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親子同時入院(第8話)

SNSで大反響だった実話
小5と余命宣告」続編(第8話)です。

父ひとり、子ひとりの家庭で育った娘が
小5の時に、その父の余命宣告を受け
その後の覚悟と成長を描いた実話。

脚色は一切なし。
むしろ、各方面に配慮し
わざわざ抑えて書いているくらいです(笑)

ということで、
これは長~く続く連載ものです。

初めての方は、1話からどうぞ。





「これはすぐに手術ですね。

 今日、入院してください。」


まさかの医師の発言に
ビックリしながらも
私は、初診で訪れた総合病院に、
同日に入院することになった。


この時 父は、いつも入退院を繰り返す
地元の医科大学に入院中だった。


一方、私は、
むかしお世話になったことがある
別の総合病院に来ていた。


親子で、同時期に

別々の病院に入院する。


という、

なんとも 私たち らしい。。。

仲が良いんだか、悪いんだか(笑)



私は、ヒザが痛くて、
近所の整形外科に通院していた。

水が溜まって、
抜いてもらったりしていたが、

何か月か通っても、改善せず。。。


それどころか
バレー(部活)の練習中、
転ぶことが増えてきた。

ランニングしてたら、
膝がカクンって
力が抜けて、その場に転倒。

アタック打って、
着地したら、カクンって。

悪化してきたので
病院を変えることにした。


って、行った初診で
そんな大ごとな話になり
軽いパニック。

頭の中は大忙し。


えーっ!入院かぁ。。。

急でビックリ!!

そんなに悪かったのかぁ

(近所の)あの医者、

やっぱヤブだったんだなぁ


ってことは・・・?


正々堂々と学校を休めるってことじゃーん?!
部活も行かなくていい??

しかもキレイなベッドの上で
3食&昼寝付き?

テレビ見放題?!
漫画読み放題?!

ラッキー!!!

と、すっかり旅行気分で
テンションやや高め🎵


通院のため
遅れて登校する予定となっていたので
とりあえず、病院内の公衆電話から
学校に電話を入れた。


「なんかね、半月板ってのが欠けてるんだって。
 今日から入院するみたいだから、しばらく学校休むで。
 んで、部活も出れないから
 〇〇先生(顧問)に伝えてといて。」


私からの連絡は、
いつも「用件伝達」か
「事後報告」だけだった。



誰も、信頼していなかったから。


と、ちゃんと
わかってくれていただろう
当時(中2)の担任の先生。


「用件は、わかった。
 で、今からお前はどうするんだ?
 着替えとか持って行ってるのか?」

「ううん。
 今はまだ会計待ちだから、終わったら
 そーゆーの全部取りに家帰るわ。
 んで、また来る。」

「お父さんには、連絡したのか?」


「いや、まだ。
 この後、医大に電話するよ。」


「そうか。じゃあ、俺が車で
 病院まで、送ってやるよ。」

「いや、別にいいよ。
 歩けない訳じゃないし。
 まだ授業終ってないら?」


「そんなこと言うなよ~
 俺も、たまには授業サボりたいんだよ!
 準備や戸締りが終わったら、
 もう1回学校に電話くれ。
 迎えに行くから。わかったな?
 待ってるからな!!」




こんな細かい会話のやりとりを

今でもはっきりと思い出せるのは、

ちゃんとわかっていたから。


私のことを心配して、

とても気に掛けてくれていた

数少ない大人だった。


授業サボりたい。

なんて、

半分ウソで、

きっと半分は本気(笑)



当時は、にじみもしなかった涙、

今ならたくさん溢れ出てくる。



ありがとう…






→ 子どもが認める大人(第9話)


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