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酔いどれ雑記 18 モンテネグロでI've Never Been to Me


私は日本でギャンブルはやらないのですが(大昔に2回、ナンバーズを買ったことがあるだけです)、欧州のカジノだけは機会があれば行きます。といっても賭け自体はどうでもよくて、そこに集まる紳士淑女の中に紛れるのが好きなのです。ドレスコードが必要な場所でないといけません。ですから仮に日本にカジノが出来てしまうようなことがあってもまず行くことはないでしょう。

10数年前、私はよく東欧に行っていました。当時東欧の大きいホテルの多くには旧共産圏時代の名残、外貨稼ぎのためだったと思われるカジノが残っていました(今は知りません)。欧州でモンテカルロに次ぐカジノの多さを誇る街はルーマニアの首都、ブカレストだと聞いたことがあります。私も行きましたよ......どこのホテルか忘れてしまいましたが、泊っているホテルにはなかったので徒歩圏内にあるところの。入場料は不要で、最低掛け金はいくらだったか忘れましたが日本円にして千円とかそんなものでした。そして飲み物は無料でした(但しノンアルコールに限る、だったかも知れません)。カジノはどこでも私はルーレット専門です。ブラックジャックやポーカーはちょっとさすがに難しいですから。言葉の壁もなく優雅な気分が味わえるのはやはりカジノの女王、ルーレットのほかはありません。一度も掛け金より儲かったことはありませんが、掛け金は微々たるものですので全く痛手はありません。素敵な空間、時間に払ったと思えばなんてことのない額です。当然のことながら場内は撮影禁止ですので写真はありません。外観の写真は撮れますが、荷物検査で面倒なことになると嫌だったのでカジノに行くときはいつもカメラはホテルに置いていきました。

ブカレストのほかにカジノに行ったこと(興じたこと)があるのはポルトガル領のマデイラ島、マカオです。あれ、意外と少ないですね。マデイラ島は欧州では避寒地、リゾートとして名高く、私が行った2月末か3月初旬はイギリスやドイツから来たと思しき観光客だらけでしたが、カジノにはあまり人がいませんでした。何故でしょうね。島で一番大きなところに行ったのですけれども。マカオでは当時一番大きかったHotel Lisboaに行き、大小(タイサイ)という、ルーレットの代わりに3つの骰子を使う遊戯をしました。あそこは確かドレスコードはなかった気がしますが、退廃的なムードが漂っていて大変結構でした。

そして、モンテネグロの首都、ポドゴリツァで泊まっていたホテルにもカジノがあったので行ってみたのですが......。そこには超強面の男性が一人、ディーラー相手に渋い顔してブラックジャックに興じており、こちらに気づくと一瞥してはさらに苦々しい顔をしたのでこりゃお呼びでない場所だ......と退散しました。この出来事を思い出す度に私は名曲、愛はかげろうのようにーーI've Never Been to Meが頭の中で流れます。「モンテカルロでハーローのように振舞ったわ」という歌詞が......。私の人生はあの歌詞の女性みたいな感じでしたので、余計に沁みます。尤も、あの歌詞より数段、いえ数10段もスケールが小さいですけれどもね。モンテカルロで大胆に......ではなくモンテネグロの小さなうらぶれたカジノでビビり、ヨットでギリシャの島々......ではなくSNSで知り合った変な奴とセーヌ川クルーズ。そして......牧師と寝たこともありません。

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