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✅40代女性【介護される父 母に暴言】を選択理論でコーチング人生案内#51

「40代の女性。80代の父は母と2人暮らしですが、重い病気になり母が介護しています。」

 父は医師から水分摂取を制限され、入浴も短時間にと言われているのですが、聞き入れません。「短時間では体が温まらない」と言うので浴室のリフォームを提案しましたが、それも認めません。お酒を飲む量はだんだん増えています。私が説得しても聞かず、逆に「もう死んでもいい」と言って薬を飲まないことも。

 制限の多い毎日のストレスのためか、母に暴言を吐きます。「俺に命令するな。俺が一家の主人だ」と怒り、あげく「離婚する」と言い出しました。介護されないと何もできないことはわかっているので母は我慢していますが、いつか母が壊れてしまいそうです。

 父に穏やかに暮らしてもらいたい。昔のように仲良く暮らす両親に戻ってほしい。そして長生きをしてほしいのです。娘の私にできることはありますか。(神奈川・T子)

(2022年3月9日読売新聞朝刊)

次を参考に「相談者の答え」を引き出す質問を自由に考えてみてください。

【相談者の困りごと、願いごとを考えましょう】

相談者の「困りごと」

・病気の父に、医師から指示されたことを守るように説得するが、言うことをきいてくれず、困っている。

・父が制限の多い毎日のストレスのためか、母に暴言を吐いたり、「俺に命令するな。俺が一家の主人だ」と怒るので、困っている。

相談者の「願いごと」

・父に穏やかに暮らしてもらいたい。
・昔のように仲良く暮らす両親に戻ってほしい。
・両親には、長生きしてほしい。

【ふだん使いをしやすいコーチングモデル】

①「相手の行動を変えられるのは相手本人で
あって、他者は助言や情報提供、リクエ
ストができるだけ」と考えてみましょう。

②「いやがる相手を変えようとしても、相手
の抵抗を生み、人間関係が遠ざかるだけ」
と考えてみましょう。

③「自分の考え方や見方、行動は、自分が
自由に選択できるし、変えられる」 と
考えてみましょう。

④「自分が幸せでないと、相手も幸せになれ
ない。人には自分が幸せになる責任が
ある」と考えてみましょう。

【相談者の困りごとのパターン】を考えましょう

・病気の父に、医師から指示されたことを守るように説得するが、言うことをきいてくれず、困っている。(自分が思うように相手を変えたいが、変わってくれず困っている。変わってくれない相手に自分が振り回されて、
困っている)

・父が制限の多い毎日のストレスのためか、母に暴言を吐いたり、「俺に命令するな。俺が一家の主人だ」と怒るので、困っている。(暴言を吐く父に、母も自分も振り回されて、困っている)
 

以上を参考に、ここで、みなさんのコーチング質問を考えてみましょう。

 

【心に響く回答者(久田恵さん)の言葉】

 あなたと同じ年の頃、私も老父と長く暮らしていました。

 その経験から言うと、父にこうして、と言っても却下されるばかり。たいていの人は、アドバイスは一応聞くけれど、「自分のことは、自分で決めたい」と思っているものです。

 高齢になると、「こうしないとダメよ」と、子どもに対するように言われたり、上から目線で指示されたりすることが少なくありません。

 あなたの父上も、思うようにいかない自分にいら立ちつつ、妻の言うことには年中ムッとしているのかもしれません。

 お医者さんから「水ダメ、酒ダメ……」と言われても、好きなことを絶ってまで長生きせずともいい、と考える人も多いのです。

 80歳を過ぎれば、自然とそれなりの死生観も持つようになるものです。

 長生きしてもらいたいのなら、父上の日々をのどかで穏やかなものにすることです。

 母上と3人で車いすを使って出かけたり、おいしいものを一緒に食べたりしてはどうでしょう。

 母上にも介護から解放される日を定期的に作ってあげることが一番大事です。

(2022年3月9日読売新聞朝刊)

私は次のような質問を考えました(ご参考まで)

・お父さんは、自分にとってなるべく快適な生活の質(QOL)を維持するために、精一杯の努力をされているように思えます。あなたがお父さんに、医者の指示を守らせよう(守らないお父さんを変えよう、コントロールしよう)とすることをやめたとしたら、お父さんは、自分なりにQOLを維持することが出来るでしょう。

 そうしたとき、お父さんは、あなた方に、自分に対して、今後どのように接してほしいと願っているのでしょうか? 叉、逆に、どのようなことはしてほしくないと願っているでしょうか? 
 お父さんに聞いてみたら、どのように答えられると思いますか?

 そして、お父さんがあなた方に望むことのうち、出来ることはしてあげて、一方で、やめてほしいと願っていることやめれば、お父さんのストレスはどうなるでしょうか? 

・お父さんは、「自分の主体性を維持したい、自分のことは自分でしたい、自分が家庭の主であり続けたい」という気持ちの強い方のようです。そのような自分であり続けるために、精一杯の努力をされていることが、お母さんやあなたに対する態度となっているようにも思えます。
 
 あなたやお母さんが、お父さんを変えよう、コントロールしようとすることをやめたとしたら、お父さんは「自分の主体性を維持したい、自分のことは自分でしたい、自分が家庭のリーダーであり続けたい」という自分の願いを少しでも満たすことができ、ストレスが小さくなるのではないかと思いますが、いかがでしょうか?

・あなた方が、「お父さんのことはお父さんが決めること」「たとえ妻や娘であっても、本人に対しては、アドバイスや情報提供ができるだけ」と割り切って諦めたとき、あなた方にとって「変わってくれないお父さん」を変えることはできませんが、「変わってくれないお父さん」以外のところでは、あなたやお母さんが、自分たちがリラックスしたり、好きなように時間を過ごしたり、母と娘で気晴らしをしたりすることなど、あなた方がしようと思えば、自由にできる領域、自由にできることもたくさんあると思います。

 そのようなあなた方が自由にできるところで、自分たちのしたいことをできるだけするようにすれば、あなたのストレスも、お母さんのストレスも、少しは小さくなるのではないでしょうか?

 そして、もし、そのようにして、自分たちのストレスを小さくすることが出来れば、お父さんに対するときの心の持ち方にも多少の余裕が出てきませんか? そして、それは、お父さんにとってもプラスになることはありませんか?

・もし、以上のようなことが実現できたとしたら、それらは、多少なりとも、あなたが願っておられる、「父に穏やかに暮らしてもらいたい」「昔のように仲良く暮らす両親に戻ってほしい」「両親には、長生きしてほしい」ということに役立つ可能性があるように思いますが、いかがでしょうか?

今回は以上です。上の質問は、自己対話で使うと、セルフコーチングができます。お役に立てればうれしいです。それでは、また次回。



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