実験的アプローチの『ED ROBERT JUDSON』と『beta post』とは【FREEPARK】
『ED ROBERT JUDSON』
『beta post』
いずれもBETA Inc.を率いる
デザイナー江崎賢氏が手掛ける
ブランドです。
作品を見ると
一癖も二癖もあり、
一見するとなんだかわからなような
デザインも多いブランドなのですが、
そもそも「BETA」とは
「α」「β」の「ベータ」が由来の
『実験的』なモノづくりをする会社なのです。
しかし、
そのアプローチの仕方は
全く違います。
『ED ROBERT JUDSON』では
有形な「モノの仕組み」や
「構造そのモノ」を実験的に
表現しています。
『beta post』では
無形な「コンセプト」や
「考えるきっかけ」を提案するような
実験的な表現をしています。
まだ世の中にはないものを
手探りで探し出し
試行錯誤を繰り返し
商品に仕立て上げていく。
「実験的なアプローチ」という軸で
『ED ROBERT JUDSON』と
『beta post』という2つのブランドの
デザイナーである江崎さんに
お話を伺いましたので、
是非その奥深さをお読みくださいませ。
江崎さんが起業したのは
なんと!24歳のとき。
「文化服装学院を卒業し、
アパレル企業で働いてたんですが、
やりたいこととのギャップがあったので」
そう簡単に話してくれたのですが、
あまりにも若すぎて驚きました。
仕事の傍ら
ホームセンターに通い、
大好きな工具やパーツを集め
独学で革の扱いを覚え
手仕事で作品を作っていました。
初めての作品は
ショルダーバッグだったそうです。
本当は実物は拝見したかったのですが、
願い叶わず、スケッチを描いていただきました。
こちらです!
被せのあるショルダーバッグなのですが、
本体が蝶番の様に組み合う
デザインになっています。
また留め具にワイヤーが掛るように
蝶番の軸にはワイヤーが
仕込まれているというこだわり。
『ED ROBERT JUDSON』の作品を
ご存じの方は気づいたかもしれませんが、
もう始まりの時点で『エドらしさが』
十分に表れていました。
ワイヤーを使用しているところ、
2つの革が嚙み合うように
デザインされているところ、
ここが『ED ROBERT JUDSON』の
スタート地点だったんだと思うと
すごく感慨深くなりました。
起業時の話を伺っていると
初めて取り扱いをしてくれたお店が
「1LDK」だったそうで、
スタート当初からデザイン性と
クオリティが高かったことが
容易に想像できました。
ここからは
『ED ROBERT JUDSON』と
『beta post』について詳しく伺っていきます。
まずは『ED ROBERT JUDSON』の
コンセプトです。
つまり『ED ROBERT JUDSON』とは
架空の人物なのです。
ブランディングがとても魅力的で
大好きなのですが、『ED ROBERT JUDSON』
という架空の職人が登場した
初めの初めの由来を聞いてみました。
「『ED ROBERT JUDSON』の
ROBERTはフックの法則を作った
バネの力の科学者ロバート・フックから
とったROBERTです
JUDSONは靴ひもを結ぶのが面倒くさい
という理由からファスナーを発明した
と言われている
ウィットコム・L・ジャドソンから
とったJUDSONです
そして、EDは東京の江戸です
つまり、『ED ROBERT JUDSON』は
『江戸のバネファスナー』なんですw」
ブランドのイメージそのままの
造語だったと知り、そのユニークさと
深いこだわりにドキドキしてしまいました。
さらに驚いたのは
『ED ROBERT JUDSON』として
最初に発表した作品が
まさに『江戸のバネファスナー』
だったことです。
ステンレスのフレームに
巻きついているバネ、
これがファスナーとなっており、
ギュッと横に寄せることで
開封ができるというギミックが
最高に魅力的なコインケースでした。
続いて、
『ED ROBERT JUDSON』の中でも
リピーターさんが多い作品の一つに
MEMOという財布があります。
リングメモ帳のデザインのお財布。
初めて手にしたときは
既成概念が覆されてあたふたするのですが、
使い始めるとビックリするほど
手に馴染んでくる革財布なのです。
どうしても劣化してしまうバンド部分は
古くなると交換も可能で
自分だけのお財布として
ずっと長く使い続けたい逸品であることに
間違いはありません。
そして、
『ED ROBERT JUDSON』は
現在までに100種類以上の
財布を開発してきました。
どれも個性があり、
唯一無二の素晴らしいデザインばかり。
お札やカードの規格サイズが変わらない中での
新たな財布を作り続けられるのは
江崎さんの才能と言えます。
これからも『ED ROBERT JUDSON』は
実験的なモノ作りを継続して行くと
おっしゃっていたので、
新しい作品の発表が今から楽しみです!
次は『beta post』
オフィシャルサイトには
こんなコンセプトが書かれています。
2つのブランドは
それぞれ異なったアプローチを
しているのですが、
共通するのは江崎さんの
革への愛情と言えます。
そこで、革へのこだわりや
どうして好きなのかを聞いてみました。
「革の好きなところはたくさんあるんですが、
一番は使っていったときに
みんなが『味』というポジティブな
捉え方になるのがいいなと思っています
劣化しないという考えとか
長く使っていくとより良いモノになっていく
いい意味の素材なんです」
何年も使っているレザーのお財布が
年々愛着が湧いてくるように
江崎さんも感じているんだと伝わり
とても親近感が湧きました。
やっぱり革の良さって味ですよね!
さらに、
聞いてみたかったのが
革を好きな江崎さんの選ぶ
一番好きなレザーが何なのかです。
「一番好きなレザーですか、、、
モノによりますね
例えばベルトだったら牛革ですし、
手袋だったらペッカリーという豚革です
モノと素材の相性があるんです」
流石だと思いました。
一般人としては革と言えば牛革と
決めてかかっていたので、
モノによって好きな革が違うのは
革のことをよく知っているから
なんだとしみじみ感じました。
革と一言で言っても、
その種類は数知れません。
オランダにある
ECCO LEATHER(エコーレザー社)の開発した
透明な革が発表されたのは数年前のこと。
そして江崎さんも新しい表現として
革自体の開発をし製品化しています。
そのひとつが『beta post』で発表した
革でクッションペーパーを再現した
カーディガンがあります。
また、段ボールの内部に使われている
なみなみ構造を表現している革もあります。
通気性やクッション性が高く、
機能的にも優れているレザーです。
これらの素材は
『beta post』のコンセプトを
表現するのに欠かせません。
普段は消耗品として使われているモノが
革で表現されることによって、
使うことによる劣化が「味」に変わるのです。
例えばワインの緩衝材として使われ
いらなくなったら捨てられる紙が
革に変わることにより、
使われた後の表情に変化がみられます。
そこに長く使える素材の魅力があります。
初めてその「味」を見たときに
人は何を感じ、何を考えるのか。
はたまた何も感じないのか。
それこそが『beta post』の
提案していることなのです。
普段身につける服や靴などが
今までにない素材で作られていたら、
それを身につけた人や
それを見た人が考えるきっかけになります。
身近なモノからヒントを得て、
素材を革に置換したらと仮定をし、
実験的なモノづくりをすることで
考えるきっかけを作っているのが
『beta post』というブランドなのです。
だからこそ、
『beta post』では新しい見せ方を
実験的にやっていきたいと言っていました。
いわゆる展示会での新作発表以外に
どうやって表現していくのか、
想像の上を行く提案を
今からワクワクしながら待とうと思います。
『ED ROBERT JUDSON』と
『beta post』の実験的な商品の数々は
どのようにして作られているのでしょうか?
江崎さんは主に
日常生活の延長線上にあるものをヒントに
モノづくりをしていて、
散歩をよくしているそうです。
友達との談笑の中から
アイディアが膨らんだりすることも
あるそうです。
また、
国内外の職人や工場の元へ
よく出向くことで
人間関係を作り、
実験的なモノ作りの基礎を
作っているそうです。
13年間を掛けて作り上げた
工場との関係はとても良好だそうです。
通常はパターンを変更したり、
小さな加工を変えることは
手間の掛かることなのですが、
今では職人さんの方からも率先して
仕様の提案をしてくれるほどに。
江崎さんの情熱は
職人さんにも伝わり、
同じモノ作りをする仲間となり
共に楽しんでいるところが
本当に素晴らしいなと思いました。
また、
インドネシアの工場での試作の話は
本当に楽しそうでした。
現地の職人さんたちは
江崎さんの実験的な提案に対して、
すぐに試作品を作ってくれ、
実際の商品化をより良いものにするために
意見を言い合える仲なのだそうです。
熟練の職人さんが
自分のアイディアをカタチにしてくれ、
最高の試作ができたときは
帰国の飛行機でずっとにやけてしまうほど。
江崎さんの話を聞いていると
こちらまで笑顔になってしまうくらい、
楽しそうなんです。
しかし、
そこには作家ではないからこその
実験的モノ作りの考えがありました。
「僕は作家ではないとはっきり言えます
工場の職人さんの特性に合わせて
モノづくりを考えるのも必要なんです
例えば、
『ミシンの針が入らないような
難しいアプローチは自由度の高い
インドネシアの手縫い工場に
お願いしてみよう』
『繊細な作りだからミシンの上手い
日本の職人にお願いしよう』
などを考えて、モノに合わせて
振り分けています
なので、誰が作るかを考えて
モノづくりをしています」
誰が何を作るかを考え、
パズルを揃え、
そしてぴったり合った時に
最高のクオリティの
最高の商品が完成するというのが
伝わってきました。
言葉では簡単におっしゃっていましたが、
簡単にできることではありません。
工場とそこで働く職人さんたちの個性、
それらを知ることは一朝一夕で
できることではありません。
時間を掛け作り上げた
チームワークがあるからこそ、
『ED ROBERT JUDSON』と
『beta post』で発表される商品は
特別なものが多いのです。
ひとりで始めたレザークラフトが
立派なブランドになり、
今後の展開はどうなっていくのでしょうか?
今はひとりでデザインを手掛けていますが、
10年後20年後の将来についてのビジョンを
伺いました。
「ひとりでやっていくのは
困難だと思っているので、
次の世代に考え方を伝えて、
こねてもらって、
その時代に合ったものを
作ってもらいたいと思っています
実験的なことは一人で考えるよりも
社内で企画する頭数が
多い方が成立しやすいので、
ちゃんと伝えていって
複数で考えた方がいいなと思っています」
江崎さんの考えを聞き、
時代を大切にし、
現在と未来を線で見据えている
プロの意志を感じました
モノづくりをするために
たくさんの人が関わり、
それぞれに役割があり、
小さなピースを組み合わせて
最高の作品に仕立て上げていく
江崎さんの仕事する情熱が周りに伝わり、
チームでモノづくりをしているように
伝わってきました。
最後にお客様へ向けた
メッセージを伺いました。
「新しい提案とはある意味、
既存のものを否定して作る
ということなので、
リスキーな側面も生まれやすいのです
例えばいつもの財布に手が慣れていて
全く新しい形の財布に初めて触れた時、
扱いに少し戸惑うかもしれません
だからこそ、デザインの興味をきっかけに
愛着が生まれ、手の慣れと共に
新感覚の使い心地が得られる、
それらが新たな気づきとなる事を目的に
もの作りをしています
楽しんで使ってもらえたら嬉しいです」
最後までお読みいただき、
ありがとうございました。
『ED ROBERT JUDSON』と
『beta post』の
デザイナー江崎賢氏のお話を伺い、
ブランドについて少しでも
お伝えできたら幸いです。
人とは違う
自分だけのアイテムを
ぜひ見つけてくださいませ。
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いつまでも幸せな日が続きますように。
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