【ちょっといま暫く外出さして】
「ちょっといま暫く外出さして」と言ってリュックサックを背負って直立し、主の目をすっとだけ見てから玄関に向かおうかな、と思案してみる。
言ったところ、主は、なんで行くのだの何処に行くのだのをあうあう言いながら、悲しみと怒りに満ちた目でこちらを見てくる。
「ちょっと五日ばかりどっかに籠らして」と言い直しても、なんでなのだ、なぜその必要があるのだとイヤンイヤンしやがる。女みたいだ。
理由は全部、毎日言うてたよ。
もうこれ以上私に何も聞くな。毎日言うてたよ。
だのにその上まだ何か聞く