したくてポッドキャストを口実にともだち(先輩すぎる人も想像してるから心の友達も含んでいる)と話します。 ここから聞けます。 https://podcasters

      • 2023ふりかえり(主に美術)

        2023年、4歳になり人間となりつつある息子を前に、この時期に種を蒔き、土を耕しておかないとまずい…と焦り、保育園から幼稚園へいれ本人にとっても大きな変化、私もさらに細切れのなかの仕事+子育てで自分の「やりたいこと」を棚上げする日々でした。会社の売り上げは大健闘で12月から10期を迎え、コツコツ積み上げてきたことが実んだと自負してよいと思います。ということは…、子育て前はずいぶん遊んでいたんだなーと思うのですが、それが養分になっていまがあると思えば人生の時期的な問題なのかもし

        • 未来の美術館 ル・コルビュジェのムンダネウムと高橋由一の螺旋展画閣:トーマス・サラセーノの「Museo Aero Solar」 (空気太陽光ミュージアム)

          大学の非常勤で博物館経営論を担当して7年経った(早い…)。 毎年ブラッシュアップしながら、勉強も重ねながら担当している。博物館経営論なんて美術館館長クラスが担当しておくれよ!という私の心の叫びと共に7年前に始まった授業。そもそも私は美術館で働いている時期もほんの少しで、ずっとフリーランスだ。と弁解しながらも、授業を組み立てるのは面白い。今年は3年ぶりの対面授業で、大変だけれど皆さん熱心でフィードバックに熱いものを感じられ、やはり充実していた。 毎年時事ネタも紹介するよう新聞

        ともだちラジオ エピソード1

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        • 自分がnoteに執筆したインタビュー記事など
          8本

        記事

          2022年の振り返り-Other Rooms

          今年は、それなりの、ほどほどの距離でアートに向き合い、家族のさまざまな問題に直面しひとつずつこなしていくような日々だった。流れと縁が確実にあって、ただただ立っているという感じ。立っていて、時間が過ぎ去っていく。一つ一つのことを思い起こすと長かったのだが、あっという間でもあった。 縁があってやってきたことに応えるという感じ。たまに、こんなこといいなぁと思うできごとがあったり、素敵な人だなぁという人に会ったり、心躍るようなことはアートに隣接していることも多かった。もちろん子ども

          2022年の振り返り-Other Rooms

          ボリス・グロイス「流れのなかで」、変容する美術館、トマトスープ、ゴッホ

          2022年10月13日、2人の若い環境活動団体「Just Stop Oil」のメンバーがゴッホの「15本のひまわりのある花瓶」(1888)にトマトスープの缶を投げつけるというニュースが報道され、私もぼんやり見ていた。 https://www.asahi.com/articles/ASQBS4VSHQBSUHBI00V.html その時はふーんという感じだったが、friezeに2人のインタビューが出ていたのでそれを読んでいて、現代の美術館が抗議の場として使いやすいんだなとい

          ボリス・グロイス「流れのなかで」、変容する美術館、トマトスープ、ゴッホ

          blanClassの日に話しました…!

          blanClassの小林晴夫さんに呼んでもらって、話しました。blanClassの日が10月17日(本日)なのですが、いろんな人と喋るのかなと思っていたら、ふたりでがっつり話す会でした。小林さんの話を聞くのがよいかなと思ったけれど、わたしの話もたくさん聞いてもらいました。自分のやってきた曖昧なことなんかも肯定してもらったような気がして、楽しい時間でした。ラジオのように、なにかしながら聞いてもらえたら良いなと思います。 blanClassがこれからやろうとしている本なのかマガ

          blanClassの日に話しました…!

          現代アートとドゥルーズは親和性が高い…と気づく:千葉雅也「現代思想入門」を読んで

          現代アートを勉強していると現代思想が難しいハードルになることはよくある。美術史の先生たちも意外とぼんやりしかわかってないこともあるし…というわけでこの本は現代アートを理解するためにも必読書である。と同時に近年こんなに入門書的な書物がたくさん出てることも紹介されている、使える入門書だった。わたしは特にドゥルーズとニーチェを本書を入り口に勉強できそうとワクワクする。こんな本が2000年代初めにあったら学びの深度が違っただろうとつい思ってしまう。 さて本書を読むとデリダでもフーコ

          現代アートとドゥルーズは親和性が高い…と気づく:千葉雅也「現代思想入門」を読んで

          モリス・バーマン「世界の再魔術化」を読んで、どんな家を建てるのか

          なによりもまず本書が1981年に書かれたということ。驚きというか嘆息というか、予言の書というか。奇しくも私の生年と同じなので勝手に感慨深い。 完結に言えば錬金術を最後に「参加する意識」を失くした西洋世界の精神の全体性について書かれている。「参加する意識」とは自分を包む環境世界と融合し同一化しようとする意識のこと。自然の一部である人間としてその不思議な生命力の世界に畏怖と共感を持ちながら人間は生きていた。(p.15-16) 前半は「魔術」が消えていく過程が描かれる。 中世の

          モリス・バーマン「世界の再魔術化」を読んで、どんな家を建てるのか

          「冥府の建築家:ジルベール・クラヴェル伝」伝播するオブセッションズ

          クラヴェル。ダイナマイトで岩を爆破しながら、岩窟の住居を生涯かけてつくった狂者であり真のアーティスト。400ページを越える大著に挑んだが、おもしろすぎて2日で読了した。(この壮大な、、クラヴェルの初の伝記が日本語で出版されていることを感謝し噛み締めながら拝読した。もちろん精読には相当の時間がかかる) ジルベール・クラヴェル(Gilbert Clavel, 1883-1927)はバーゼル出身。岩窟にオリジナル建造物を生涯かけてつくったアーティストである。結核を患い、生涯にわた

          「冥府の建築家:ジルベール・クラヴェル伝」伝播するオブセッションズ

          キュレーティングあれこれ:鴻池朋子さんの「ハンターギャザラー」から考える

          キュレーションとはなにかについて鴻池朋子さんの個展(「ちゅうがえり」アーティゾン美術館、2020.06.23 - 10.25)で紹介されていた『ハンターギャザラー』を読んで考えたことを書いておく。 鴻池さんの展示はいつも空間の使い方がうまくて、あっと思うところに作品が仕掛けられている。この展覧会でも隠し壁のような仕組みや、大きなインスタレーションの一部にイメージの源泉がのぞけるような仕掛けがあったと記憶している。 過去に見たなかで好きだったのは大原美術館、有隣荘の個展で、

          キュレーティングあれこれ:鴻池朋子さんの「ハンターギャザラー」から考える

          『ジェイムズ・リー・バイヤーズ 刹那の美』を読んで

          ジェイムズ・リー・バイヤーズ(James Lee Byars, 1932-1997)と聞いてもピンとこない人のほうが殆どだろう。私はハラルド・ゼーマンの資料を読むなかで名前を知ってはいた。バイヤーズはゼーマンの展示に繰り返し取り上げられている。「ドクメンタ5」や「ツァイトロス」をはじめ、1980年にベネツィアビエンナーレでアペルト部門ができたときにも紹介された。しかしながら、パフォーマンスを行う、ミニマルな作品の謎めいたアーティストというぼんやりしたイメージしか持っていなかっ

          『ジェイムズ・リー・バイヤーズ 刹那の美』を読んで

          ケヴィン・ケリー「5000日後の世界」を読んで:増幅していく現実

          AR(Augmented Reality)=拡張現実の世界としての「ミラーワールド」がどんな風に実現されるか描かれるケヴィン・ケリーの預言の書。 SNSの次のプラットフォームは「ミラーワールド」。全てがAIと接続されるという。具体的な内容も紹介される。街を歩いていて100年前の風景を重ねて見られる、歴史的背景をすぐに確認できるなどは、はウェアラブルな媒体をつかって、情報に到達する速度が変わるということで想像しやすい。自動翻訳機をつかって話せるようになるというのも、ここ15年

          ケヴィン・ケリー「5000日後の世界」を読んで:増幅していく現実

          ドライブ・マイ・カーを見て

          話題になっているので、濱口竜介監督のドライブ・マイ・カーを私もみてきた。3時間半くらい?そりゃ時間も増えていくというような風景のうつりかわりも丁寧に描かれる、ロードムービーでもある。 村上春樹の原作は後ほど読んでみようと思うが(以前読んでいるはずだが、運転がうまい女性のことくらいしか思い出せない)所感をメモ程度に書く。 ネタバレになってしまうが、家福がみさきと一緒にワーニャ役を引き受けるか考えるドライブをするところで、何度も何度も、車の後景(うしろに流れていく風景)が登場

          ドライブ・マイ・カーを見て

          インタビュー記事執筆とその難しさ…

          Arts United Fundからの依頼で、インタビュー記事特訓(!)をさせていいただいた。事前準備から記事にするまでなかなか難しかった。私はインタビュー記事の作成・編集は、ほぼ初めての経験(自分の関わる展覧会以外では…)で、準備・zoomインタビュー、執筆まで非常に勉強になりました。 後半スキルがあがっていくのを自分で感じましたので、インタビューのお仕事は今後、自信をもって受けられます!!記事が参考になりますように。 今回のインタビューシリーズですが、AUFはコロナ禍に

          インタビュー記事執筆とその難しさ…

          ラディカル・ミュゼオロジーを読んで:コロナ禍の美術館を考える

          コロナ禍において美術館も経営の課題に直面している。 政府の方針で芸術文化施設も自粛要請を受け東京都では2020年3月から4月にかけて59館の美術館・博物館が休館となった。 このような状況でオンラインでの鑑賞体験の模索などさまざまな工夫は行われたものの、美術館はこれまで集客のために行っていたブロックバスター展や企画展を中心に採算を得るというスタイルの経営は難しいことが明らかである。収入の維持には会期延長による予算削減も必要だが、美術館のリソースを活用しながら常設展や教育プログ

          ラディカル・ミュゼオロジーを読んで:コロナ禍の美術館を考える