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【インタビュー記事】家族がいるから諦めるのではなく、家族で夢を叶える! 地元と家族を大切にしたからこそ生まれた商品と経営スタイル


2月のことですが、北九州の門司港という場所に行きました。
その際、友人のお陰で門司港や北九州地域で有名なキッシュやタルトのお店のオーナーさんとお話をさせていただく機会がありました。
貴重な機会だったのでぜひ記事として公表したく、現在記事を執筆している会社に企画提案をしてみたのですが企画は採用となりませんでした。しかし、とても素敵なお店だったので多くの方に知っていただきたいと思い、執筆したインタビュー記事を自身のNoteで公開することにしました。お時間ある際にぜひ読んでいただけると嬉しいです。

 

⚫︎インタビュー記事

コロナが起こり、自宅で過ごす時間が増えたことでお料理やお菓子作りが趣味になった方が多いと聞きます。また、それをきっかけにそれらを職業にしたいという方々も。  
しかし、そうした人が多くいる一方、すぐに行動に起こせない、何か理由があって諦める方が多いのも事実。その理由の一つのが「家庭」です。家族やお子さんがいることで自分の夢を諦める方も少なくないのではないでしょうか。開業や独立の夢はあるけれど、家庭のことが気がかりで行動ができないという方々にぜひ読んでいただきたいのが本日の記事です。  
今回ご紹介する貞岡シェフは当初平日はフルタイムで仕事をし、週末に焼き菓子を販売してお店を始めました。休みなく働いていたことはもちろんですが、驚くべきことはシェフに5人のお子さんがいること。現在お店は移動販売をメインとし、各地のイベントに出店をしています。
全てのイベントには子供たちも同行し、お店を手伝っています。なんとその内二人のお子さんは近年ブランドも立ち上げ商品の販売もしています。結婚をしていても子供がいても「夢を諦めるのではなく、家族で叶えよう!」と行動し、実現させたのが貞岡シェフ。シェフのお話を伺うことで、家庭を理由に夢を諦めようと考えている方々に、家族がいてもやりたいことを実現させるヒントや行動する勇気を与えられるように思いました。


S.tart.inn、NIJIカフェオーナーシェフ
貞岡朋宏さん  
北九州の門司港でS.tart.inn というタルトやキッシュのお店を経営。当初、平日は別の仕事をしながら門司港の中央市場の店舗で土日のみを販売していたところ、あまりの人気で様々なイベントに出店依頼がくるように。現在はイベントでの移動販売を中心に活動している。北九州市の門司港を拠点に北九州全域、他県にイベント出店をしており、数日前にインスタグラムで告知するだけにも関わらず、1日1000個以上のタルトやキッシュが即日完売してしまう。  
同じく不定期の営業で、現在はフレンチのお店を経営。こちらも1ヶ月に数日の不定期開催にも関わらず予約枠が数分でいっぱいになる人気店。イベントやレストランでは5人のお子さんも店頭に立ち、地元の素材を活かした商品を販売。その内2人は「海峡レモン娘」というブランドを立ち上げ、カヌレを製造、販売している。  


人を魅了させるお店とオーナーの世界観


取材を行ったのは2店舗目のNIJIカフェ。
木々の生い茂るお庭を抜けると、ジブリの世界に迷い込んだようなお店が見えます。店内にはブリキのトランペットやお店のロゴを打つタイプライターなど、オーナー兼シェフの貞岡さんのこだわりが強く感じられます。

そのこだわりはご自身のファッションにもあらわれています。営業時はとんがり帽子にツイードの服、蝶ネクタイをし、デンマークから輸入した自転車に商品をのせて販売するのがトレードマーク。

実際にシェフにお会いし、お店に訪れた方は「世界観がすごい」と口を揃えて言うそう。実際にご本人にお会いし、その言葉に納得。商品はもちろん、魅力的な世界観に引き込まれる方も多いのだろうと感じました。

「地元に貢献したい」という想いが生んだ商品とお店



気になるシェフのご経歴。まず現在のお仕事に至るまでについて伺いました。  
 
「当初は食品を扱う職業に就いていたのですが、料理の道にすすみたかったので29歳の時に調理師の専門学校に入りました。卒業時はすでに結婚して家族がいたためすぐに開業はできず、いくつかのレストランで働きました。しかし、どこかに所属していると自分のつくりたいものはつくれなかったため独立を決めました。」  
 
第一店舗の場所は門司港の中央市場だと聞いています。そちらにお店を構えたのには何か理由があったのでしょうか。  
 
「私は門司港の出身です。幼い時は栄えていた土地がどんどん廃れていってしまうことに悲しさを感じていました。門司港は若者が都市部に出てしまい過疎化が進んでいるのが現状で、このまま何もしないとより衰退してしまう一方でした。そのため、かつて街の中心として栄えていた場所に活気を取り戻したいという思いで中央市場に初の店舗を出すことにしました。お店
は中央市場の入り口にあります。私は商品を売る際にツイードの服や蝶ネクタイ、とんがり帽子といった装いをしているのですが、そうした点も「あの店は何の店だろう?」と通る方に注目していただけるポイントだと思いました。」  
 
地元の繁栄に貢献したいという想いはシェフが作る商品にもあらわれています。お店で販売している主な商品はタルトやキッシュ。タルトやキッシュがメインのお店というのは珍しい気がします。何か狙いがあったのでしょうか。  
 
「門司港の繁栄に繋がる商品をつくりたかったので、主なターゲットを観光客とし、観光の合間に片手で食べられるもの、食べながら歩けるものと考えてこの二つをメインの商品にしました。前職がフレンチのシェフでタルトやキッシュをつくっていたので味に自信があったこと、見栄えもよく、様々な食材で応用ができるので地元の食材も多く活用できることも理由です。」  

 
-イベントでは1000個以上の商品が即完売してしまうとか。また、そうした場には遠方からシェフの作る商品を求めていらっしゃる方もいると聞いています。お店の情報拡散のために行ったことはありますか?  
 
「当初は店のFace bookで告知を、現在はInstagramをメインに宣伝をしています。それ以外にイベントに出始めた時は地元の方に自分の作ったものを定期的に食べていただき、意見をもらっていました。地元の食材を使った商品を実際に門司港の方に食べていただき、評価をもらったことは重要だったと感じています。これにより多くの方に自分の店や商品を知っていただくこともできましたし、口コミで情報も広まっていきました。」  

地元の方の意見を商品づくりの参考にするのは地域に根ざした仕事をする上で大事な点。しかし、多くの方が協力してくださったことには、地元のために貞岡シェフが行動してきたことも大きいように思います。まさに相互の結びつきが現在のお店や商品を生み出したのですね。  

モットーは「家族で楽しむ」。家族一丸となって行う経営スタイル



地元の他に貞岡さんを支えるもう一つの柱は家族。
第一店舗の開業に続き、イベントでの移動販売が大成功を納めたS.tart.inn。イベントには常に5人のお子さんも同行し、お店を手伝っています。第二店舗としてオープンしたNIJI食堂ではフレンチのシェフだった経験を活かし、コースのお食事を貞岡シェフが、コーヒーなどのドリンクをお子さんが担当しています。 7人家族なので7色の虹をイメージし、虹のように様々な色のお客様が集まる場所にしたいという想いを込めて名付けられ、初の営業日を2月4日(にじ)にしてオープンしたお店です。

-設立の経緯について教えてください。
 
「最初にお店を持った時にすでに3年後に新たな店舗をつくることを計画していました。イベントの際は一人一人のお客様と僅かな時間しかお話ができません。それが残念だったため、これまでの移動販売とは異なるかたちでお客さんと関わる場を作りたかったのです。そこで、コースで食事を振る舞い、お客様とゆっくり過ごせる店を作ろうと考えました。」  

-移動販売同様に不定期開催で数日のみの営業にも関わらず、数分で予約枠がうまる程 NIJIも大盛況だと聞いています。NIJIの営業をメインにしないのはなぜですか。

「移動販売に重きをおくのには、子供達に様々な場所を見せ、色々経験させたいという理由が大きいです。私は自分の仕事を子供達に継いでほしいと思ったことはありません。自分の好きな道を自由に選んでほしいためです。
しかし、私が彼らにしてあげられること、教えられることはしてやりたい。県外のイベントに連れて行き、そこでしかできない経験をすることで、学びを得たり視野を広げられると考えています。そのため、子供達と多くの場所に行ける移動販売をメインにしています。」

お子さんのことを考え、早くから店舗営業よりも移動販売に舵をきった貞岡さん。子供達の将来のためにしたことが結果的にお店の成功に繋がったように思います。
 
-現在は「海峡レモン娘」という名で娘さんたちがカヌレを販売していると聞いています。 このブランドができた経緯やなぜ商品をカヌレにしたかなどご説明いただけますか?  
「海峡レモン娘は、小学生と中学生の2人の娘がやりたいと自ら申し出て生まれたブランドです。娘たちが焼いたカヌレを出品し、そこでの売り上げは全て娘たちのものとなっています。実際に製造から販売を自分たちで行い、お金を稼ぐことで学校では勉強できないことを日々経験しているように思います。実際にお菓子づくりを始めたのは上の子が小学校1年生の頃でした。幼い頃から貴重な経験を多くしてほしいため、子供達がやりたいということは年齢に関係なく積極的にやらせるようにしています。
商品は実は当初パウンドケーキをやっていました。しかし、パウンドケーキは幼い子には均等に切るのが難しかったのです。一方、カヌレは生地の作り方や焼き方さえ覚えてしまえば型に入れて均等に焼くことができます。そのため、メイン商品をカヌレにしました。」  

最後に今後の展望を教えてください。また、同じように家庭を持ちながら開業を考えている方にメッセージがあれば教えてください。  
 
「実は最近新たな店を作るため、山口県の物件を買いました。海の隣の山にあるため、高台から海や緑の多くある景色を一望できます。第一店舗や第二店舗や今後購入していく物件もそうですが、今後子供達に残そうと考えて場所を決めています。子供達に後を継いでほしいという気持ちはないですが、誰しもが楽しめる場所を残すことで将来何かに使えると思いました。  家庭がある方は、それを理由に夢を諦めないでほしいです。家族がいるからできないではなく、家族がいるからできることに目を向けて頑張ってほしいです。」

取材を終えて



今回の取材を通し、事業を成り立たせるのに重要なのは、まずは自分がやりたいことを目一杯楽しんでやることなのかと思いました。当たり前のことかもしれないのですが、それを貫ける人は少ないように思います。最初は目標を掲げていても、気がかりなことができると情熱を失ってしまったり諦める理由を探したりする人が多いのも事実。しかし、貞岡シェフのように自分の軸をしっかりと持っていれば「地元に貢献したい」、「独立して自分のつくりたいものを振る舞いたい」、「子どもたちのやりたいことを全力でやらせたい」など、夢を全て実現することも可能なのだと思いました。また、そうした強い気持ちを見失わなければ、おのずと家族や周囲の人々もついてきてくれます。まさに初心忘れるべからず。シェフの話から改めてその重要性を学んだように思います。


取材協力  
S・tart・inn(エスタルティン)
北九州市門司区老松町1-11
営業:HPには金曜・土曜・日曜10:00〜との記載がありますが現在は不定期とのこと。営業日など最新情
報はインスタグラムで配信しているのでご参照ください。
https://www.instagram.com/s.tart.inn.mojiko/  

NIJI 食堂  
昼、夜ともに不定期営業。完全予約制。
福岡県北九州市門司区鳴竹2丁目1−2
https://startinn.net/startinn/

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