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ライターさとゆみの日記

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こぼれ話とか
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#問いのプール

アシスタント時代に、やっておけばよかったこと

アシスタント時代に、やっておけばよかったこと

最近立て続けに、自分が文章を書いているときの頭の中の動きを、公開することが続いた。

先日はラジオトークさんのオフ会で、私のエッセイやコラムの書き方(フレームワーク)を公開し、
昨夜は宣伝会議さんで、私が「文章の書き方を教える」ことをどう捉えているかについて、話をさせてもらった。

私が、こんなふうに考えて文章を書いている、書くことをこう捉えていると、図解し見える化して伝えると、驚かれるこ

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メタ認知はもうやめる。来年食えてなくても、悔いはない

メタ認知はもうやめる。来年食えてなくても、悔いはない

先日、家に若いライターさんが遊びにきた。

私を含め、多くの業界関係者が彼女のことをライター業界の宝だと思っている。ものすごく精度の高い原稿を書かれる誠実なライターさんだ。
ちょうど、ひとまわり歳下なのだけれど、ときどき会っては「書くこと」や「書いて生きていくこと」について意見を交換しあっている。

その彼女にこんなことを聞かれた。

「さとゆみさんは、自分の強みは何だと考えていますか?」
たとえ

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死にたい夜に読む本は

死にたい夜に読む本は

文章を書くときは、いつも、書き終わった時に、世界が少しでも丸く柔らかくなりますようにと祈っている。

だけど今日は、心がざらざらしているときにしか書けない文章を残しておこうと思う。

・・・

不遜極まりないことを承知で書くのだけれど、生きてるのがめちゃくちゃ面倒になる時がある。
これは、30代のときには一度も感じなかった感情で、メンタルというよりはフィジカルがやられることが増えた、つまり、老化の

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プロの書き手になる人、ならない人、なれない人。

プロの書き手になる人、ならない人、なれない人。

朝日新聞のwebメディア「かがみよかがみ」に寄せられたエッセイの審査をさせていただいている。10代・20代の女性限定で募集されたエッセイだ。

これまでヘアコンテストやフォトコンテストの審査員は何度もさせていただいてきたけれど、文章の審査をさせていただくのははじめてだ。この数日で、髪にまつわるエッセイを、数十本読ませてもらった。

で、彼女たちの文章を読んで、どうだったかというと、
よかった。すっ

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ライターの職業病

ライターの職業病

ライターという職業は、多かれ少なかれ、言葉の手触りに意識がいきやすい職業だと思うんだけど、ライターさんによって、言葉の受け止め方は違うみたいで、それについて聞くのは面白い。

私の場合、そもそも言葉はおもにビジュアルで見える。

 
言葉の色や形や温度、ベクトルみたいなものが、絵的に見えるのもそうだし、キーボードの配列や、ページのレイアウトみたいなビジュアルの記憶もよく残る。
みんながスマホでいろ

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自分にはなにができるかなあと、考えてみた

自分にはなにができるかなあと、考えてみた

いろいろと大変なことになってますね。

校外学習禁止
部活動の禁止
親の参観禁止
保護者会中止
毎日の体調チェック表配布
学校から感染者が出た場合のガイドライン配布
学校に通う生徒の保護者に感染者が出た場合のガイドライン配布……

と、毎日のように項目が増えていく小学校からのプリントを見ていて、これはひょっとしたらありえるなと思っていたところに、一斉休校要請。

(良い悪いは別として)

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「物語」という暴力。「書く」という加害。

「物語」という暴力。「書く」という加害。

思考とは「気体」みたいなものだと思う。浮かんでは消えて、ふわふわしていて、つかまえどころがない。

それを目に見えるようにしたいと思ったら、口に出して話してみる。考えたことを、言葉にすることは、思考を「液体」化するようなものだと思う。

口にのせた言葉は常に、流れ去って行く。その言葉が別の誰かに届くときには、また違った言葉になるし違った形になる。グラスが変われば形が変わる、やはり、液体みたいなもの

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読むことの方が書くことよりもずっとクリエイティブだと思う。だから。

読むことの方が書くことよりもずっとクリエイティブだと思う。だから。

北海道にいます。寒い。寒いな、寒いなと思っているときに、なんというか、いちばんやわらかいところに、すとんと落ちてきた文章。

友人が『女は、髪と、生きていく』にあるワークを、何日もかけてやってくれて、さらに18日かけてその感想を書いてくれました。 

本を書く時、私たち書き手ができることは、届いてくれますように、できればその方にとってなんらかよい形で、と祈ることだけであって、そこから本を完結してく

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毎日書くことで失われていたもの。1000日チャレンジをやめます。

毎日書くことで失われていたもの。1000日チャレンジをやめます。

前回に引き続き、身体性と文章の話。

先日、100マイルを走る友人のブログを一気に読んで焦がれた話を書いた。

友人のブログはこちら。

共通の友人の間では、最近この文章の話で持ちきりで、「明けましておめでとう」の次は、合言葉のように「読んだ?」「読んだ読んだ、すごかったよね」って言い合っている感じです。

長老も感銘を受けてらっしゃる。

巻を措く能わず。まさに。

私もトルデジアンのエントリー

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触れることができる文章

触れることができる文章

年末、100マイルを走る友人のブログを一気に読んだ。すごい文章だった。
そのときからずっと考えていたことをいったんメモ。

エントリーされていた文章は全部で書籍一冊分くらいあったのだけれど、片っぱしから読んでいるうちに年が明けた。どれもそれぞれにドキドキしたのだけれど、なかでも強烈にVividですごみがあったのはこちら。

読んでいる最中に口の中に砂の味と血の匂いがした。のどが渇いて、何度も水を飲

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今年書いた書評コラム、54冊一気振り返り。年末の読書のお供になりましたら

今年書いた書評コラム、54冊一気振り返り。年末の読書のお供になりましたら

毎週水曜日に連載させていただいている、朝日新聞「telling,」の「読書という贅沢」。書評のようで書評はあまりしない、コラムなのですが、この一年に読んで書いた本を一気にご紹介します。

コラムを書いた時には気づかなかったこととか、コラムを書いていた時の話とかも書き添えてみました。
年末年始の読書のお供にしていただけましたら。

1月の書籍テーマは「目標」【001『夢の叶え方を知っていますか?』森

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正しい強度で弱音を吐くこと。SOSを出すこと。フリーランスの命綱。

正しい強度で弱音を吐くこと。SOSを出すこと。フリーランスの命綱。

今年最後の原稿を納品し、先ほど校了の連絡をもらい仕事おさめ。
最後のメールを送ったら、入れ替わりに、著者さんからメッセージが届いた。今年最後に脱稿した書籍の原稿をとても気に入った。発売が待ち通しいとのこと。ちょっとほっとする。

しみじみ、きつい一年だったけど、なんとか生き延びたと、思った。

2019年は走りたい場面で怪我したり転んだりしてばかりで、いろんな大切なものを目の前で獲り逃してきた。こ

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ずっと誰かを口説いている

ずっと誰かを口説いている

ライターの仕事は、ずっと、誰かを口説いているようなものだなと思う。

誰かに何かを知ってほしい。
誰かにこれをやってほしい。
誰かの身体に入りたい。
誰かの人生にくさびを打ちたい。

自分の本でも、どなたか著者さんの本でも、ライターの仕事は、ずっと誰かを口説いているようなものだと思う。

時々、そっと囁くように小さな声で。
時々、街宣演説のように大きな声で。

私は書籍の先にいる彼/彼女を口説き

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編集・ライター養成講座でいただいた質問42問の回答をアップします

編集・ライター養成講座でいただいた質問42問の回答をアップします

毎回恒例です。

先週の編集・ライター養成講座では、100人弱の受講生のかたにお話させていただき、いま、その時いただいた質問に答え終わったところです。

このタイミングで、今回ではなく、半年前の講座でお戻しした質問に対する回答をアップしますー(今期の方々にも参考にしていただきたいため)。

【取材、ライティングに関する質問】

●媒体を比較するための細かいルール(ポイント)を教えてください。(2名

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