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人は何時間眠らずに走れるのか?

160km(100マイル)を約40時間かけて走る

「ウルトラ・トレイルランニング」

一般の人には信じられないこのレースの魅力と、
人間の体の限界についてお話しします。

今回のテーマは「眠気」についてです。

人は何時間眠らずに運き続けられるのか?

私が2019年にフランスで参加した
UTMB(Ultra-Trail du Mont-Blanc)というレースは

走行距離:169.4km
累積標高差9,889m(登りだけを足し合せたトータルの高さ) 
制限時間46時間30分

私はこのレースを42時間かけてゴールしました。
そして、この話しをすると真っ先に聞かれるのは

「寝るんですか?」

とう質問です。

結論としては途中で仮眠を10分取りました。

「眠くないんですか?」と聞かれると
「眠いです」と答えますw

私もウルトラトレイルに挑戦し始めた最初のころは
眠気を押さえられずレース中に走りながら寝てしまった
こともあります。

ぶっちゃけ、メチャクチャ危険です!!

100kmを超えるウルトラトレイルレースでは
トップ選手以外はほぼ間違いなく一晩を越します。

そのため、レースの後半になるとコース上で寝ていたり、
眠気に襲われフラフラしている選手も見かけます。

このようにウルトラトレイルレースは
「疲労」と「眠気」との戦いです。

「眠気」対策とは?

では「眠気」とはどうすればいいのでしょうか?

もっともオーソドックスな方法は
「カフェイン」を取ることです。

「なんだカフェインか」と思われるかもしれませんが、
カフェインの効きを最大限にするために我々ランナーは

『カフェイン断ち』

というものを行います。

これはレース開催の1~4週間前からカフェインを
一切摂取しない
という方法です。

コーヒー、お茶、チョコレート、コーラ、
エナジードリンクなどです。

カフェイン

これらを絶つことによって身体からカフェインを抜き、
レース中のカフェインの効きを最大限に高めます。

一般的に、摂取したカフェインは1~2日で抜けると
言われています。

ところが、普段からカフェインを摂取していると、身体に
カフェインに対する「耐性」が付いているため、
カフェインの効きが下がっているのです。

この「耐性」まで全て取り去るには2~4週間程度必要と
言われています。

そして、このカフェイン断ちは想像以上に過酷です。

まず止めたその日から日中激しい眠気に襲われます。
頭痛がしたり、身体が怠く感じるなど
自分がこれまでどれだけカフェインで体を動かして
いたのかと思うほどに強烈な禁断症状が出ます。

実際、これがキツくて「カフェイン断ち」を諦める
ランナーは大勢います。

1週間くらいたってようやくカフェインを取らなくても
平気な状態になってきます。
ここまで来ると「カフェイン耐性」はだいぶなくなっています。

そして2週間経つ頃には日中の眠気や怠さなどは無くなり
普段通りの生活ができるようになります。

この状態になることが理想です。

カフェインの効果

カフェイン耐性まで抜ききった体はカフェインに対して
超敏感になっています。

極端ですが、コーラ一杯飲んだだけで、
眠気が吹っ飛び、頭がスッキリ冴えわたり、
疲労が和らぎ、身体に力がみなぎります。

摂取してから1~3時間くらいカフェインは効くので、
また眠気が来たらカフェインを取り、これを繰り返しながら
走り続けるのです。

実際、私はUTMBの前1か月間カフェインを
一切取らずに過ごしました。

そしてレース中は2日目の夜に最後後半に備えるために
エイドステーションで10分仮眠を取りましたが、それ以外は
特に眠気もなく走り続けることができました。

仮眠

(レース中はエイドでこんな感じで仮眠します)

このカフェイン断ちは、ここまで極端なことはしなくても
良いと思いますが、普段から極力摂取しないというのは
メリットがあります。

まず、夜の睡眠の質が高まり深く眠れるようになります。
(朝までぐっすり眠れるようになります)
また日中ここぞというときに缶コーヒーを飲むだけで
2~3時間、集中力が高まります。

仕事で大事なプレゼンを行うときや、企画書を作りたい
時などその効果を感じられると思います。

まずは自分が普段どれだけカフェインで体を動かしている
かを感じるために1日だけカフェイン断ちをしてみては
いかがでしょうか?

なかなか面白い体験だと思いますよ!!

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