見出し画像

上司は部下の職探しを全力でサポートしよう

雇用の流動性を高め成長産業への人材のシフト、ジョブ型雇用への移行など、日本政府も企業も欧米型のスタイルに徐々に移行しています。

それに伴い、今後、上司は部下のキャリアアップ支援に、より時間や労力を割くことを求められます。

今日は私が典型的な米系大企業の日本支社で、財務部長として部下の人たちのキャリアをサポートしてきた経験をお話ししたいと思います。主に、社内外の職探しに焦点を絞って以下の順に共有します。

目次
1.部下の社内転職のサポート
2.過去の部下の社外への転職のサポート


1.部下の社内転職のサポート

私が長年勤めていた会社は事業会社で、典型的な外資系です。人事異動や昇進は人種、性別、年齢、出身校は一切関係なく、各自のパフォーマンス、スキル、ポテンシャル次第で決まります。早い話が「求められた結果を出せるか」だけです。

私が数年前に、期間限定の社内プロジェクトの財務部長をしていた時のことです。プロジェクトの解散時期が近づいてくると役職に関係なくメンバーは皆、そわそわし始めます。より具体的には、「社内のあの部署の空きポジションに興味あるけれど、異動できるだろうか」「そもそも自分を受け入れてくれる部署はあるだろうか」といった感じで将来が心配になり始めます。

能力のある人は早い段階で、経営陣や部門責任者から声がかかり、「次はこの仕事をやってくれないか」といった打診がされます。一方で、声のかからない人は自分で社内の空きポジションの面接を受けます。社内に次の仕事が見つけられない場合、会社からパッケージと呼ばれる割り増し退職金をもらって、退職することになります。

前置きが長くなりました。私は自分の部下の人たちの希望を毎月の1on1で確認してあったので、彼らの異動の希望が叶うように準備を始めました。ある部下は特定の部署の特定の役職に興味があったため、その部署の部長に打ち合わせをお願いし、打診します。一度では先方も回答できないので、何度かミーティングをもちます。結果としては、最初に希望していた特定の役職は断られたものの、数回のミーティングを経て、別の役職を用意してもらえることになりました。おかげで、なんとか、彼は会社に残ることができ、ホッとしたことを覚えています。

また、別の部下については、希望の部署の部門長が受け入れをOKしてくれたものの、条件を出されました。「プロジェクト終了後では遅すぎるので、1ヶ月早く異動して来てほしい。」 私としてはプロジェクトの終盤はかなり忙しくなるため、簡単に飲める条件ではありませんでした。かといってこのチャンスを逃して、部下を路頭に迷わせるわけにもいきません。異動先の部門長と何度かのミーティングを経て、プロジェクトの最後の1ヶ月は兼務という形で、新しい部署に異動することに落ち着きました。

いろいろ苦労はありましたが、結果が良かったので、今となっては良い思い出です。部下の社内異動のための、上司のサポートの一例として、ご参考いただけたらと思います。


2.過去の部下の社外への転職をサポート

外資にいると私のように20年以上勤める者も少数ですが存在しますが、私のいた会社では、平均するとだいたい5-10年ぐらいで他の企業に転職する人が多かったようです。

そのため、過去に部下だった人たちから、彼らの転職のサポートをお願いされたことが何度かあります。具体的には、彼らが面接を受けている企業宛に、「リファレンス」と呼ばれる「推薦状」を元上司として書きます。

外資系企業の多くが最終面接後、候補者に採用通知を出す前に、その候補者の能力、資質、人となりに問題ないかを、元上司や同僚に確認します。昔は電話でリファレンスチェックをすることが多かったですが、今はWeb上で回答するのが主流のようです。私が最も最近経験した例では、以下のような能力について、過去の実際のエピソードを交えて、文章で回答するものでした。

リファレンス質問例:候補者は以下の能力や資質を兼ね備えているか?

-最後まであきらめない粘り強さ
-協調性を発揮し、チームで結果をだすことに貢献する意欲
-論理的に課題を発見し解決する能力
-クリエイティブに解決策を考え、実行する能力
-多くの人を巻き込むコニュニケーション能力

元部下のキャリアがかかった大事な仕事なので、平日夜や週末など、まとまった時間が取れる時に回答します。

今のところ、自身のリファレンス後に内定がもらえなかった元部下はいないので、元上司として最低限のサポートはできていると解釈してます。

いかがでしたでしょうか。

私の個人的な経験ですが、今後日本の労働市場で雇用の流動性が上がり、欧米のようなジョブ型雇用に移行する際の、上司から部下へのサポート例として、ご参考になれば幸いです。

今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?