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掌編小説

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140字から始まる超短編小説です
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#家族

我が家のソーシャルディスタンス【掌編小説】

我が家のソーシャルディスタンス【掌編小説】

コロナで社会生活に影響が。
でも日本人は「食事中はしゃべらずに箸を動かしなさい」と躾られてるし、手づかみで食べるものもない。ハグはせずにお辞儀を。土足はしない。
疫病対策が日常的にある。

うち? うちも昔から出来てるよ。
食事は毎日無言だし。妻とは1m、娘とは2m以内に近づけないよ。
対策はバッチリさ。

あれなんだろう目から水が……

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はじめての雪【掌編小説】

はじめての雪【掌編小説】

雪が降る。まわりの風景が白く変わる。ふと、自分はどこにいるのだろうかと思う。ここで窓の外を見ているのは、本当に自分なのか。ここは過去の世界ではないのか。

子供時代。
初めての雪にはしゃいだ自分。
「ねえ、あれは何?」
「雪だよ」
ドアを開けながら答える父。
「ゆき?」
「空から降ってくるんだ」
「わあ……」
雪やこんこ、と歌いながら庭を回る自分。それを見守る父の姿。母は台所で食事の支度をしており

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